旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

大勢に影響なし。

2008年10月28日 | 旅のトラブル事例
 しばらく前の事ですが、航空便の遅延で乗り継ぎが出来なくなったことがあります。行き先はカナダオフロードファンライドのクランブルックだったのですが、最終区間が乗り継げなくなり、バンクーバーで急遽1泊です。このあたりの経緯はそういえば丸めてポイ事件簿その2に書きました。

 空港ですったもんだの末確保してもらったホテルは4人の人間に対して2部屋。メンバーの1人は女性ですから、トリプル1部屋、シングル1部屋という使い方をすることになるわけですが、確保できている部屋はツインが2つ。ツインの1つにエキストラベッドを入れてもらう必要があります。

 エキストラベッドの件は空港から連絡済み。でも、こういうリクエストはどういうわけか上手く伝達されないことがあります。ホテルにチェックインする際に確認してみると、やはりどこで欠落したのか伝わっていません。とはいえ、フロントのスタッフは快くエキストラベッドの手配を約束してくれました。

 翌朝早朝のフライトですから、我々は荷物を開けることも特にありません。荷物の中身はほとんどライディングウェアですから、バイクのあるところにたどり着くまで必要ないものばかりです。
 
 そこで、我々は夕食に出かけることにしました。ところがエキストラベッドがなかなか運ばれてきません。部屋にいてもやることがないのですが、エキストラベッドが搬入されるまで出かけるわけにも行きません。しばらく待ったのですが、結局フロントに行って、”エキストラベッドがまだ来ませんが?”と申し出て、搬入してもらいました。

 空港からも連絡し、チェックインの際にもお願いし、それでも結局上手くいかなかったようですね。

 ただ、角度を変えれば違った解釈もできます。ツインの部屋にエキストラベッドを入れるとそれなりに部屋が狭くなります。ホテル側としてはチェックインしてすぐにエキストラベッドを入れると邪魔だろうと気を回して、荷解きなどが一段落しそうな時間まで待ってくれていたのかもしれません。(飛躍的な善意の解釈)

 こういう事は旅先では多々あります。これを私は”当初の予定と微妙にずれているけれど、基本的に問題なかった事例”という風に解釈しています。最終的にそれほど時間の無駄もなく目的は達せられたわけですし、そこに至るまでの若干の煩雑さを評論してホテルの良否を判定する調査員でも評論家でもありませんから、”大勢に影響なし”です。

 一つ一つの旅行について、この”大勢に影響なし”な事を掘り返してみれば必ず幾つかの出来事が出てくると思います。今回”大勢に影響なし”だった事をトラブルと捉えて次回は同じ事が起こらないように細心の注意を払うのも1つの方法論で、実際のところ、日本人は性格的にこちらの考え方が多いかもしれません。

 実際には事実として影響がなかったのであれば、”この程度は大丈夫”という事が確認できたという事もできるわけで、次回は一切注意を払う必要がない事項に入れてしまって良いのではないでしょうか。重箱の隅をつつくようにして自分の旅の悪かった面の思い出ばかりを懸命に記憶し、記録するというのももったいない気がするのです。

 旅先で出会うあらゆる出来事を”大勢に影響なし”と分類できるようになった時、旅人としての悟りの境地に達する事が出来るのかもしれませんね。


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