旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅先での問題解決4=人との接し方

2020年04月04日 | 旅のノウハウ

 前回書いたように、いざ問題に取り組む必要が発生した場合に、いかに周囲の人の助けを得られるかが結局は重要であるというのが私の考えです。つまり、あなたがどこまで問題を解決できるかは、どういう風に旅先で人と関わってきたのかが結局は問題解決能力に直結するという事ができます。

自分は旅を始めた頃、あまり人と上手く接することができなくて、その結果、いろいろな事をうまくクリアできなかったこともよく覚えています。

 私個人は、正直なところ、あまり愛想の良い人間ではないので方々で愛想を振り撒いて愛される存在にはなれません。そういう人付き合いのできる人を羨ましいと思います。人と愛想よく接することができる人はそれだけで何にも代えられない大きな能力です。

 とはいえ、私を含めて誰でもそういう風に人と接することができるわけではありません。幸い、私はそれでも旅先で味方を確保する事にそれなりに成功しています。私が同行する企画に参加した方なら、現地の人から"ノリ"とか"ノリタ"とか"ノビタ"とか、盛んに声を掛けられる事に気づいた人もいるかと思います。もちろん何度も渡航しているからというのはありますが、それだけではないのです。旅を始めた頃には人と接するのがとても苦手だった私は上手い関係を築けるように人並み以上に気をつけています。

 挨拶を欠かさない。
 宿のスタッフ、同じ宿に泊まっている人や食事に入った食堂の人など、自分が接することになった人には挨拶を欠かさないようにしています。もちろん、気持ちよく関係を築く意図もありますが、これは特にアジア圏を旅行する場合、現地の人に紛れ込んでしまわないように自分が外国人である事を知らせる意図もあります。食堂や屋台では現地の人に紛れ込んでしまうと注文や支払いで思わぬトラブルになることがあります。変な発音であいさつしておいて、”この人は言葉や習慣が判らない外国人なんだな”とマークしてもらう方が何かとスムーズに運ぶことが多いのです。

 無視しない
 何か目的がある場合、無い場合、場合によっては少しあくどい意図のある場合など、声を掛けられる事が多々あります。朝食を取りに宿を出たら声をかけてくるタクシーの運転手や、道を歩いていると声をかけてくる客引きなど。自分には関係ない場合、無視して通り過ぎるかもしれませんが、私は極力無視はしないようにしています。明らかに不要な申し出の場合、”不要である”事を意思表示します。時には不要でも興味本位で話だけ聞いたりもします。もちろん不用意について行ったりはしませんが、その辺の距離感も大切です。

 敬意をもって接する
 少なくとも現地に暮らす人達は現地の事情には自分たちの誰よりも詳しいですし、自分たちより上手に生きる方法を知っています。他の国の旅人もそれぞれに人生を歩んできた人たちだから、その人生や経験に敬意をもって接するのは当たり前。例えば相手が乗り合いタクシーのドライバーであっても、”自分は客なんだ”という態度はなんだか偉くなったような錯覚で満足するという幼稚な満足感と引き換えに失うものの方が多いです。
 
 判定しない
 当たり前のように思えて案外できない事。例えば、俗にいう”発展途上国”を旅している時、日本との違いを探しては、それを遅れていると考えたり、”そのうち日本に追いつくでしょ”のような視点を持つのをやめる事ができない人はとても多いです。日本の常識を当てはめて憤りを覚えたりするのはお門違い。ただ単に”違う”のであって、善悪や”進んでいる、遅れている”という判定は旅人がすることではありません。

 服装
 ボロボロの衣類に伸び放題の髪と髭、そんな姿で旅した頃が私にもありましたが、周囲の旅人にこけおどし的に”経験豊富な旅人”を気取ってみる事はできても、普通に周囲の人には付き合いづらい人と見られる事になります。

 ツーリングライダーであれば、最近流行の威圧感のあるライディングウェアなんかはどうでしょうか。”ワル”を気取るためにバイクに乗っている幼稚なライダーが平和な日本国内でチョロチョロする位なら良いですが、本気で旅しようとするときには邪魔にしかなりません。下手すると現地の本物の”ワル”を刺激して、厄介なことに巻き込まれかねません。

 こうやって文字にすると何だか窮屈な話に思えてきますね。でも考えてみてください。これらの事柄は日本で人と接するときにも必要な配慮でもあるのです。
 



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