旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

経過を楽しむ

2002年01月24日 | 旅行一般
 最近廃止されましたが、日本から出国する際に日本の出国審査の時にパスポートと一緒に提出する”日本人出入国記録”という短冊みたいな書類がありましたよね。
 E&G設立当初使用していたコンピューターシステムには、この短冊をプリントアウトする機能がついていて(現在使用中のシステムにもありますけど)、「これは顧客サービスの一環にしよう」と考えた我々は、海外旅行を申し込んでいただいた方には全員無料でプリントアウトしてお渡ししていました。
 それを受け取ったお客様の中でお一人だけ、この件でクレームをいただいたことがあります。曰く、
 日本人出入国記録を記入するのも旅のうち。これで”あー、いよいよ海外へたびだつんだ。”という気分を味わうんだから勝手に記入しないでください。
 とのこと。
 時々このことを思い出します。今でも、この意見は正直な気持ち”変った方だなー”とも思いますが、でも、旅ってそういうことなんですよね。
 昨年12月にE-MAILでご相談いただいた方のオーストラリア旅行。”旅行経験があまり無いので”と書き添えながら、かなり突っ込んだホテルのリクエストをいただき、しかもそのホテルがその辺のホテルリストやガイドブックにのっていないホテルばかり。この方は、自分なりに旅のテーマを決めて、いろいろ調べて、その上でわからないことをどんどん質問してくるという感じ。お客様がいろいろな資料を調べて、自分の旅のイメージを追い求めている迫力が伝わってくる感じ。
 そして何より、旅行期間が10日間でも、お申し込みいただいてからご出発までの約1ヶ月半の間も楽しんでしまえるスタイルに、やっぱり”旅って、そういうことなんですよね。”
 私自身はというと、とりあえず思いつきでどこかの国へ飛び立って、後は全て行き当たりばったり。何にも調べないし、そこで偶然知り合った客引きとか友達になったほかの旅行者、地元の人に流されてふらふらするうちに帰国日が。そんな旅を繰り返してきました。それはそれでやっぱり旅って、そういうことなんだ。と今でも思います。
 オートバイでパキスタンから旅したときは大仕事。前の年から1年かけてアルバイトでお金を貯めて、地図を買いあさってルートを研究、一時輸出の手続きや陸運局への届出、あるいは、トラブルに対処できるようにバイクショップで修行。全部が全部はじめての体験で、全部が全部面白かった。だから旅行期間は半年でしたが、自分にとっては1年半楽しめました。 しかも、旅を終わってからもオートバイのメンテナンスを自分でできる技術が身について、そっちでも楽しめてしまうというおまけつき。
 旅っていうのは、○○へ行って、XXをみて、△△をたべて・・・・といった行動そのものをいうのではなくて、そこにいたるプロセス全体を楽しむものじゃないかなという話。 あるいはプロセスを楽しむようにすれば、同じ期間、同じ料金でも何倍もの期間楽しめてしまうじゃないですかという提案。もちろんその楽しみ方にはそれぞれのスタイルがあるとは思いますが。

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