旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅と不安

2007年06月05日 | 旅行一般
旅の相談に来られる方や電話、メールをいただく方の中で最近、爆発的に流行しているのは不安病。何となく不安だからインターネットで情報を拾う。すると、更に不安にさせるような情報を発見して、また不安になるという循環に陷ってしまうのですね。そして、かなり重症になって私と話をする機会を持った人は、私に"そんな事ありませんよ"と言われても、"いえ、でもネットに書いてあったんです!!"ときっぱりおっしゃる事もあり、一度入り込んでしまったら最後、不安の連鎖、不安スパイラルから抜け出させてあげる事はなかなか難しいようです。

そんな旅と不安の事を漠然と考えていたら、全然別の考えが降ってきました。

私は何度もカラシニコフやM16の銃口で"アッチへ行け!!"と小突き回されたり、何だかわからず警官の言うがままに着いて行ってみたら刑務所だった等というような事を乗り越えて旅をしてきた人間ですが、それでも、今でも旅に出る時は不安です。たとえカナダやニュージーランドのような、いかにも平和な所へ、しかも現地には気心の知れた仲間が居る所へ行くのでも不安です。最初の頃と比べて慣れるという事はありません。

旅慣れて、不安など無いと言い張る人もいるかもしれませんが、その人達は旅先での行動がワンパターンになってしまっているだけのような気もします。

だから、皆さんに不安を相談されても、"皆不安なんですよ"としか言えません。

私の場合、旅慣れて変わった事というのは不安を感じなくなった事よりも、不安と同居できるようになったという点だというのが今回降ってきた考えです。自分が不安に思っている事そのものを解消しようとするわけでもなく、"まあ、旅に出るんだから不安な気分になるのは当然だろう"位に受け止められるようになったという事です。だから、不安を解消しようとして、多くの情報を探して更に不安になったりする事はありません。不安な事は現地で現実に直面してから慌てようという問題先送り作戦を基本的に採用しています。

いろいろ調べてほじくり出した不安材料のうち、自分の短い滞在日数のうちで現実に直面してしまう問題というのはそれほど多くありません。現実にめぐり会う事の無いかもれない問題について、行く前から"あーでもない、こーでもない"と考えても仕方がないではありませんか。

たいていの場合、"案ずるより産むが易し"という言葉があてはまるはずです。

"何か気をつけた方が良い事はありますか"というご相談もよく受けるわけですが、最近の傾向から考えると"あまり調べすぎて、自分で勝手に不安に陥らないように気をつけてください"と言うべきかもしれませんね。


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