最近になって、コーリニアを4本製作した。その一本がすでに紹介した、15段コーリニアだ。
このアンテナの調整過程を本ブログで紹介したが、実は、その際、もっと重要なことに気づいてしまったのだ。
つまり、マッチング部分の長さは理論的に導き出せることに気づいた。
国内外のコーリニアの紹介記事をみても、マッチング部分の製作方法」は、多種多様で、「調整方法を教えてほしい」または「動作理論がわからない」等の質問が多い。
現実、コーリニアアンテナを製作したけど「飛ばない」「SWRが落ちない」為に、使用を諦める方も多い。
そして、もうひとつ使用を諦めた方へ
コーリニアアンテナは、調整がうまくいくと、どちらかというと「Sメータ」が振らなくなる。そんなアンテナなのだ。(実は、これも理論的には説明できる)
誰でもSメータを見て飛ぶ、飛ばないを判断していると思うが、そんな常識はコーリニアには通用しない。
今回の製作は、それら理論を確認するために行った。
ここで作ったのは、セミリジッドケーブルを使った「コーリニアアンテナの製作」だ。
なぜセミリジッドか?ここまで使用したケーブルは、すべて3D2Vの同軸だった。3D2Vでは、偶然数値が一致している可能性がある。
短縮率等、電気特性の異なるセミリジッドにおいて、求めてある数字通りに製作し動作すれば、上記理論の完成と考えたから。
『短縮率測定(1/4λオープン)』
まずは、セミリジッドの短縮率の測定だ。アンテナ研究会メンバーから提供された、中古セミリジッドは1260mm(少し波打ったりしてる)。
この外皮をパイプカッターで剥いて芯線を出し、先端オープンのまま「アンテナアナライザー」へ接続した。
ここでインピーダンスの最低点を求めると、40MHz前後となった。40MHzの波長は、7.5m 1/4λで1.875m。短縮率1.26/1.875 = 0.672となった。
アナライザーの周波数のずれと、セミリジッドの規格から考えると短縮率を0.7と仮定し。433MHzの1/2λユニット長 242mmと決定した。
[切り出し、半田付け]
短縮率も判明し、いよいよ、セミリジッドコーリニア各部の切り出しだ。1/2λ(242mm)6本1/4λ(121mm)2本を用意した。
これで6段コーリニアだ。多段コーリニアと言えるかは微妙だけど。
[242mmにカットしたセミリジッドケーブル、歪んでいるが問題ない。]
エレメント以外にもマッチング部の切り出しをおこなう。
一応、理論どおりにならない場合に備えて、マッチング用同軸の外皮を剥いでおいた。
本来ならば、必要な場所だけを剥げばよい。
[理論的にマッチング部は、1/4λ175mm以内の長さで十分なことが判明したので、全体で220mmあれば十分]
これら部品を半田付けし、コーリニアに仕上げた。組み立ては、これまで紹介した構造と同じだ。唯一、マッチング部の長さが1/4λ+1/4λから1/4λ以内へ変更になっている。
[調整中アンテナの全景]
[いよいよ、確認と調整]
ラジアル用のアルミ棒を取り付けて、スタブのカットとラジアル位置の調整を繰り返す。
最初は、写真の位置でラジアルを固定しスタブをカットしてSWR2.0まで落ちた。ん?理論は間違ったのか?
次に最終調整の為に、5m同軸をつないで高さをアップすると・・SWR5.0となって調整してもSWRは下がらない。
また、ラジアルの位置を少し下げてやり直す!駄目だ・・と繰り返してみた。
[ラジアル位置とスタブ調整]
いよいよ、後半。ついにラジアル位置は、8-9cmまで下がってきた。
スタブをカットしていくと、これまでと異なって、SWR1.5近くまで落ちてきた。
ここで、5m同軸をつないで、所定の高さまでアップした。すると432.6MHz、SWR1.2。試しに430.2MHz、SWR1.5。おーーこりゃ良いぞ。
最後に435MHz SWR1.0。高いほうが調子が良い。
調子に乗って、あと1mmスタブをカット。すると432.6MHz、SWR1.3試しに430.2MHz、SWR1.8。あちゃーー切り過ぎた。
最後に435MHz SWR1.2。むしろ相当悪くなった。というわけで、スタブの最良点を過ぎると急激に悪化する。
[最終調整時]
以上のような調整を行った。
少なくとも430MHz用のコーリニアは、
マッチング部分の8.5cmのところにラジアルを取り付けて、スタブ長を調整すれば必ずSWRが下がることが確認された。
ということだ。これまで、マッチング部は図にアンテナ側から
1/4λ、ラジアル1/4λと書いたが、この部分を8.5cm、アルミ棒ラジアルに書き換える。
また、各周波数でのこの数字が決まるが、それは改定する「コーリニアの基本構成と注意点」2015年2月28日版にて公開したい。
430MHzでマッチングに困っている、または、調整をされている方は、
8.5cm、ラジアル方式に変更すると「スタブ長」のカットだけで簡単にコーリニアが作成できる。
この数字は、15段も8段、セミリジッド6段も不変だった。
最後に、
「コーリニアアンテナは、調整がうまくいくと、どちらかというと「Sメータ」が振らなくなる。」(但し、状況(距離、相手方アンテナ)による。)
調整方法:
一番簡単なのは、X7000等のメーカ製アンテナと比べることだ。メーカー製で聞こえるのにコーリニアで聞こえない時は、コーリニアの設置角度を少し変える。
比べるポイントは、聞こえる範囲の伸びだ。Sメータの振れの比較ではない。
以上の、ことを確認して欲しい。
といわけで、せっかく考えた冶具だったけど・・今後は必要ないようだ。
[パイプカッター活躍しています]
最後に
弘明寺でアンテナ調整にお付き合い頂き、冶具の提案を頂いた、EEJさん
いつも完成したコーリニアのお相手を頂いた、MHNさん
二人きりのコーリニアアンテナ研究会へ付き合って頂き支援をして下さった、CRZさん
コーリニアの地上伝播特性をご教授頂いた、HHEさん
ほか、お世話になったAPXさん、APCさん、JH5NAEさん、JHQさん、ありがとうございます。
85mmといえば1/8λ、何かインピーダンスとの関係がありそうな数字ですね。
私みたいに工作の下手人間はカッターナイフだけで同軸の末端処理をすると接続箇所がぼろぼろになり、それでもマッチング調整が上手く出来れば今までの苦労は何だったんだろと思う期待を込めて試しにやってみます。
スタブ調整さえしっかりやれば、ぴたりとSWRが落ちて性能が出ます。
この方法をとれば、多少の加工精度のブレも関係なくなります
コーリニアは、調整がきちんとできれば、SWR1.5の幅は10MHzくらいありますからね。
試してみて下さい。
あと、ラジアルは2mmくらいの園芸用アルミ線でも良いですよ。
エレメント作成する際、同軸のカット&加工ですが、配管工事で使うパイプカッターを
使うとキレイに加工できます。まず同軸のビニール外被を長めにむいて半田メッキする。
(外被が残ってる根元から先端に向かって一方向にコテを滑らせると良い。コテにターボ
ボタンがあるなら押したまま)。半田メッキ後にパイプカッターで指定長にカットし、
芯線を出す。(パイプカッターはFBな物がダイソーで400円ですよ)。カッターナイフでは
材質が思ったより固いので危険作業になると思います。
自分も1/4λ下の1/8λにも興味があります。パイプカッターがあればセミリジット同軸の
コーリニアだって作れますよ。
近くにはダイソーはありませんが見かけたら調達しときます。 網線を規定の長さに残して切った後に半田付けしておりますのでどうしても先端の網線がばらけて綺麗には処理できません。 これが使えればもう少し見てくれも良くなり結合部の隙間も均一に出来るかと思います。
今回はんだ付け不要のコーリニアアンテナを作ってみました。
使用ケーブルはフジクラの5D-FB-Lite(k=0.80)です。
接続方法は芯線を30~50mm程度出しておき、ニッパーで先端を斜めにカットし、絶縁シート(今回は同軸外皮)を使いショートしないように互いの編み線の所に刺していきます。
当方テストとして6段を作ってみましたが、手持ちのアンテナアナライザで調べると中心周波数(SWR=1.01程度)433.0付近(刺す加減で多少上下可能)SWR=1.5以下の帯域が1.5MHz程度となりました。
こちらも神奈川県なので機会がありましたら是非お話などしてみたいと思います。
はじめまして。
私も、はんだ付け不要のコーリニアが次の目標だったのですが、マッチング部分の検討から・・
セミリジッドコーリニア6段を一晩で製作してしまいました。
430MHzでは、8.5cmがマッチングの基本です。
SIMで確かめましたが、他のバンドは1/8λにはならないようです。
直近では、今週の金曜日6日も開催予定です。場所も決まっていませんが・・都合が合えばいかがですか?
但し、話すことや図示が多くて、飲む暇はありません。
ここで、連絡します。>HHEさん良いですよね。
その代わり、空き時間があれば20段程度のものを作ってみようかと考えています。
はんだ付け不要のコーリニアは差し込み具合で中心周波数が変わるので毎回設置時に調整が必要ですが、調整によりで1本でFM、SSBのどちらの周波数にも合わせられるメリットがあります。
とりあえず今日は休みが取れたのでダイソーでパイプカッターを探す予定です。(さすがにカッターで切りだし誤差0.5mm以下にするのは疲れました)
なお、こちらのコーリニアはラジアル位置に関してはかなり鈍感らしく、8~20cm位の位置でほぼ変化なしでした(9cm前後が若干下がる感じではあります)
まず、アンテナ研究会への参加が出来ないことわかりました。これから、大規模会議をやるかとの話もあります。
都合の良いときに連絡ください。
それから、コーリニアは、私の15段の調整の記事を読んで頂いても分かるように、きっちり調整するとバンド内全てがSWR1.5内へ入ります。
頑張ってみて下さい。それから、スタブ調整はどのようにされてますか?その点は気になりました。
20段の成功を祈ってます。