海辺の町から

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お義母さん

2023-05-25 10:29:24 | 日記

  ドンヨリとした曇り空の朝


  母の日のプレゼントです


臨済宗妙心寺派禅僧の「渇!」の館内に響き渡る読経がこの世との別れを告げていた。
両親よりも兄姉よりも長く暮らしてきた46年の歳月が コマ送りで甦る。
余命宣告をうけてひと月と少し過ぎた5月17日の夕刻静かに永久の眠りについた。
数えの98歳 大往生だった。
悲しみに浸る間もなく葬儀までの4日間が慌ただしく過ぎた。

思えば瀬戸の花嫁ならぬ海辺の町の花嫁として親族と共に海辺の町を船で一周する
風習に則った最後の嫁入りだった。
化粧が落ちると心配されるくらい泣いていた。
少なからず京都に未練を残し 時代遅れの生活が待っていた。

結婚式の一週間前まで山の中に居た。
春未だ浅い3月 腰まで雪の残る京都の最高峰皆子山の山頂で多くの友人が結婚を
祝ってくれた 雪焼けした顔での嫁入りであった。

気丈な義母に翻弄されながらよくぞ此所までやって来たものだと今は自分を褒めている。
何時か分かり合えるときが来ると信じて 口まで出かかった言葉をいつも飲み込んで来た。
60半ばで義父を見送った義母 老いと共に性格も円くなり私を頼ってきた。
会えば感謝を口にするようになって 飲み込んだ言葉は沢山有ったけれどもう吐き出すことは無い。

多くの子や孫やひ孫達に見送られて。
親と呼べる人が遠くへ逝ってしまった。