







9月16~17日に名古屋の愛知工業大学自由が丘キャンパスで開催された「コミック工学シンポジウム2022&第8回コミック工学研究会」に参加してきました。
最初「コミック工学ってなに?」と思いました。元銀行員なので「金融工学」ならある程度分かるけど「コミック工学」というのは初めて聞く言葉だったのです。
今回懇意にしてるワコムのエヴァンジェリストの方から案内を受けて俄然興味が出て参加してみようと思ったのです。
エヴァンジェリストとは何ぞや? 有り体に言えば「伝道師」。現代のIT業界においては「ITの技術的話題を社内外に広く解りやすく布教する専門家」という意味に置き換えられて認識されています。
参加した感想は大学で漫画・アニメについてこんないろんな研究をしてるのかとただただ驚くことばかりでした。
まず、ワコムさんとクリスタのセルシスさんのお話。それぞれの会社の概要、現在の事業と今後の事業展開などコミック・アニメ業界との関わりから話を展開されました。ワコムは単なるクリエイター向けの液タブやデジタルペンだけの会社ではなく、デジタル機器を使った一般事業分野・教育分野でのデジタルソリューションを提供する会社であると。
そしてセルシスも単なるペイントアプリ「CLIP STUDIO PAINT」を提供するだけの会社ではなく、一般ユーザー向けから事業会社向け漫画制作・アニメ制作サービス、電子書籍ソリューションなどを構築・提供していると。
その後は各大学でのコミック・アニメ関連に関する研究発表が現場参加の学生、リモート参加の各校先生達から行なわれました。正直、「いや、大学ってこんなしょーもないことまでマジに研究してるの?」と思いましたね。まず一般社会ではそんな発想無いだろというような感じでいかにもアカデミック。こういうの好き。(笑)
この日一番面白かったのがリモート参加のF大学の先生の話で「人間の判断を助けるデジタルエージェント」のメンタルモデル(=擬人化 碧き鋼のアルペジオか! 苦笑)を人間として表現するには「萌え」(=人物の表現方法の1つ)の要素が非常に大事であり、工学的に応用が容易であるとの話を実例を使って説明されたこと。
それを自分自身がVチューバーになって説明してる。可愛い女の子がおっさんの声でしゃべってるのはなかなかシュールで面白かったです。(笑)
2日目も各大学の学生、先生方がそれぞれの研究成果、途中経過の発表が続きます。その中で一番興味深かったのがH大学の先生のコンピュータによる芸術作品の話。来た! 今いろいろ話題になってる絵の自動生成に関する話。これはジェネレイティブアート(計算の可視化)から始まり、マシンアート(機械が絵を描画する)を経て、人工知能画家(人間の認知能力のシミュレーション)に至るまでの話。今はミッドジャーニーに代表されるようにこの第3段階。漫画を自動生成する人工知能も実証段階。
ではこれらが実際に制作現場で使われるのか?という問題に対して最後のセッションのフリートークで大物のゲストが二人登壇して話された。「え? なにこの二人。」と驚くほど有名なお二人でした。
内密にと言うことで会社名など書けないが、結論から言うと既に制作現場で使われているという。もちろんまだ欠点などはたくさんあって「なんでこれが出来ないんだ」と思うような事がある一方、逆にこちらが出来ないだろうと思うような事は「え!? 出来るのかよ」ということもあるそうです。(苦笑)
いずれにしろこの人工知能はこれからも進化して完全に使える時代が来るだろうという話でした。これを仕事の現場で使わない会社はないだろうと。
その一方で、ではこれがクリエイターの仕事を奪うのか?という点。つまり人工知能の描く絵が人の描く絵と同列に語れるのか?という根源の問題ですね。人工知能に絵を描かすと言うことは絵を描けない人が絵を描けることになるということ、それは個人が持つ画力などの技術は意味をなさなくなると言うことです。
でも物を創造する際には人間の脳の働きが大きく物を言います。つまり自分の過去の経験、見た物、聞いた物すべてを記憶からほじくり出し、それらを繋げて新しい物を作り出す。人工知能もそれまで食った大量のデータを元に同じ事をします。違うのはデータを繋ぐための「キーワード」。ミッドジャーニーはいろんなキーワードを入れることで絵を自動生成します。
しかしこのキーワードが大問題。適当で大雑把なキーワードではそれなりのものしか出てこない。先のお二人が言ってましたが「キーワード=呪文」だと。なかなか言い得て妙ですね。最先端科学なのにいきなり異世界の魔法のような話に。(笑) 呪文を詠唱することで人工知能は新しい絵を生み出す。そしてその呪文をいろいろ考える仕事が新たなクリエイターの職種として生まれてくるのでは?と。「おまえ、どこからそんな呪文を考えついた!?」と言われる時代が来るのかも。(笑)
結局、人工知能が人間の呪文で絵を描くなら別に人間が自分で筆取って描かなくても良いよねという価値観が誕生するかも知れません。絵を描けない人にとっては朗報なのか? 絵を描く側としてはなんかちょっと嫌な気もするけど(苦笑)
あとウェブトーンのコマ割自動生成もいろいろ感じることはありました。マジに漫画のコマ割って人間独特の発想なんだなと。これを人工知能でやろうとしても現時点では全てを満足させる結果を得られない。でも人間はいとも簡単に学習してコマ割を正しく認識して漫画を読める・・ まことに不思議です。
非常に面白かったので次回も参加しようと思います。このシンポジウムはオープンなので誰でも参加可能とのことです。次回は来年2月か3月の予定。
↑ 一日目 鯛としらすの海鮮丼。 写真撮る前に食べちゃった。(笑)
↑ 一日目晩ご飯。味噌カツあんかけスパゲティ。レギュラーなのに量が半端ない。(苦笑)
↑ 2日目 小倉あんトースト。アイスコーヒーが生ビールの小ジョッキ。名古屋は度し難い。(笑)
↑ 2日目お昼。味噌中華。定番の八丁味噌ですな。(笑)
↑ 2日目 名古屋コーチンの黄金親子丼。
後半はグルメ日記になってしまいました。(苦笑)
6月29日の水曜日から7月1日の金曜まで東京へ行ってきました。
クリエイターEXPOというイベントの見学とそこに参加している知り合いに会うことと某ミステリー作家さんに会うことが目的でありました。
「クリエイターEXPO」は「コンテンツ東京2022」というイベントの中の一環で他に「映像・CG制作展」「広告クリエイティブ・マーケティングEXPO」「ライセンシングジャパン」「先端デジタルテクノロジー展」「XR総合展」が同時に開催される日本最大のコンテンツのビジネス商談会です。
今年は970社が出展。実際にその場で会社通しの商談が行なわれるので出展側も来場側も真剣勝負。でも雰囲気的にはコミケのビジネス版と言ったら分かり易いかも知れません。(笑)
ビッグサイトの東1ホールから東3ホールを使って3日間開催されます。2年前に誘われて行って感嘆したものですが今回はちょっと別の目的で視察に行きました。
いろいろ見て回って面白かったのですがこのとんでもない炎熱地獄。暑熱順化が間に合ってなかったのかかなり気分が悪くなりました。
ホテルに戻った時にはちょっとやばい感じで、テレビでやってた熱中症対策を取ってなんとか治まりましたがこんな経験は初めて。翌日は予定を大幅に変更して早めにホテルに引き揚げるはめに。
宿は久しぶりに秋葉原に。いつもコミティアの時には神田のビジネスホテルに泊まっていましたがコロナで営業を辞めてしまった。とても残念。
そして秋葉原はやはりアキバであった。オタクカルチャーの聖地であることはなんも変ってない。(笑)
この酷暑でなければいろいろ歩き回って堪能するつもりでしたが断念いたしました。マジ歩きまわるとヤバい感じがするなんて初めてです。なので駅近くの写真撮るだけで終わりとなりました。
そして最終の3日目、とあるミステリー作家さんと午後に会う約束までの時間をどう潰すか・・チェックアウトの時間までは粘ってその後は山手線一周を企画。
山手線って通しで一周したことないし、電車に乗ってるだけなら涼しいし、我ながらグッドアイデア。
そして品川駅ではあの有名なシーンを撮りました。コロナ渦の中、各テレビ局が「人がこれだけ溢れてます」と散々煽ってたこれね。望遠で撮ると圧縮効果で余計人が密集して見えると言いますがさてどうでしょう。
↓ 標準で撮った。
↓ 望遠で撮った。
そして再び秋葉原に戻ったら山手線一周はほぼ1時間であることが判明。暇つぶしにはちょうどいいかもね。車窓風景見てたらまったく飽きないし。
秋葉原では某ミステリー作家さんとは御用達の喫茶店で同人誌の企画会議。来年には出しましょうと誓い合いました。(笑)
そして帰宅の新幹線の車中で初日から抱えていた問題にある結論を出しました。来年のクリエイターEXPOに出展するぞ!と。
勢いに乗ってとんでもない決断したけど・・ やばいな。(苦笑)