旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

ケチケチ日本

2007年01月02日 | 旅行一般
おそらく私を秘境専門と勘違いしている人々にとっては随分意外な事でしょうが、私にとっての初めての海外旅行はイギリスでのホームステイ&語学研修でありました。

とにかく初めての事が多く、あらゆる事がものめずらしかった中、印象的なできごとの一つは食事習慣の違いでありました。

毎日、夕食で出される食事の量が多くて、なかなか食べ切る事が難しいのです。ホストファミリーは"食べ切れなかったら残してもいいのだよ"と言ってくれますが、父からも母からも食べ物を残す事は厳しく禁じられて19年も生きてきては、その習慣を抜け出すのは容易ではありません。

ホストファミリーはいつも残さず食べる私を観察した結果、この人間は小さいけれど大喰らいなのだと判断。翌日の夕食は更に増量されるという結果を生み、それでも残さない私との果てしない戦いが展開される事となりました。

しばらくこの戦いを演じた結果、これでは食費がバカにならないと考えたのかどうかは知りませんが、ホストファミリーは"あなたは食べ物を残してはいけないと教育されているのか?"と。そして、"ご両親はとても厳しい人なんだね"とも。

"ここでは、食べたいものを食べたいだけ口にして、あとは残すんだよ。"

この説明を頭で理解できても、どうしても今までの習慣は抜け出せません。満腹しても、父や母のオソロシイ顔が頭に浮んで(?)、とにかく体内に詰め込みます。ホストファミリーはこの事実に気がついて、それからは食事の量は減量に転じてくれ、拷問のような食生活と、体重の増加に歯止めがかかったのでした。

私の両親というのは本当にオソロシイ人物で、私が子供の頃、姉と私はブリキの洗面器とブリキの柄杓で度々叩かれた結果、私の家にはブリキの器で正常な形のものは無いという状態でありました。今なら逮捕されてますね。私は児童相談所に保護されているでしょう。おまけに私はそれだけ叩かれても、叱られるような事を繰り返すアホな子供だったとも言えます。

ただし、その時は意味不明だったこの両親の恐怖政治、その後、様々な国で生きていく上で随分と私を助けてくれたものです。食べ物だって、残さずに食べた方が皆、良い印象を持ってくれる事は間違いありませんからね。

その後、様々な国を旅していて、やはりこの食べ物を残すか残さないかが気になる事も。ある国では、屋台で、地元の人間が何種類もの食事を用意して、それぞれを少しずつ残して席を立ったりする姿を目にする事もありその習慣から、何種類かの食事を口にする事が厳しい気候の中で健康を維持する為には何種類かの食事を口にする事が必要なのかなと感じたり、一方、それを感じても、どうしても残す事はできないので、やはり大喰らいになったりもしました。

"もったいない"という言葉が一時、流行した事がありましたが、この言葉、どの位の世代までが身にしみて感じる事ができるのでしょうか。

日本のケチケチ文化は、資本主義社会における経済発展には邪魔になる。きっとそれで淘汰されてきたのかもしれませんね。

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