羊蹄学園大学社会学部講義集

北の大地に突如としてできた架空の大学。
かつてないテーマで綴る社会学とは?

教育遊戯・第20回~提携~

2009-01-28 00:00:56 | 教育遊戯
こんにちは。

いよいよ2ちゃんねるのスレッド「(北海道)北大学力増進会VS練成会」に、この「羊蹄学園大学社会学部講義集」が話題に上るようになりました。

これは…喜ぶようなことなのか、出世したとみていいのか…悩むところです。
しかも取り上げられ方もよくわかりませんし…うむむ。

さて、今日は前回に引き続き、もうひとつ記事を見てもらおうと思います。

以下は2008年7月の「月刊私塾界」でのさなるの代表のインタビュー記事です。

─ 九大進学ゼミにおける、これまでの取り組みと今後の展開をお聞かせください。

 「九大進学ゼミの塾名はそのまま残しつつ、2008年1月「株式会社ヒューマンネットワーク」から「株式会社さなる九州」に社名変更しました。この一年、“さなるカラー”を押しつけることなくテコ入れを続けてきましたが、ありがたいことに前オーナー時代の教育のおかげで優秀な社員が非常に多く、むしろ自主的に「さなる化現象」が沸き起こっています。
 さなるから社員を送り込むことはいっさいせず、九大進学ゼミの社員を数人ずつ招く一年間の「留学制度」を作りました。さなるから九大進学ゼミに対し、出向負担金として留学生の給与相当額を全額支払います。留学生たちはすぐにさなるの気質に溶け込み、一年間さなるの風土から多くを学び取り、九州に戻ってからは二つの異文化を融合させるべく中心人物として活躍しています。彼らの中からあと一年で“スーパースター”の教師が生まれてくることが楽しみでなりません。
 2009年からはいよいよさなるの社員を送り込み、お互いに刺激し高め合っていければと願っています。
 異なる文化の融合・定着には、1年~1年半は必要です。地域社会に声が響くのは、さらに来年春~夏頃でしょう。九州エリアでも個別指導のニーズが高まってくることが予想されます。この春、福岡県内で六校舎を新規開校した「進学個別パートナー」を、今後も展開していきます。

─ 塾業界でもM&Aが常態化しつつありますが、これからも積極的に進められますか。

 地域に根ざした塾との協調路線でM&Aを進めていくことが得策です。何の足掛かりもなく九州に進出していたなら、投資額はヒューマンネットワークの株式取得額25億円では到底不可能だったでしょう。現状まで築き上げるのも、10年は要したはずです。
 さなるが九大進学ゼミから学んだことも多々あります。夏期・冬期講座からの継続率についてはさなるが1~2割で、九大進学ゼミは6~7割を超えます。九大進学ゼミのノウハウから学び、さなるでも今年の夏期講座から実験的に継続率アップ対策を図ります。

─ 中萬学院、えいすうグループとの友好的なご関係をお聞かせください。

 相互に株式を持ち合うことにより、“連合体”ともいうべき関係を築いています。三社が連合することにより、今まで以上にお互いの強みを提供し合い、高いシナジー効果を生み出す資本・業務提携が理想形です。いわゆる地方塾である当社にとって、よりグローバルな視点に立った戦略を推し進める契機としたい、そう考えています。

─ 全国の教育関係者の皆さんを奮い立たせる、元気の出るメッセージをお願いします。

 やはり、「個別指導が起爆剤になる」ということでしょう。地域のナンバーワン塾になることも大切ですが、ブランド志向が強すぎると他社から成功事例を学ぶという謙虚な姿勢を見失いがちです。利益追求や生徒数の増減を管理する組織づくりが甘いと、危機感が薄くなってしまいます。そうならないためにも、自らの位置を省みる貪欲な姿勢を忘れてはならないと思います。


前回の三島進学ゼミナールとの提携、そしてこのインタビューから見えてくるものは何か、私なりに次回からお話していきます。

それでは、次回。

教育遊戯・第19回~主軸~

2009-01-24 00:00:23 | 教育遊戯
こんにちは。

先日、この講義集立ち上げに際してアドバイスくださった方から「最近のは頑張っている、面白い」と感想をいただきました。
ありがとうございます。

と同時に、「では以前のはつまらなかったのか」ということになるのですけど、というよりはこの方は塾や教育業界に縁もゆかりもない人、そういう人から見れば少し前の内容は専門的過ぎた、という話でした。

ここで思うのは、誰を相手にやっているかということ。
何かの役に立ちたいと思うのは当然ですが、それが何なのか。
思えば、開設当初は小中学生の保護者が多く見るのかなぁと思ったものですが、塾関係者ばかりです、実際は。
それは悪いことじゃないし、別に構わないのですが、と同時に見ているにもかかわらず会社のこともあって仕方ない部分もあるにせよ、コメントの類も少ないことに、塾関係者というのは陰気って思われても仕方ないだろう、これじゃ…と思ってしまいます。
コメントあってもあんな感じだし…ねぇ?

そして更に思うのは、我が子の塾選びにチラシやCMで安直に決める保護者の多いこと!
我が子の勉強不足の前に親がそもそも勉強不足…これじゃあ、成績なんて上がらないよなぁ…というトホホな心境があります。

ま、それにもめげず頑張るわけですが…

さなるの話を改めてしよう、と思ったのは、前回も冒頭でお話ししたように、三島進学ゼミナールとの提携話があったからです。

以前紹介したように、静岡の大手塾は大井川を境に東を秀英、西をさなるが占めてきました。
ところが同じ東でも一番東端の県東部は微妙でした。
富士市は秀英が、沼津市はかろうじて「さなる」が、そして三島市は三島進学ゼミナールが占めていたからです。
つまりさなるも秀英も同じ静岡県内でありながら縁の薄い地域ゆえ地場の大手塾である、三島進学ゼミナールがなかなか頑強に君臨していたのです。

では、なぜ三島進学ゼミナールはさなるとの連携を決断したか。
三島進学ゼミナールではこう言っています。

先に述べたように現状のゼミナールにはなんら問題はありません。しかし、これから10年あるいは20年先を考えたときにインターネット、パソコンを使っての在宅学習がさらに発達することが予想されます。そのような中で私たちが今メインとして行っている集団一斉授業の形も、いろいろな学校から意欲ある生徒が集まって切磋琢磨する塾本来の姿として維持していくと共に、新しいIT技術を取り入れた効率的効果的な指導を取り入れたものに進化していくことも必要です。
そして、そのようなシステムやソフトの開発には私どもゼミナール単独では成し得ない技術開発力や資本力が必要です。それらを考えたとき、今回の佐鳴予備校との業務提携も一つの選択肢であると考えるに至りました。
 佐鳴予備校代表の佐藤イサク氏と前塾長谷澤秀行とは27年以上におよぶ盟友であり、これまでも互いに良い意味でのライバル心を燃やしそれぞれ理想の塾の実現を目指し競い合ってきました。その結果、佐鳴予備校は業績では全国ナンバー1の塾となり、三島進学ゼミナールは限られた地域の中での集客力や信頼度では業界ではナンバー1と称される塾となりました。授業方法や経営手法は違っていても、理想の教育を目指すという根本理念では共通したものがあります。
 前述のような情報化社会の中で新しいメソッドを開発し、従来の塾の持つ良さをさらに発展させていくために、お互いがこれまでに蓄積したノウハウを提供しあうことがベストの方法であると両者で意見が完全に一致し、今回の業務提携が実現しました。


うがった見方をすれば今後の拡大の目算が立たない、と見ることもできるような…。

同様にさなる側は…

これまで互いに指導技術の練磨に努め、それぞれが独自の発展・成長を遂げてまいりました。ところが昨今、文科省主導の「ゆとり教育」の煽りを受けて全国的に学力低下の危機が叫ばれ、また首都圏と地方では歴然たる教育格差の現実が存在するなど、教育界は混迷を極めています。生徒のニーズも多岐に渡り、これまでの一斉授業だけでは対処しきれない場面も少なくありません。佐鳴予備校では個別学習指導の体制を強化し、また自律学習のシステムを新たに開発するなど、指導形態を多様化してまいりましたが、まだまだブラッシュアップの余地があります。同様の問題意識を持っていた谷澤前塾長からこのたびお話があり、教育の更なる高みを目指すべく議論を重ね、今回の業務提携の実現に至りました。これより三島進学ゼミナールはさなるグループの一員となり、志を同じくして地域の理想の教育実現に向け、邁進することとなります。互いに学ぶべきところは多大であり、双方に大きなメリットのある提携であると確信しています。
生徒たちのために佐鳴予備校に通われているお子様にとって、これまでの指導形態になんら変更されるところはございません。互いに「他塾」の垣根を取り払い、たとえば入学金を重複して支払うことなく一方の塾の生徒がもう一方の塾で特別コースを受講できるシステムなど、どちらに所属する生徒も双方のいいところを享受できるような連携指導の方法は検討しておりますが、基本的な校舎の運営そのものについて、これまでと変わるところはありません。


という感じです。
これを元にここから話を膨らませていきますが…それはまた次回ということで。



教育遊戯・第18回~裏口~

2009-01-19 00:00:23 | 教育遊戯
こんにちは。

この不況の最中、各塾の動きが活発です。
本当は後日語ろうと思ったのですが、ちらっと思うことを。

まず秀英。
この春、福岡進出で手一杯と思ったら、何ともまぁ札幌の北部「あいの里」に新校舎建設って…これは予想外で驚いた。
教育大付属中の生徒の確保もあるのでしょうが…いやはや。

それから進学会。
「こどもクラブ」との合併話が白紙って…関係者のインタビューまでやった、こちらとしては、ちと複雑です。

最後に「さなる」。
静岡県東部の三島進学ゼミナールとの提携を発表しました。
これはねぇ…色々思うところがあるのですよ…しかもこの事象だけでとらえちゃいけない部分もあるのだけれど、うーん…これも驚いたなぁ。

で、練成会は…ないですね。
まぁそれについてもおいおい…。

さて…
前回は大手塾への就職活動の一端をインタビューを通じてみていきました。
このインタビューから見えてくるものとはなんでしょうか。

前々回では練成会での就職を願う若人の話をしましたが、ここで私なりに疑問符のつく若人まで内定をもらう、ということもお話ししました。

実はこれには続きがあって、私が出会った若人の中にこのようなことを言ってくることがありました。

「知ってる先生と会って話をしたので、すんなり…」

どういうことか、前回のインタビューもあるので、もうおわかりでしょう。

話は簡単。
つまり強いのはその塾のOBで通っていた時の講師にアポイントがとれること、更にその講師がそれを受けて上に有利に話をつけてくれること…いわば一種の縁故、もしくは「裏口」的な入社がかなりの部分で横行している、ということです。

考えてみれば一般的な会社と違い、直接の顧客は子供です。その子供が成長し、就職を考える年齢になった時、その人を取り込めば生徒の時に塾のシステムが染み付いているから、入社後の育成がしやすいし、知ってる講師にしてみれば、自分の小飼(こがい)ができる…など双方向のメリットがあるわけです。

が、だからといって安易に採用してしまっていいのか、いや採用される側も安易に楽に「裏口」的なことしていいのか。

だけれど、この背景に本当に横たわっているのは、そういう塾に限っての「人材不足」、もしくは「人がいても質が悪い」という根本的な問題です。
だからでしょう、練成会の求人サイトはやたら立派ですよね、秀英もさなるもだけど。

で、結局これも練成会とか、特定の塾の話ではありませんが、昨年のことでこんな末期的な話がありました。

ある人はもともと大手塾の個別指導部門で教室長としておりましたが、人間関係と精神疾患で退職。
数年故郷で精神を癒し、社会復帰と可能となったので、別の大手個別指導塾で勤務。採用の際、担当者は「経験」があることで飛び上がって喜びGO!だったものの、現場で長くやっている他の人間は、その人の持つ雰囲気から何となく「嫌な予感」がして、採用を反対。
結局、採用され、その人はバリバリ働きます。その塾の躍進に3ヶ月の勤務で大きく貢献しました…が、上司や採用担当者らとトラブルとなり、あっさり退職。
で、その人は退職してそのまま元の大手塾の個別指導部門に泣きつき、復職…めでたし、めでたし。

何が言いたいのかというと、別にその人をどうとか言う気はないのですよ、とりあえず。
要は元の大手塾は、そんなに「人材がいないのかよ!」と言いたいし、別塾は「どんだけ人を見る目がないんだよ!」と言いたいのですよ。

何というのか、人がいないことで、何でもありになりつつあるのですよ、この業界は。
そこが嘆かわしい。
それで教育といえるのか、ということです。


この数回、練成会を目指す若人との出会いから業界の採用や人材について話してきました。
話を戻すと、じゃあ足腰のもともと強くないであろう練成会、やばいんじゃないかと思われると思います。

次回からその辺を…やる前に、冒頭でお話した「さなる」の連携話、こちらを膨らませ、話を多岐に展開したいと思います。

それでは、次回。

教育遊戯・第17回~採用~

2009-01-13 17:04:55 | 教育遊戯
こんにちは。

前回の冒頭でお話ししたように2009年は非常に大事な年です。
経済情勢が教育業界にどう影響を及ぼすか、これは当たり前のことですが、一方で指導要領の改訂、とりわけ小学校の英語必修化、これは教育の需要を増やすチャンスとなる材料となるわけで、これをうまく活用できるかがポイントになります。
視点を変えれば北海道、とりわけ札幌圏は公立高校入試が大改変です。この春の入試の結果がどうなり活かされるのか、興味深いところです。
これらについても、まとめて話したいところですが…ま、そのうち。

さて…
今日は前回を受けて、ある塾の採用のカラクリについて話を進めていきます。

以下は数年前に、ある大手塾の就職を考えた、当時の大学4年生にインタビューした記録です。

Q、まずはどういう感じでその塾の就活を進めていたのか。
A、当時、めぼしい合同会社説明会にその塾が参加していれば必ず足を運び、その塾のブースに顔を出していた。多分、人事の連中は私の顔を覚えたと思う。

Q、単独説明会や試験はその後か。
A、そうだ。単独説明会では挙手して皆の前で質問するくらい、熱心さをアピールした。

Q、そして一次試験ということか。
A、いや、その前に自分で会社訪問をしようと考え、人事に電話した。

Q、塾の会社訪問とは行き先は本社か、それとも教室か。
A、本社で応接室に人事と一対一で面談した。

Q、何を話したのか。
A、よくある話だが、とにかくこちらの熱意を伝えた。元々私はその塾のOBなのだが、それをしきりに訴えた。それだけ思い入れがあることを伝えたかったからだ。

Q、人事から何か聞かれたか。
A、塾生だった頃に教わった講師の名前をまず聞かれた。できるだけ名前を挙げたのだが、人事の人間はその名を聞いて、呼び捨てしていることが気になった。

Q、呼び捨ては珍しいことではないが…それ以外に気になったことは。
A、その後、「それらの講師に、今回こうして採用試験を受けることを連絡したか?」と聞かれた。私は「してないし、しない」という旨を伝えた。

Q、そう答えた結果、人事の反応はどうだったか。
A、これはあくまで個人的な感想だが…明らかにそこで空気が変わったと、今でも思う。

Q、どういうことか。
A、私がそう言った途端、明らかに人事の顔色が変わり、和やかな空気が冷えた感じがした。

Q、つまり人事はそれであなたを落としたということか。
A、勿論、後日筆記の一次試験があって、その後不採用通知が来た。だから試験の結果がまずかっただけだろ、と言われても仕方がない。だけども私はあの瞬間が全てだったと思えてならない。

Q、それほど印象に残っているということか。
A、そういうことだ。どうしても引っかかっている。


…さて、どう思われたでしょうか。

私はこの話を聞いてピンと来るものを感じました。

それは…まぁ皆さんもお気づきかもしれませんが、それについてはまた次回。

教育遊戯・第16回~若人~

2009-01-06 00:00:40 | 教育遊戯
こんにちは。

この年末、塾業界に様々な動きがありました。これは景気後退と業界再編に関わる話でもあるのですが…どこかで解説したいなと思います。
はてさて、いつになるのか。

さて今日は前回の続きなのですが…。
そもそも私がなぜ練成会の人材について話すのか、そこから話していきましょう。

実はこの数年、私は札幌圏の大学生と知り合うことがちらほらあるのですが…そのうち数人が、私にこう言ってくることがありました。

「練成会に内定もらいました」
「練成会での就職目指そうと思います」

私はそれに対して何かを言う勇気はありませんでした。
練成会に対して少なからず疑念を抱く立場の私です。
本来なら「考えてみなよ」とか言うべきだったかもしれません。
しかし私は「よかったね」とか「がんばって」の月並みな一言のみで何も言いませんでした。
多分これからもそうでしょう。

なぜ言わなかったか、「個人の自由だし」というありきたり理由以外の理由が2つ。
1つは若人のまばゆい希望に燃える眼差しがそこにあったから。
そこで何を言っても野暮になると思ったからです。
もう1つは、たとえ彼らに何かを言っても多分純朴な彼らは「まさか」というセリフの元、聞こうとはしないだろう、という判断がはたらいただめです。

まぁ、この2つの理由の元、何も言わなかったのは果たして正解なのか悩むところです。
ただ…残酷な見方をすれば、若人だからこそ、身をもって体感し、痛い経験をすることで、どんな会社・業界なのかを知り、その後の人生を強く生きるためのひとつの勉強になるのでは、と勝手に納得させてしまう時があります。
それも正解と言い切れないのでしょうが…

ところで。
私がこうして練成会の入社を決める、もしくは夢見る若人を見るにつけ、かなりの割合で思うことがあります。

「君が練成会に?イメージ湧かないなぁ…」

どういうことかと言うと、練成会を目指すのはいいとしても、どうも自分の塾業界での見聞を広めた経験を照らし合わせて考えるのですが、どうしてもその若人が練成会で躍動しているイメージが湧かないのです。
そもそも塾や教育に情熱を傾けるタイプだっけ…?でも採用…なぜ?

ここでカラクリが見え隠れしてきます。

次回は「練成会」とは言いませんが、大手塾の人材確保のカラクリ、しかしそれでも足りず、何でもありに走るザマについて語っていきます。
あくまで「練成会」とは言いませんが。

それでは、また次回。


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それから!
謝辞、こちらこそありがとうございます。
少し年末年始をはさみ、こちらは自己整理の時間にあてております。
…としているうちに、第一部終了…(笑)。
お疲れ様でございました。
悲しいこともありましたが、今後のご活躍期待しております。
こちらは粛々とやります(笑)。


教育遊戯・第15回~人材~

2009-01-01 10:00:00 | 教育遊戯
こんにちは。

今年も宜しくお願いいたします。

年が明けてしまいました…ここからゴールデンウィークまでが塾業界では一年を決める大事な時期となります。
しかしながら、今後どんどん景気悪化が懸念されており、業界にとっては苦境が予想されます。
さて、そんな中で生き残る決めては何でしょうか。企業としての経営・営業体力か、はたまた単純な地域の厚い信頼・支持か、それとも…

さて、練成会の話を主にここから進めていきます。前回はその伏線というわけなんですが、どこから話していきましょうかね。

私の手元に2009年春の新卒者に向けた練成会のパンフレットがあります。




相変わらずカラーで見やすいのですが…何か以前よりボリュームが減ったというか、物足りないというか。
社員がクローズアップされていても、副社長や個別指導部門の本部長って、別に生え抜きじゃないんですな。確か副社長は前職がリクルートで、奥山会長の教え子だった縁でスカウトされて…人事採用担当から今の副社長だし、個別指導の本部長は前職は証券会社なんですな。

別にそれはいいのですが…ただ懸念してしまうのが何となく「企業的」な人材「営業的」な人材ばかりが前面で「教育的」人材が見えてこないような気がします。
これは進学会も同じなのですが。

思えば10年以上前の練成会は、非常に「受験指導に熱をあげ、脂きった」印象がありました。
何というのか「野武士集団」でしたね…あまりシステマチックにもなっていませんでした。
何かうまい言葉が見つからないのですが、明らかに違うのですよ。
そう!昔のほうが「塾」っぽかった。
今は外面は小奇麗な感じがするし、内向きには会社っぽい匂いがぷんぷんするし…そんな印象です。
あくまで個人的ですけど。

まぁそうは言っても優秀な人間がいればいいのですが…どうなんでしょうか。

実は昨年秋、リクルート系の就職サイトに「第2の創業」という文字が躍りました。
練成会高校部の求人広告のトップに掲げられた文字です。

練成会はご存知のように高校部の大半を「東進衛星予備校」のフランチャイズとして展開しています。
その高校部のスタッフ募集…そのスローガンが「第2の創業」…どういうことなのでしょう。

関係者に話を聞いています。

Q、「第二の創業」とはどういうことか。何か新しい展開があるということか。
A、違う。今までが失敗だったので心機一転ということだ。

Q、失敗というのは生徒数ということか。
A、同じ失敗ということで言えば秀英の北海道(札幌と旭川の2校舎)の高校部は311人(11月末現在)となっている。ところが練成会の札幌の高校部はこれを遥かに下回る。実は200人もいっていない。

Q、それはひどい。札幌に江別も含めて数校舎あるのにか。
A、そうだ。赤字経営もいいところだ。だから「第二の創業」だ。

Q、原因は何か。
A、多々あるが、校舎に配属された社員の責任がまず大きい。

Q、それは人材がよくなかったのか。
A、生徒管理の部分でひどい。例えば欠席連絡のない生徒が時間になっても教室に来ない、となったらどうする?

Q、多分、家などに電話を入れるだろう、心配だし。
A、という当たり前のことすらしないのだ。

Q、しかしそういう社員がいた場合、指導が入るだろう。
A、確かに。ちゃんと電話しろとか言われる。ところが、だ。そんなところまで手が回らないと拒否する連中が現れたりする。

Q、そうなるとどうなる。
A、やめてもらうしかなくなるわけだ。で、その穴埋めとして、そしてまた心機一転、新しい空気を入れるために人材募集となるわけだ。しかも今までの失敗を返す必要があるから「第二の創業」となる。

Q、しかしそんな現状で反転攻勢など可能か。
A、是非ともしなければならない。上は2008年度末で500名、2009年度末で1000名の生徒数確保を計画している。


どうなのでしょう。
練成会はそんなに人材がいないのでしょうか。

確かに大手塾を標榜している割には学歴の高くない人間が多いのは事実です。
例えばある本部の副本部長は確か、偏差値50を切るような札幌市内の私大卒で、しかも高校・大学受験を推薦でパスしたため、受験経験のない人です。

でも、学歴のあるなしで私は塾講師の優劣を決め付けるほど、愚かでもない。
要は、その人の全般的な能力だと思います。

じゃあ、その全般的な能力があるのか否か…次回は別の例からその点の話を進めたいと思います。

それでは、また次回。