羊蹄学園大学社会学部講義集

北の大地に突如としてできた架空の大学。
かつてないテーマで綴る社会学とは?

教育遊戯・第28回~改善~

2009-03-20 14:38:01 | 教育遊戯
こんにちは。

安達さん以外の反応が全くない日々が続いています。
時期が時期なのか、内容が内容なのか…いずれにしても寂しいものです。
もちろん安達さんには感謝です。が…しかし、寂しいものです。

前回は「えげつない」例を挙げて、模擬試験は際限なく主催者がどうにでもできる、という話をしました。
これを解消するには、特定の塾でなく中立な立場の機関が主催する、というのが理想的と思うのです。

という意味で言えば、「特定の塾」ではない、「進学舎」が主催する、「北海道学力コンクール(以後、「道コン」とする)」は理想に近いと思われます。

ご存じのように道コンは20年以上、時には紆余曲折ありましたが、今では北海道最大規模の小・中学生向け模擬試験として君臨しています。
詳細は語るまでもないですが、知りたい方、もしくは知らない方は、こちらをご覧ください。

で、その「北海道の私教育」サイトでは、過去に2008年夏の道コンにおける制作者の不手際を突いています。
私としてはここ最近では、2008年2月の入試前最後の中3を対象とした道コンにおいて、あまりに難易度が低かったため、前代未聞の平均点の高騰を生み出し、挙げ句には参加塾に異例のお詫び文書を発送…という事態を重く見ていますが…

いずれにせよ。
この度の公立高校入試における、的確なはたらきは絶賛に値するものの、一方で道コンは完璧でないし、改善の余地があるということが言えるわけです。

ちなみに。
この場合は問題制作についての改善余地になるわけですが、もちろん制作される方々が、例えば道内の大手塾で真摯に講師をやっていた、有能な方だったりすることは知っていますので、その上でのことなので、あしからず。

あくまで、私は中立、しかも第三者的で地域(北海道)に根差して、模擬試験を制作し、その地域の中3の四割が参加するという中で、そりゃあ日々研鑽しているでしょうが、しかし改善の余地や三栖がこうして転がっているのではと思うわけで、そこには多大な期待が込められているのですよ、あくまで。

ということで、私が更に思う「改善の余地」、そして「提案」を次回から数回、語っていきます。

それでは、また次回。

教育遊戯・第27回~水増~

2009-03-18 13:27:17 | 教育遊戯
こんにちは。

えー…公立高校の合格発表がありましたが、どうでしたでしょうか。
と同時に公立高校の合格発表が出たことによる、大手塾を中心とする各塾の合格実績がちらほら出揃う時期に差し掛かってきました。
受験生の合格の喜びは、塾の喜びになるのや否や…

さて、前回は私教育の模擬試験の存在意義をある角度から考えてみました。

しかしながらご存知のように、実際の塾業界における模擬試験は群雄割拠、教材出版社や予備校のものまで含めると際限ない有り様です。
この背景には大手塾の、自力で模試を主催したいという思いが透けて見えます。

私がこの業界を眺めてきて思うのは、その背景にあるのは自力でやるとメリットが多い、からです。これも塾業界の人間ならご存知でしょう。
思うままにあげると…

1、模試による収益を自力でやれば全て掌握できる。
2、自力でやることで模試をその塾のスケジュールに組み込めやすくなる。
3、その塾の授業の延長で模試を組め、尚且つ難易度を塾の都合で調整できる。
4、模試の問題が、実際の入試で的中すると、その模試を主催する塾の手柄となり、宣伝になる。
5、他塾と連合して模試を主催すると、生徒数や成績データが流れ、外部に塾の力量がばれる恐れがある。
6、自力で、しかも閉鎖的にやれば、何とでも不公正にできる。

…こんなところでしょうか。

では実際はどうなのか、これに関連して私がこの業界を見聞する中で、最も「えげつない模試」をやっている、ある本州大手塾の話をしましょう。

どこか「えげつない」か。
まずは、この塾は大都市部に教室展開しているだけで、別に全国展開をしているわけでもないのに、年三回の模試の名称が「全国統一模試」という点。
でもまだこれは序の口。

一番の問題は、この模擬試験の受験者数を水増ししていること。
具体的には、現状では生徒数が少なく、「全国統一模試」には見えないので、実際の受験者数より三倍の生徒数が受験したことにし、後日生徒に渡す成績データには、その三倍の受験者数が記載される…ということをしています。

そうなると、生徒の順位はどうなるか…そうです、同じように三倍しなければならないわけです。
だから百人中一位の順位が三百人中三位…なんてことに平気でなるわけです。

ということは、この試験は受験者数も順位も三の倍数となり、挙げ句には一位と二位が存在しない、ということになります。
だから…こんなことがバレてはいけないので、この試験で生徒に成績上位の得点も成績優秀者も、生徒どころか講師にだって公開されない、ということになっています。

ここで何を言いたいかというと、単独の塾で模擬試験をやると、歯止めが効かないので際限なく何でもやれてしまう、という危険性をはらんでいるということです。
これが極端な例だとしても。

…とすれば、模擬試験の理想形は何なのか。

次回以降、触れていきます。

教育遊戯・第26回~選択~

2009-03-14 00:33:26 | 教育遊戯
こんにちは。

番外編ばかりで本編を全くやっていない状態が続きました。
仕方のないこととはいえ、何だかちぐはぐ。

さて、前回紹介した日記はある政党関係者…いわば政治家のものです。

あ、勘違いしないでください。
私並びに当大学は何とか党支援などはしてません。
しかし!私並びに当大学は社会学部であるため、その関連から政治に相当のアンテナを張っています。
ということで国政・地方・政党問わず、かなりの政治家の記録・文献・HPに目を通しています(そこら辺の政治愛好家よりも圧倒的に、という自信すらある)。
この日記でもわかるように、私としては人間味のある、読ませるものだと、あくまで個人の感想ですが、思いまして日々チェックしています。
そのような中で見つけたものです、あくまで。

それはそれとして、どうでしょう。
私としてはあーだのこーだの論評しませんが、こんな風に全国学力テストに対処する親もいるんだなー、と勉強になりました。
思想や党派がそうさせているのは確かだとしても。

ここで思うのは、「義務教育」の中で考えれば、親は我が子を学校へ送り出して最低限の学力をつけるのは当たり前なのだけれど、それ以上の学力なんてのは親であり子の「自由」なんですな。
この「自由」、別に親の教育意識低いから出てくる方便で塾に我が子を通わせる親には関係ないと思うでしょ?違うんですよ。
例えばね、入塾要件に通知表内容を問わない塾でさえ、「最低限の学力さえあればいい」とか言う親が普通にいるんですよ。
ということは、塾なんて習い事の一環ぐらいにしか思っていない、もしくは我が子の友人紹介で止むにやまれず来たんで程度なんですな(下手をすれば学力なんかいらん!という親すらいる)。

思えば全国学力テスト自体、私はその価値がよくわかりません。
別に誰の味方をする訳じゃないけど、そもそもこのテストを実際の教育にどう活用するか、全く見えてこないじゃないですか。
見えてくるのは県単位の平均点が開示され、市町村ごとの平均点を開示するかどうかの論争だけ。
でもね、大事なのは平均点なのかしら、と思うのですよ。
私だけなのでしょうか…大事なのは、その後の学力向上の指針として、どこでどんな風に誤答をし、それが全体として何を意味し、そしてどの辺りの位置に自分はいるのかを本人・親・学校が認識することではないか、と。
ところがそれが十分でない、もしくは、データ開示に時間がかかるというなら、何の意味があるのでしょう。

しかも、です。
現状こうして、色んな考えや思惑があるにせよ、全国学力テストを欠席することが可能という現実が転がっている。
まして、ある与党政治家のコメントを見れば「日教組憎し」で始めたのだと言う、だとすれば「全国学力テスト」って何なんですか、と私は言いたい。

しかしながら学力を幅広い意味で見極める物差しが欲しいのは確か。
より高い学力を子供や親が欲求するならば、何ができてできないのかを子供を支える人間が知るのは責務と言えるでしょう。

ということで、私教育の模擬試験の存在価値は、ますます色んな意味で非常に高くなる一方だと思うのです。
つまり、模擬試験は本来の「入試の練習」「力だめし」「実践力強化」といった模擬試験の役割以上に「全国学力テスト」が負うはずだった役割を担っているのではないかと。

なのに現状の私塾の模擬試験は何をしているのか。
次回以降触れていきます。

教育遊戯・番外7~「新・自立学習システム」だってさ~

2009-03-13 00:16:53 | 教育遊戯
こんにちは。

前回の番外6では、半ば練成会の方々への訴えを生意気にも私はしました。
これに呼応し、コメント欄には沢木さんの勇気ある熱い思いを頂きました。
また、安達さんからは、OBとしての想いを頂きました。
安達さんについては、公立高校入試において混沌から救うボーダー予想を独自にするなど、ここにきて大車輪のはたらき、頭が下がる思いです。
何にしてもお二方、ありがとうございました。

とはいえ、二人だけなのは寂しい限りですが…。

さて、その入試日の前後で当大学並びに「北海道の私教育」サイトで、解答速報の失態もあり、心なしか練成会についての言及が多くなっているような気がします。
で、この度の直接の発端は、私が「佐鳴に練成会が呑まれる」説をあくまで「予想」として根拠を挙げて述べたところにあるのではと、勝手に自負しています。
詳しくは第24回と番外4をご覧いただければと思いますが…そこでは同時に「それはない」というご指摘を頂いたりする一方で、沢山の反応をいただきました。

ということで、予想は予想だから当たらないこともあるけど…う~ん、と思っていた矢先、練成会は新たな動きを傘下の「札幌セミナー」において始めました。
今日はそのお話。

その新しい動きとはNEXUS(ネクサス)。
チラシには「新・自立学習システム」と宣っております。
あ、HPでも発表されましたな、少しチラシより遅れたけど。



で、チラシを見る限り、私に言わせれば個別指導のシステムなんだけど、ブースで個別に映像授業、それを定着させるために学力トレーニングと銘打ったオーダーメイドのプリントによる演習、更には教室長らのフォローもバッチリという、とにかく斬新さがある模様。

「ふーん、新しい個別指導のシステムねぇ…」とマジマジとチラシを見る私は、そこであることに気がつきました。

チラシの中央に映像授業の写真が四枚並んでいるのですが、その映像授業の講師が四枚とも見覚えのある顔が…しかし思い出すのに時間はかかりませんでした。
私は「あ!」と声をあげ、そして大爆笑しました。

なぜなら映像授業の講師が皆、あの「さなる」の講師陣なんですもの(チラシには全国の一流講師、ってなってるけど)。

なるほど、チラシの文面を見る限り映像授業といい、学力トレーニングといい、「さなる」の個別指導部である「進学個別パートナー」のシステムそのもの。
それで「新しい個別指導のシステム」とは…

まぁ、いろんな塾が他塾のシステムを断片的に導入しているのはよくあります。
でもここまで大々的に、しかも宣伝までするとは…

このネクサス=さなるの個別システムは、ひとまず厚別区の二校舎で今春スタートさせるようですが、何でこんな裏側が透けて見えるようなシステムをここに来て導入するんでしょ…
いや、何よりなぜこんな種明かしが直ぐに解るようなことを、平気でやるんでしょ。
消費者の目は誤魔化せるという目算でもあったのでしょうか、百歩譲ってそうだとしても業界関係者からすれば、こうしてソッコーでばれる代物ですよ…それをさも「どうだ!」と言わんばかりに触れ回っていることに、あさはかさを感じるのは私だけなのでしょうか。

いや実際、別に他塾のシステムを導入することが悪いんじゃない。但し、それをまるまる別な名称つけて、「札幌セミナー初」と売り込む…しかもそれが「新・自立学習システム」って…その塾が「自立」して「学習システム」を構築できないのに、何だかなぁと思ってしまうのですよ。

最後に。
冒頭の話の通り、やっぱり、練成会がさなるに呑まれる話はないかもしれない。
でも実際はすでに呑まれてるんじゃないか…こうして個別システムをモロに使っている以上、私は私の予想が外れたわけじゃない、という少しだけ妙な自信を、このチラシは私に与えてくれました。

その点は感謝、ですな。

ということで、また次回。

本編は模試のことを語りたいのですが…なかなか。
ま、大したことはやるつもりないのですが…嗚呼。

教育遊戯・番外6~果てしなき入試日の疑問~

2009-03-06 15:15:06 | 教育遊戯
こんにちは。

まずは塾業界、そして中3生のヤマ場である、公立高校入試を迎えており、関係者の皆さまにおかれましては「お疲れ様です」の一語に尽きるところです。

前回(その前回については大変失礼しました)も申し上げたようにこの場で、今年の入試で云々と見解を述べる気はありません(要望があれば考えますが…それもないし)。
何はともあれ、春はもうすぐです、とだけ。

ご存知のように北海道では4日に入試がありました。
で、民放の3局で解答速報があったわけですが、今日はその話。

とはいっても、TVHのニスコは論外として、HBCの進学会も何かなぁという感じ。
なぜなら、ニスコは……だし、進学会は毎年顔ぶれが同じでオッサンとエリートの匂いがプンプンして、何かなぁ…という気がするんですな。
あくまで、個人の勝手な思いですがね。

で、気合い入れてUHBの練成会グループ様のを見ました。
ま、練成会がやるのは数年ぶり、しかもSTVから乗り換え…というのがあったからなのですが…。

うんとねー。
いや、気持ちは解るのよ、気持ちは。
やりたいことはわかるのよ、やりたいことは。
でもさ…入試当日にやる内容かね、これ。

まず。
タイトルの「入試改革元年~」から、従来の解答速報と違うのか?というのは予感としてあったけどさ、裏で進学会やニスコがボーダーや解答を述べるなかで、司会(二名もいるか?)と今村さんの能書きとわざとらしいやり取りが冒頭延々と続き、「おい…」と突っ込みを入れたくなりました。
何というか、そりゃあ予定通りなんでしょうけど、入試の日に明らかに他局と違うことやって焦んないんですかね、練成会さんは。

いずれにしても、こんなノラリクラリなら、各高校の予想ボーダーとか解説とかどうすんだろ…と思ったら、解説は裁量問題の対処の仕方とかに終始するだけだし、ボーダーはほんの一部の高校のみだし(まぁ、進学会もやや以前より挙げる学校を絞った感があるけど…それにしてもこれはひどすぎ)。
何ですかね、HP見てねみたいのはあったけど、でもテレビでボーダーに取り上げれない高校は高校じゃないと言われてるみたいで嫌ですな。
少なくともいいもんじゃないですな。

ただね…「北海道の私教育」さんほど、辛辣に言うほどではない、というのが私の感想。
あの番組は入試日にやる必然性はなく、別日別時間に「教育情報番組」としてやれば、まぁ納得できるかもな、かな。

とすれば、ポイントは何でああいう番組を入試日にぶつけたのか、ということ。
やっぱり人選(今村さんはじめ相変わらずの出演者もなー)含めて、トップが決めたんでしょうか。だとすれば、どういう認識から、こんなことをしたの?と聞いてみたい。

そういえば…
「北海道の私教育」サイトさんの3月3日の記事には、練成会の社員の方々への訴えが綴られています。
一言、なかなか鋭いです。
しかもですよ、この管理人さんは練成会OBなんですな。
ということは、すでに去った人とは言え、現役の練成会職員の皆様にしてみれば先達であることには変わりないはずの方なんです。

…という方にああいうことをズバリ言われ、入試日にああいう放送をする上層部や練成会全体に現役の練成会職員の方々は何を思うのでしょう。
「借金多くて、M&Aされるよぉ…」とおののいているだけなのでしょうか。

勘違いしないでほしいのです。
誰かを別に叱責する気はないのです。
ただ素朴な疑問として「おかしくない?何か社内で動いた方がいいんじゃないの?」と聞きたいのです。

だってあの放送だけでも、違和感しか残らないもん、ホントに。

…というのが入試日の感想です。ま、エッセイと思ってください。
ということで、また次回。

教育遊戯・番外5~3月の喧騒の中で~(訂正)

2009-03-02 23:57:18 | 教育遊戯
こんにちは。

何やら言及しなければならないことがでてきましたので、番外編です。

とはいえ、例えば明後日の北海道の公立高校入試については述べません。
これについては「北海道の私教育」サイトさんが何やらやるようなので、こちらの出る幕はない、ということで。

ただ…テレビの解答速報が…ねぇ。
毎年おなじみの進学会がHBCでやるやつの裏で、練成会グループがUHBでたっぷりやるらしいという、ちと驚くことが!
入試と同時にこちらにも地味に注目です、とだけ。

ところで、先日まで滔々と述べてきた、その練成会と「さなる」の云々話ですが、「北海道の私教育」サイトさんがいよいよ見解を述べられてます。
それによると…

はい、こちらの予想、ハズレですな。多分。

ま、あくまで予想であり願望だったので、外れるのはいいんですが…でもなぁ、この説が現実になると、教育後進の北海道が「さなる」「秀英予備校」「進学会」という全国を席巻する地方大手塾の三強が全力で本気でぶつかる大激戦区(三強がぶつかっている地域は静岡・愛知もあるが進学会が弱すぎるので…)となり、私教育業界がかつてない激変となること、また「さなる」のあの独自の教育システムが公教育にも相当の刺激を与える…と考えていただけに、一言で言えば…残念!、です。

ただし、練成会が何者かによって呑まれるのは確かなようですけどね。
なのに、テレビで解答速報って…うむむ予想外。

それにしても、我ながらう~ん…ですな、色々と。

ということで、入試シーズンが佳境を迎えています。
関係者の皆様のご健闘を祈りつつ、また次回。