ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

東京のムスリム

2007年02月08日 23時05分18秒 | 文化・宗教
我が社の外国人採用の歴史は長く、私が21年前に入社した時にも同期にユダヤ人がいた。英会話の練習をしたい私は、その彼と、私が英語、彼が日本語という傍からみたら珍妙な会話をしたものだ。彼はもちろんとうに辞めてしまっているが。

先日は、打合せに向かうタクシーの中で、バングラデシュ出身の社員と一緒になって、道々話をした。彼は、1年外語大で日本語を勉強した後、東大の工学部で大学院まで学んだ秀才だ。在日経験は9年になると言い、流ちょうな日本語を話す。

彼はスンニ派のムスリムだ。バングラデシュでは90%近くがムスリムだそうで、そのほとんどがスンニ派でシーア派がいないから、宗派間の争いはおよそ皆無だという。バングラデシュのムスリムにとってひげは必須ではないとのことで、彼もきれいにひげをそっている。

彼は、会社の許可を得て、毎週金曜日には代々木のモスクに礼拝に行くと言う。ちなみに、東京には広尾と代々木に大きなモスクがあり、前者がサウジアラビア、後者がトルコの支援によって建てられたものだと言う。ムスリムでなくとも、モスクの中に入ることができると言うので、一度訪ねてみたいと思う。

ムスリムにとって、東京はそれほど居心地がいい環境ではないようだ。ドバイには、どこに行っても、お祈りをする部屋が設けられているし、ホテルの部屋には、天井や机に必ずメッカの方角を示すための目印がある。こういった配慮は東京では皆無に近い。ご多聞に漏れず、我が社もムスリムのために特別なことは何もしていないのだが、彼は社内の静かなスペースを見つけて、お祈りを欠かさないと言う。

ムスリムが食べる肉は、ハラールと言って特別な方法で殺されたけもののものでなければならないとされる。これを売っている店も東京には少ない。ただ、最近ではインターネットで注文できるようになってずいぶんと便利になったそうだ。

最近のイラクの状況についてどう思うかも聞いてみた。政治家が悪い、と即答があった。よほどよく聞かれる質問なのかもしれない。彼によれば、イスラム教は殺し合いを教えていない。政治家やテロリストは、自分に都合がいいように宗教をねじまげているだけだと言う。

また、メディアの報道の仕方も問題だと言う。例えば、アイルランドのIRAがテロを起こしたとしても、それはIRAと報道されるだけで宗教と関連づけられることはないが、アルカイダでもタリバーンでも、「イスラム教原理主義者」とか、イスラム教と関連づけたレッテルを貼られて報道されてしまう。こうやって、イスラム教がテロリズムの源泉であるかのように誤解されることになると言う。一理あると思った。

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