(4、北海道の「壁」)
こんにちは。
今日も1コマです。
前回は秀英は北海道で成功するのでは?という話をしました。
まぁ実際に生徒数もそんなに「悪くない」水準のようです(当初計画よりは若干少ないが)。
しかし、この秀英の北海道進出を成功させるまいと言わんばかりに、そびえる「壁」が存在するのもまた事実です。
これが今日のテーマです。
「壁」とは北海道のライバル塾のことではありません。
北海道の冬の気候です。
秀英は山梨など降雪地にも校舎展開していますが、多くは温暖な地域に校舎を構えています。
しかし札幌は降雪地帯の上に、中部と比べ物にならないくらいの寒冷な地域です。
寒冷の結果、何が起こるかと言うと、まず道路が凍結します。
道路の凍結は事故の多発と交通渋滞、そして交通事故を招きやすくします。
秀英に限らず大手の塾では本部と校舎、校舎と校舎の移動には必ず社員の自家用車を要するわけですが、いかに秀英の精鋭講師陣とは言え、地の利が無い上に札幌の凍結路面に慣れずに渋滞に巻き込まれたり果ては、事故によって授業に支障をきたす可能性があります。
今後、札幌より寒い旭川などに進出するようなことになれば尚更です。
また、たとえば進学会のような塾がなぜこまめに「1中学校に1教室」の勢いで賃貸とは言え校舎を構えているかと言うと、コストの軽減で賃貸の校舎という側面は前述したとおりですが、その一方でそれは生徒の通塾のためでもあるのです。
つまり冬場の急な天候悪化でも何とか無理なく通えるように、質より量でたくさん校舎を展開しているというわけです。
しかし秀英の校舎展開は独立の専用校舎ビルであるために、進学会ほど同一地域に校舎を建てることはできません。
そうなると遠距離での通塾になってしまいます。
夏場はそれでもよいでしょう。
しかし冬場はどうでしょうか。
天候悪化などにより、保護者の運転する車で通うことができればいいですが、できなくなったり、その行為が負担になったら、塾の授業を休みがちになりあげくには塾をやめるということも考えられなくもありません。
更に北海道の風雪は、建物の耐用年数の短縮を招きます。
秀英のガラス張りの自社物件校舎も例外ではなく、建物の暖房や防寒の態勢も含めて、近い将来北海道の校舎がコストとして重くのしかかることも考えられます。
ちなみにこの冬の積雪は例年以上です…。
また、この話と直接の関係はありませんが、「道産子」の小中学生に、中部地方で培った秀英の指導のノリが通用する、という保障はありません。
テンションの高さから、比較的クールな道産子がビビッてしまうこととてありえるのです。
…とまぁ、必ずしも成功するとは限らない、失敗するかもしれない理由もこれだけあげることが出来るわけです。
そして事実、「ただでさえ不景気の北海道への進出はコストがかかる」として本州資本の学習塾は北海道進出には二の足を踏み、進出するにしても傘下に任せ細々と運営する、といった具合に極力、会社本体へのダメージが少なく済むよう、工夫をして進出してきた、という歴史的経緯があります(しかも結果として成功とは言えない状態になっているところが多い)。
そのような状況の中で秀英の進出は危険であるような気がしないでもありません。
しかしそれでも私は結論として秀英は、少なくとも進学会や練成会のシェアをある程度喰い、北海道でも躍動するのではと思うのです。
なぜなら、今までの大手の塾には無いもの、「独自の指導体制」が秀英にあるからで、これが更に秀英の「イメージ」としてがっちり定着すると、簡単に消費者である小中学生やその保護者は秀英に流れかねません(今の保護者はわが子にきめ細かい指導・教育をとにかく要求する傾向にある)。
現に、前述した通り夏期講習会無料というエサもあって、札幌では一定の生徒数を獲得しました(ただし、当初計画よりは若干少ない)。
あとは、秀英は札幌で早い段階で小中高一貫教育の達成…すなわち大学受験部を始められるかに焦点が絞られます。
というのも北海道の学習塾にはその概念はなく、進学会は現役高校生対象の高校部があるだけで、しかも英語と数学の2教科指導しかないですし、練成会も進学会と同様か、東進衛星予備校の加盟で済ませている状態です。
秀英と似ていると評した志学会も高校部は東進衛星予備校に頼っているのが現状です。
そうなると、大手の学習塾である秀英が北海道でも高校生対象のクラスも全教科正社員講師による自前の授業を展開し、小中高一貫教育達成となれば、地元では画期的なことと評され、注目されるのは容易に想像ができます。
北海道で秀英が展開していくことは、楽ではないかもしれない。
しかし数年後には「北海道に秀英あり」と言われるまでになるのではないだろうか、と私は札幌白石本部の建物を見ながら、結論に達しました。
それにしても…私はそれとは全く別のことに気がつきました。
それは秀英の塾運営の方法が、北海道で新鮮で、札幌の教育のニーズに応えるであろう、ということをここでは書いてきたわけですが、それは同時に、元来の北海道の塾業界が教育ニーズに応えられていない、ある種の後進性を物語っているのではないか、ということです。
とりわけ2大勢力の進学会や練成会は秀英に進出に焦っているということは、自らの教育態勢に自信がないことの表れではないのか…否、そもそも彼らにとって黒船のような存在の秀英や、ライバルの佐鳴にしても果たしてよい点ばかりなのだろうか。
だいいち塾は教育産業であるはずなのに、大手塾を見る上での目線が、勢力争いにいってしまいがちです。
ならば本来の教育の仕事や、それを支える人材はきちんとしているのでしょうか。
思えばここまで教育施設であるはずの塾の見聞であるにもかかわらず、表層の規模にばかり目がいっていまいした。
しかし本来は教育をしっかりやっているか、質のよい講師がいるかという、地味ですが表からは見えにくい部分に、この見聞を通して光を当てるべきではないか…私は改めて、この講義が新たな段階を迎えていることを感じました。
ということで「影のプロローグ」は終わり、いよいよ「影の第1章」です。
ここからは、進学会や練成会、佐鳴や秀英の表層ではない「教育施設」としての姿勢、そしてそのことからみえてくるものについて考察していこうと思います。
まずは進学会と練成会について、次回から。
今日はここまで。
それでは、また。
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こんにちは。
今日も1コマです。
前回は秀英は北海道で成功するのでは?という話をしました。
まぁ実際に生徒数もそんなに「悪くない」水準のようです(当初計画よりは若干少ないが)。
しかし、この秀英の北海道進出を成功させるまいと言わんばかりに、そびえる「壁」が存在するのもまた事実です。
これが今日のテーマです。
「壁」とは北海道のライバル塾のことではありません。
北海道の冬の気候です。
秀英は山梨など降雪地にも校舎展開していますが、多くは温暖な地域に校舎を構えています。
しかし札幌は降雪地帯の上に、中部と比べ物にならないくらいの寒冷な地域です。
寒冷の結果、何が起こるかと言うと、まず道路が凍結します。
道路の凍結は事故の多発と交通渋滞、そして交通事故を招きやすくします。
秀英に限らず大手の塾では本部と校舎、校舎と校舎の移動には必ず社員の自家用車を要するわけですが、いかに秀英の精鋭講師陣とは言え、地の利が無い上に札幌の凍結路面に慣れずに渋滞に巻き込まれたり果ては、事故によって授業に支障をきたす可能性があります。
今後、札幌より寒い旭川などに進出するようなことになれば尚更です。
また、たとえば進学会のような塾がなぜこまめに「1中学校に1教室」の勢いで賃貸とは言え校舎を構えているかと言うと、コストの軽減で賃貸の校舎という側面は前述したとおりですが、その一方でそれは生徒の通塾のためでもあるのです。
つまり冬場の急な天候悪化でも何とか無理なく通えるように、質より量でたくさん校舎を展開しているというわけです。
しかし秀英の校舎展開は独立の専用校舎ビルであるために、進学会ほど同一地域に校舎を建てることはできません。
そうなると遠距離での通塾になってしまいます。
夏場はそれでもよいでしょう。
しかし冬場はどうでしょうか。
天候悪化などにより、保護者の運転する車で通うことができればいいですが、できなくなったり、その行為が負担になったら、塾の授業を休みがちになりあげくには塾をやめるということも考えられなくもありません。
更に北海道の風雪は、建物の耐用年数の短縮を招きます。
秀英のガラス張りの自社物件校舎も例外ではなく、建物の暖房や防寒の態勢も含めて、近い将来北海道の校舎がコストとして重くのしかかることも考えられます。
ちなみにこの冬の積雪は例年以上です…。
また、この話と直接の関係はありませんが、「道産子」の小中学生に、中部地方で培った秀英の指導のノリが通用する、という保障はありません。
テンションの高さから、比較的クールな道産子がビビッてしまうこととてありえるのです。
…とまぁ、必ずしも成功するとは限らない、失敗するかもしれない理由もこれだけあげることが出来るわけです。
そして事実、「ただでさえ不景気の北海道への進出はコストがかかる」として本州資本の学習塾は北海道進出には二の足を踏み、進出するにしても傘下に任せ細々と運営する、といった具合に極力、会社本体へのダメージが少なく済むよう、工夫をして進出してきた、という歴史的経緯があります(しかも結果として成功とは言えない状態になっているところが多い)。
そのような状況の中で秀英の進出は危険であるような気がしないでもありません。
しかしそれでも私は結論として秀英は、少なくとも進学会や練成会のシェアをある程度喰い、北海道でも躍動するのではと思うのです。
なぜなら、今までの大手の塾には無いもの、「独自の指導体制」が秀英にあるからで、これが更に秀英の「イメージ」としてがっちり定着すると、簡単に消費者である小中学生やその保護者は秀英に流れかねません(今の保護者はわが子にきめ細かい指導・教育をとにかく要求する傾向にある)。
現に、前述した通り夏期講習会無料というエサもあって、札幌では一定の生徒数を獲得しました(ただし、当初計画よりは若干少ない)。
あとは、秀英は札幌で早い段階で小中高一貫教育の達成…すなわち大学受験部を始められるかに焦点が絞られます。
というのも北海道の学習塾にはその概念はなく、進学会は現役高校生対象の高校部があるだけで、しかも英語と数学の2教科指導しかないですし、練成会も進学会と同様か、東進衛星予備校の加盟で済ませている状態です。
秀英と似ていると評した志学会も高校部は東進衛星予備校に頼っているのが現状です。
そうなると、大手の学習塾である秀英が北海道でも高校生対象のクラスも全教科正社員講師による自前の授業を展開し、小中高一貫教育達成となれば、地元では画期的なことと評され、注目されるのは容易に想像ができます。
北海道で秀英が展開していくことは、楽ではないかもしれない。
しかし数年後には「北海道に秀英あり」と言われるまでになるのではないだろうか、と私は札幌白石本部の建物を見ながら、結論に達しました。
それにしても…私はそれとは全く別のことに気がつきました。
それは秀英の塾運営の方法が、北海道で新鮮で、札幌の教育のニーズに応えるであろう、ということをここでは書いてきたわけですが、それは同時に、元来の北海道の塾業界が教育ニーズに応えられていない、ある種の後進性を物語っているのではないか、ということです。
とりわけ2大勢力の進学会や練成会は秀英に進出に焦っているということは、自らの教育態勢に自信がないことの表れではないのか…否、そもそも彼らにとって黒船のような存在の秀英や、ライバルの佐鳴にしても果たしてよい点ばかりなのだろうか。
だいいち塾は教育産業であるはずなのに、大手塾を見る上での目線が、勢力争いにいってしまいがちです。
ならば本来の教育の仕事や、それを支える人材はきちんとしているのでしょうか。
思えばここまで教育施設であるはずの塾の見聞であるにもかかわらず、表層の規模にばかり目がいっていまいした。
しかし本来は教育をしっかりやっているか、質のよい講師がいるかという、地味ですが表からは見えにくい部分に、この見聞を通して光を当てるべきではないか…私は改めて、この講義が新たな段階を迎えていることを感じました。
ということで「影のプロローグ」は終わり、いよいよ「影の第1章」です。
ここからは、進学会や練成会、佐鳴や秀英の表層ではない「教育施設」としての姿勢、そしてそのことからみえてくるものについて考察していこうと思います。
まずは進学会と練成会について、次回から。
今日はここまで。
それでは、また。
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