旅のウンチク

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挨拶は旅の便利なツール

2018年12月14日 | 旅のノウハウ
 見知らぬ国、見知らぬ街で食と住を確保することは経験を積んでいても毎度自分にとってチャレンジとなります。
  
 宿泊については基本的に旅行者を相手にしている職業ですから、見つけさえすればなんとでもなる可能性が高いのですが、食の方はお店の側も外国人が訪れる事を想定していない場合も多いのです。

 ガイドブックに書かれた”おすすめレストラン”を口コミを信用して巡る旅なら問題ないのですがスーパーカブで旅するタイ北部のような旅では、たまたま通りかかった小さな村の屋台やレストランで食事をすることも多いのです。日本語はもちろん、英語も通じないお店で、”何言ってるんだか判らないから出て行ってくれ!”と言われかねないとイメージし始めるとお店に入る事自体が既に挑戦となります。

 以前もどこかで触れましたが、私自身は19歳の頃、初めてのひとり旅では地元の屋台やレストランに入る勇気が全くわかなくて数日食事もできずに過ごしたことがあるのです、今では懐かしい思い出ですが、初めての町で初めて入る屋台やレストランでは同じように不安を覚えるのが正直なところ。

 さすがにビビって入れないなんて事はありませんが..。

 これは旅先での行動全般にかかわってくることですが、特に旅行者の少ない地域に立ち入った場合、前にも述べたように相手が外国人の訪問を想定していない事がほとんどだと思います。こういう時は自分自身が不安であると同時に相手もまた不安なものであることは逆の立場に立ってみれば容易に想像できます。
 
 接客の経験がある方であれば、まず常連さんであれば落ち着いて対応できるる事、初めてのお客様の場合は相手との対応に少し戸惑いを覚える部分がある事など経験があるのではないでしょうか。そして相手と言葉が通じないとなるとかなり緊張を強いられます。

 つまり、初めて出会う人間同士ですから、お互いに相手のことを測りかねてそれぞれに緊張を強いられているわけです。
  
 こういう緊張した空気を崩して相手の空気の中に入り込むために、私はできる限り地元の言葉であいさつの言葉をかける事にしています。試してみればわかりますが、たいていの場合、それまで好奇と警戒の目で眺めていたお店の人や居合わせた人達の態度があいさつの言葉をかけた瞬間に一気に緩むことがほとんどです。

 現地の言葉であいさつできない場合はとりあえず多くの人が知っていそうな”ハロー”を使う事もあります。

 ”ハロー”、”オラ”、”サワッディー カップ”、”アッサラームアレイクム”、”マルハバ”、”もうかりまっか”などなど、世界のいろいろな言語にそれぞれの挨拶の言葉があります。日本で毎日繰り返しの生活をしているとおろそかになりがちな”挨拶”ですが、見知らぬ街で見知らぬ人とのコミュニケーションのスタートを切るときになってみると挨拶という行動にはコミュニケーションをスタートする上で結構重要な役割がある事に気づかされます。

 考えてみれば、挨拶の言葉を交わす事は単なるコミュニケーションの取っ掛かりだけでなく相手に害意を抱いていない事や相手に敬意を持っていることなどをとても短い言葉で瞬時に伝える素晴らしい手段であるという事もできます。

 その国の言葉が全くできないのに挨拶だけその国の言葉をたどたどしく使う事を少し照れ臭く感じた事は私にもありました。でも逆の立場で考えてみてください。たどたどしい発音で”こんにちは”と声をかけてくる外国人と、流ちょうな自国語で声をかけてくる外国人、どちらとコミュニケーションを取りやすいでしょうか。

 自分がこれから訪問する国の挨拶だけを覚えるのはそれほど難しい事ではないと思います。だから、とにかく挨拶だけ覚えてみて、使ってみてはいかがでしょうか。きっとその国とその国の人達との関わりが少し変化することを実感できると思います。


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