どんぴ帳

チョモランマな内容

馬鹿は行く!続・坂と蚋の地獄道

2007-08-28 23:49:33 | 北海道一周!

 厚岸の道の駅を出たのは、バッテリー類の充電を完了させた午前十時だった。
 意味も無く腹が減り、厚岸駅前の店で「かきめし」を購入する。

なんか旨そうなパッケージ。

いつものことながら、一口食べてから写真のことを思い出します。牡蠣は三つしか入っていませんが、味付けはとっても良いです。

 いつものSマートでお茶を買い、かきめしを食べていると、四十代のサラリーマンチャリダーと出会う。年に二回くらい、大きな休みの時に走っているらしい。
「いやあ、霧多布の142号線は大変だったよね」
「ええ、本当に蚋(ブヨ)にはうんざりしましたよ」
「この先の142号線は行くんですか?」
「いや、行かないよ」
「僕は行こうと思っているんですよ」
 馬鹿は蚋に刺されても治らない。海岸線をなぞると決めたので、この142号線を回避する訳には行かない。

 私が先に出発して142号線の入口を探しながら走っていると、サラリーマンチャリダーの人が追いついてきた。
「どうぞ、先に行ってください」
「いや、人の後ろのほうが風の抵抗が少なくて楽だからね」
 別に構わないが、できれば一人で走りたい気分だ。しばらくすると、道道142号線と交わる交差点が現れた。
「じゃ、僕はこっちから行きます」
「本当に行くの?」
「ええ、行ってみます」
「すごいね、じゃあ、気をつけてね」
 私は再び『北太平洋シーサイドライン(愛称・花と岬の霧街道)』に入ってしまった。

 今日はただ蚋に刺される訳には行かない。それなりの防御が必要だ。まずは単なる気休めの虫除けスプレーを手足に塗り、自転車に対蚋用の特殊装備を装着した。

GIANTグレートジャーニー2・対蚋仕様スペシャル。
 簡単に説明しますと、金鳥の蚊取線香をフロントバックに装備しました、以上・・・。
 今度の142号線も、かなりの急な上り坂で始まり、やはり蚋が襲って来ました。しかし今回は、心なしか体の周りに蚋が滞在する時間が短い気がします。私が飲み屋のママなら、
「あら、ブヨさん!もうお帰りなの?もうちょっと居てよ!」
 とか言うのでしょうが、今の私にはそんな余裕はありません。蚊取線香の効果を信じて、ひたすらペダルを漕ぎます。
 
 今日は一人もチャリダーとすれ違いません。この道はかなり遠回りな上、ほとんど山道であまり景色も良くないせいか、自転車で通る人は誰も居ない様だ。私とすれ違う数少ないライダーは、驚きの顔をしたり、不思議な笑顔で走って行く。
「おいおい、よくこんなところまで走るなぁ」
 と言いたげである。
 結局この道も、釧路までは自販機が一ヶ所にあっただけだった。

 釧路市内で銭湯に行き、汗を流す事にする。この銭湯は脱衣所に洗濯機が置いてある珍しいタイプだ。
「これか?これを洗濯するんだな」
 どういう訳か、銭湯のおじさんはめちゃめちゃ親切で、勝手に洗濯物を袋から出して洗濯機に放り込んでくれる。風呂からでると、洗濯機は空になっていて、乾燥機が動いている。
「あのー、もしかして乾燥機に入れて頂いたんですか?」
「おう、あと29分で乾くからな」
 着ている服まで全部脱いで洗濯機に入れたので、フルーツ牛乳を飲み、週刊誌を読み、ひたすら全裸で服が乾くのを待つ。
 三十分後、乾燥機が停止したのでパンツを取り出して履いてみる。
「どうだ、乾いてるか?」
「ええ、ばっちり乾いています」
 おじさんはうれしそうだ。北海道の人は、本当に良い人が多いです。

 そして再び出発。

釧路は大きな町で、男のプラントもあります。

いいぜ、男のマシン。

 明日は雨の予報なので、なんとかキャンプ可能な「パシクルPA」まで走ることにする。

夕暮れは迫るけど、ガシガシ走ります。

 途中で寄った道の駅「しらぬか恋問」で、なんと旅の初めに出会ったS君と再会。S君も一緒に「パシクルPA」まで走ることになり、二人でペダルを漕いだ。途中で完全に日が暮れて、パシクルPA手前の山の中では真っ暗になってしまったが、私は装備しているフロントライト二つと、リヤフラッシャー二つを点滅させ、どうにか目的のパシクルPAにたどり着いた。時刻は夜八時半を回っていた。