ありがとうって伝えたくって

「同軸コリニアアンテナ研究会」でgoogle検索するとHPをご覧いただけます。研究成果がまとめてあります。

JUMATRX2を修理した。

2018年05月27日 10時05分14秒 | JUMA(TRX2,PA100)

JUMA TRX2を完成させた後もRF_Filter部が不安定であり28MHz帯は動作していなかった。

リレーの保護回路もなぜか一部焼損・・どうも基板?に根本的な不具合があったとしか考えられなかった。

【子基板を載せたRF Filterボード(左下)】

しかしTRX2シリーズはキットの販売から10年以上経過している。

また販売元の『RFdevice Ky』ではTRX2シリーズは2017年初からSOLD OUT状態で保守部品が残っている可能性はあるのか?

ダメ元で『RFdevice Ky』へ問い合わせてみると・・

Thank you.
RFfilter board for TRX2a, including all components is available for 60euro.
Shipping 10euro. Total 70euro.

との返信を貰った。RF_Filter部を交換しても不具合が解消する保証はないが・・購入した。

ご覧の通り基板は本来の姿に戻った。コイルは不良のRF_Filter部から移植した。

果たして結果は?

何事もなかったように電源が入りバンド毎にリレーの切換え音が聞こえた。

アンテナを繋ぐと無事に交信が聞こえて来た。どのバンドも問題がなさそうで以前のトラブルが嘘のようだ。

【基板交換後、調整中のTRX2】

やっと正常動作となったようだ。ここに至るまで完成してから9ヶ月もかかった。

これで安心して使用出来そうだ。

 


アンテナが長いと共振周波数が高くなる話!?

2018年05月26日 14時10分33秒 | 同軸コリニアアンテナ

実は先々週1200MHzの20段同軸コリニアを製作した仲間から『上手く出来ているか測定して欲しい』と連絡が来た。

そこで測定器を持ち出して出かけてきた。これまで1G以上のコリニアは寸法通りに製作すれば同軸コリニアを初めて作る方でも1回で成功していたので・・安心して出かけた。

彼は同軸コリニアは仲間の分も製作しており・・経験は十分だ。測定してみると・・・

下記の通り1450MHzに共振点があった。スタブを調整しても殆ど周波数が下がらない!!!

1/2λのエレメントを計測してもマニュアル通り。

設計値1300付近から考えると10%以上も高いことになる。信をもって世に送り出した同軸コリニア製作マニュアル改定の危機か?

ABS樹脂のパイプでエレメント間を保護していて気付かなかったが・・外して気づいた。1200MHzのコリニアにしてはエレメント間のスペースが大きいのだ。

測ってみると5mm近くあった。これで周波数が高くなった理由がはっきり分かった!!!

一般論?迷信からすると長くなる→周波数が下がると考える方が多いけど・・

この写真を見ると気付くと思う。作りが丁寧なので芯線がショートしないように被覆が残っている。

これって完全にコンデンサがエレメント間に挿入されているのと同等だと考えた!

エレメント内にコンデンサを実装すると短縮コンデンサとして周波数を上げる効果がある!

そこで依頼者には残酷な?宣告をすることにした。

「エレメント間隔を直さないと周波数は下がりません!」

つまり20段コリニアの作り直し宣告だった。

で先週、作り直したコリニアの測定を行った。

結果は下記の通り1290MHzと1350MHzで共振点を持つコリニアが出来上がった。

製作マニュアルの改訂は必要なかったようだ。

以上のように『段間が長いと周波数が下がる』は迷信だったことが証明された?!


神津島移動運用 4月28日-4月30日

2018年05月02日 02時59分19秒 | 移動運用

『壮大な夢』

5月の連休はどこへ出かけようかと?考えていた所『6mで神津島のリクエストがある』との要望を受けて神津島への移動運用を決定した。

行くなら天上山山頂付近でQRPでなく通常出力で運用しようと壮大な計画を立てた。

通常運用となれば担ぎ上げる機材はFT857と60AHバッテリー、DC-DCコンバータで7kg、アンテナ、同軸ケーブル、工具を含めると15kを超える装備となる。

海抜0m付近から天上山の急な登山道、標高差500m以上を機材を背負って登れるか?正直自信があったわけではなかった。

『50MHz運用』

4月28日

正午頃から登山を開始した。初めてのコースなので力を温存しながら歩くが3合目までがやっと。

体調がすぐれず足が重く息が切れる。諦めようと何度も思う。やっとキャンプ場から2時間かかって10合目の「おろしゃの石塁」に到着(標高460m)。

これ以上進むのは体調的に無理。西に開けたこの場所で倒れる寸前の状態でどうにか設営し14時20分から運用開始。

【北西向けのモクソン2ele、アンテナの向こうは断崖】

海が霞んでいて伊豆半島も見えず。ひとまず北東向きでCQを出す。

折しもALL JA待機と思われる0エリア移動局?から一斉に声がかかる。更に西方面からも・・

分かる範囲で書くならば飯田市局はQRP4W(188km)、塩尻市(237km)、京都左京区(321km)と飛んだ!呼ばれて気持ち悪さも疲れもすっかり吹っ飛んだ!!

4月30日

1エリア向けで「新東京百景」(標高540m)で運用する。北西から南方向へ開けていて1エリアから北へのサービスには最適だ。

本来ならば360°の眺望がある「天空の丘」が一番だが登山客の邪魔にならないこの場所にする。しかし50MHz以下のバンドはノイズレベルがS7-9と非常に高く弱い信号が取れない状態。

(港に近い運用場所ではこんな事が良くある)

なので30日の6m運用は殆ど不可能なレベルだった。28日に3エリア局向けの運用を行い正解だった!!

またCW運用ではトラブルもあり迷惑をかけてしまう!(直射日光下でPC画面が見えず!)

【新東京百景の地から標高540m前後。左から利島、式根島、新島を見下ろす】

『144MHz運用』

4月29日

日曜日のVU運用なので早めにキャンプ場を出る。28日は2時間かかった登りを1時間半で制覇。

そこから「新東京百景」での設営完了まで途中の休憩を含めて1時間余りだった。

初日の体調不良は解消!8段同軸コリニアでCQ出すも低調!と思いつつも六甲山移動局(360km)と繋がる。

実は低調の原因は別の所にあった。同軸ケーブルを2本繋いで運用していたが途中のコネクタが・・

接触不良だったようだ。(それで兵庫と交信??)15時近くになって再度CQ出すと好調に呼ばれた。

『430MHz運用』

4月29日

本来ならば16段スタックで運用する予定が事情によりシングルで運用。しかし・・やはり16段同軸コリニアは凄かった。関東内の移動では分からないが・・・

150km離れた相模原市南区付近までならS5で安定して入感した。神奈川からモービルホイップの局も59。

相変らず房総半島沿岸のハンディ局が?「59で来てます!凄い」といつもの言葉・・・房総半島は見通し距離で障害物無いからね。

志摩市、松坂市からも応答あり。志摩局はGP使用だった。

そして同軸コリニアならではの現象が確認できた。那須塩原市(312km)から応答があった際にコリニア1本で相当飛んでるな?と思い聞いてみた。

「アンテナとアンテナ方向を教えて下さい?」「25eleスタック、日光連山へ向けてます!」

4月30日

月曜日なので1エリアはトラックに周波数を占拠されていると思い、433.00MHzでコールし空きチャンネルを探して貰う。

偶然、メインチャンネルを聞いていたJF1DIJ局に空きを探して頂き無事にCQを出すことが出来た。

【新東京百景に上げた16段同軸コリニア】

まとめ

●20kの荷物を背負った無謀な試みの神津島「天上山への3連登」に成功した。

→因みに往路は舗装路30分、登山道1時間半(休憩込み)、復路は1時間半で往復4時間かかる

→タクシーを使えば往復で45分は短縮出来る

●16段同軸コリニアは予想通りの飛びを見せてくれた。V→Uと飛びが悪くなるにも関わらず430MHzが一番飛んでる気がした。(アンテナ及びエレメント数との関係か?)

●60AHのリチウムイオン電池&DC-DCコンバータはFT857DMでの6時間運用に耐えてくれた。

【ほぼ自作のDC-DC電源とリチウムイオンバッテリー】

●天上山移動場所の解析結果

天上山南端の「おろしゃの石塁」からの運用は北北西から北東には飛ばない。

【天上山カルデラの南端の飛び(無指向性アンテナの場合)=50MHz最初の運用地】

「新東京百景」からの解析結果は360°飛んでいるようだが北西方向には天上山山頂や天空の丘が聳え壁となっている。どちらにせよ1エリア以北へ飛ばすにはここしかない。

430MHzで那須塩原局のアンテナ方向と解析結果が一致している。

地図の栃木県、群馬県県境の日光連山に電界強度の高い場所がある。これの反射で那須塩原市局(アンテナ北西向き)と交信出来た。

八木同士だったらアンテナ相対だろうな!?

【新東京百景からの伝搬特性、日光連山で電界強度の高い場所がある】

反省点

●忘れ物はなかったが設営中に設備不良が発生した。(144MHzコリニアのスタブを踏んで切れる)

●超小型PCを持ち込んだために直射日光で画面が全く見えずにCW運用がまともに出来なかった。

→次回からは画面の明るいタブレットPCで

●3Dケーブル2本で給電したがコネクタの接続不良があり、50MHz,144MHzの交信の一部に障害があった。

→事前チェックしてなかった

若干のトラブルもありましたが交信頂いた方々のお陰で3連登の疲れも忘れ楽しい移動運用となりました。

交信頂いた皆さん、呼んで頂いたけれど交信に至らなかった皆さん、

ありがとうございました。

この機会を与えて頂いたJI1ETU局、大変お世話になりました。