ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

ディーゼルの購入がICカードのみに ADNOCのガソリンスタンドで

2008年08月05日 23時12分00秒 | 車/交通事情
アブダビの石油会社ADNOCのガソリンスタンドで、今日からディーゼルオイルの販売が前払い式のICカードによることになった。8月15日までの猶予期間は、現金での支払いも可能だが、16日以降はできなくなるという。

ICカードの購入には、車両登録証や運転免許証、それに会社のトレードライセンスのコピーなどが必要とされる。また、車両の種類によって一月に購入できるディーゼルの量には制限が加えられる。例えば、3トン以下の車両では600ガロンまで、5トン超では1500ガロンという具合だ。

どうしてこんなことを始めたのか。ADNOCの説明によれば、ディーゼルの販売の仕組みを効率化して順番待ちの混雑を減らすためだとしている。だが、もう一つ、そして真の狙いは、違法なディーゼルの転売を抑止することにあるのではないかという気がする。

何度か紹介したように、ディーゼルの価格にはアブダビと他の首長国の間に大きな価格差が存在する。この価格差に目をつけ、雇用主に無断で、自分の車で使用する以上の量のディーゼルをアブダビで購入し、ドバイなど他の首長国で転売するドライバー達がいて、ディーゼルオイルのブラックマーケットができているらしい。新しいシステムでは、カードごとにディーゼルの購入履歴が記録される。走行距離と比較して不自然に多いディーゼルの購入は、違法な副業への従事を雇用主が知る端緒となる。副業がばれて本業の職を失うのでは割が合わないから、よほどの勇気がなければ転売は止めるだろう。なかなかうまい仕組みだと思う。

ブラックマーケットができる根本的な原因は、アブダビと他の首長国との間に存在する2倍以上の価格差だ。だが、こういうカードまで作ってしまうところを見ると、当分の間この価格差を解消するつもりはなさそうだ。

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