羊蹄学園大学社会学部講義集

北の大地に突如としてできた架空の大学。
かつてないテーマで綴る社会学とは?

佐山武雄の塾戦争第3回~光のプロローグ(2)~

2005-12-05 10:15:40 | 塾戦争光のプロローグ
(2)巨艦上陸
こんにちは。

前回は「あのこと」で終わりました。
では「あのこと」とは何か…今日は2コマにわたってその説明をしたいと思います。

そもそも「あのこと」とは・・・それは中部地方を席捲していた大手の学習塾が北海道に進出してくるという話です。

まずは昨年(2004年)の12月の北海道新聞の記事を読んでみましょう。

東海地方が地盤の学習塾、予備校の大手「秀英予備校」(静岡市)が来年五月から、小学五年~中学三年対象の塾を、道内で展開する。専用校舎と正社員講師を売りものに、来年度は札幌圏に約二十校を新設、三、四年後には全道五十校に広げ、札幌での大学受験予備校開設も視野に入れる。少子化の逆風の中、道内大手の進学会(札幌市)などとの競争が過熱しそうだ。

どうでしょう。
私は先程の進学会の醜態は、このことからくる焦りによって生まれた、と考えています。
まぁ焦るのは当然なのかもしれません。
早い話、中部の学習塾が一足飛びに海を越えて、北海道の学習塾と正面衝突、ということであり、北海道の塾業界を牽引してきた進学会としては思いもよらぬ事態に直面するのですから。

しかし…そうは言っても秀英予備校の北海道進出がどれほどの話で、なぜ進学会はあれほどの醜態、もしくは焦りを見せなければならなかったのか、イマイチよくわからないと思います。
そういうわけで、まずは秀英予備校というところがどんなものなのか、それを簡単に紹介します。

秀英予備校(以後、秀英と呼びます)とは、静岡に本社を持つ、小中学生への受験指導を中心とした学習塾です。
近年では高校生向けの大学受験指導も充実させているため、予備校の看板を掲げていますが、主体事業は小中学生向けの受験指導です。

発祥の地は静岡。
そこから秀英は、隣県の愛知・神奈川・山梨にも校舎展開し、昨年は岐阜県、そして今年は北海道への進出を、というわけです。

今では150以上の事業所(校舎)抱え、通う生徒は小中高合わせて、2万5千人を超える、大手の中でも大手の塾です。
講師は大学受験部の時間講師などを除き、全員正社員講師(秀英の全講師陣における正社員講師比率は90%を超え、株式公開している塾ではトップの高率)で、校舎は独立の専用校舎ビル。
また教育環境だけでなく、経営面においても業界初の東京証券取引所一部上場を果たすなど、健全さを示しています。

…という学習塾がやってくるわけです。

もともと北海道の学習塾は長年、前述の「北大学力増進会」でおなじみの進学会、そして「札幌セミナー」や「練成会」の練成会グループ(以後、統一して「練成会」とする)、この二大勢力が、札幌やその他の都市を席捲し、大手塾の存在というものを許してきませんでした。
話題性も規模も資本力もある秀英の進出はこの勢力図を一気に崩しかねない、否、二大勢力のみならず北海道の業界全体にとっても大変な、センセーショナルな出来事なのです。

では北海道の大手をはじめとする学習塾は、この夏の秀英の進出までにどのような動きを見せてきたのでしょうか。

今日はそれについてもう1コマ講義したいと思います。
それでは、また。
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