ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

リムジンサービスとスピード違反

2008年02月20日 23時57分58秒 | 車/交通事情
幸いにも、この国に来てから、まだスピード違反の反則切符だけはもらったことがない。制限速度を厳格に守って運転しているからだ、というと嘘になる。ジュメイラ・ビーチ・ロードだけはスピード違反に厳しいと聞くが、よく利用するシェイク・ザイード・ロードは20キロオーバーまでなら大丈夫と理解していて(責任は負いかねるので悪しからず)、それを超えないようには気をつけている。

駐車違反の切符は都合3枚もらっている。3枚目をもらったのは最近で、役員を空港に見送りに行った時のもの。ターミナル1の出発階の道路に、停止灯をつけたまま駐車しチェックインカウンターまで行って戻ると警官がMRVの前で書類を記入しているところだ。ちょっと待って、今動かすからと言いながらあわてて運転席に乗り込みエンジンをかけるが、動き出す車のワイパーにタッチの差で反則切符をはさまれてしまった。見送りも業務と言えないこともないから、反則金160ディルハム(約5千円)は事務所経費にすることもできたかもしれない。だが、駐車違反は私に落ち度があるから、これまで同様ポケットマネーで支払った。

そんなことがあった直後だったからかもしれない。役員がドバイとアブダビを往復するのに利用したレンタカーの請求をチェックしていて、あらかじめ取った見積よりクレジットカードの支払い額の方が多いことに気づいた。空港への見送りはMRVを私が運転することにしたため、利用時間はむしろ少なくなったはずだ。不自然だと思い取り寄せた明細に、交通違反の罰金310ディルハムが含まれていることを発見した。

総務の女性社員がレンタカー会社に電話で問い合わせると、会計担当が出てきて次のような説明をした。運転手の説明によれば、スピード違反のリスク(罰金)を説明したが、乗客がどうしても急いでほしいというので、スピードを出した。会社としては、通常交通違反の反則金を乗客に転嫁することはしないが、運転手の説明を信じて今回は例外的に請求することにしたと。

ここからは私が出ていくしかない。役員の車の助手席に同乗していた社員に当時の状況を聞く。ドバイからアブダビへの往路、最初私が運転するMRVが役員の乗るBMWを先導していたが、途中で先後が逆転したことはあった。これは、運転手が私の車を追い抜きたくてうずうずしているのを役員が察して、追い抜いて良いと言ったらしい。ただし、スピード違反があったのはアブダビからドバイへの復路で、BMWとMRVとは全くの別行動。この間運転手には一言の指示もしていないとのこと。スピード違反を強制したとは、人格・識見に優れた(と株主総会で必ず選任理由について説明される)役員の名誉を傷つけること甚だしい。

件の会計担当に電話する。当方がスピード違反をしてまで急げと言った事実はないし、スピード違反のリスクについて運転手から説明を受けたこともない。逆に、反則金の負担について運転手から打診され、当方には責任がないと拒絶したと。そもそも、仮に顧客に交通違反をしてもいいからスピードを出せと迫られたら、それに従うように運転手を教育をしているのかと。

さすがに大手レンタカー会社の会計担当だ。事の重大性は理解したようで、今話した内容を書いてメールで送ってほしいという。上記の内容に加えて、再演防止のためにこの運転手は厳しく懲戒すべきである、これまでも同じことを別の乗客に対してしているかもしれないから、と書いて送ったのが昨日。実際、現地にいる私以外に反則金を支払わされたことに誰も気づかなかった。もし、反則金が2回分(アブダビからドバイへの片道に2回のスピード違反を犯すというのも異常だ)でなければ私も見落としていたかもしれない。同じように反則金分をチャージされたことに気づかずにドバイを後にする旅行者がいても不思議はない。

今日になって、レンタカー会社のマネージャーからメールが届く。運転手を問い詰めたところ、非を認めた。反則金分は返金する。また、運転手は罰を受けることになるし、今後同じことが起こらないよう運転手の教育を徹底すると。

返金は当たり前だ。日本なら責任者が菓子折りを持ってとんでくるところだろう。迷惑料として全額返金してもおかしくはない。道路交通庁(RTA)に訴えたら運転手だけでなく、レンタカー会社にもお咎めがあるのではあるまいか。

役員秘書からは事を荒立てないようにといわれている。今回はこの程度で許してやろう。ドバイの高級ホテルでリムジンサービスを利用する場合、料金に交通違反の反則金が含まれているかもしれない。ご用心。

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