pride and vainglory -澪標のpostmortem(ブリッジ用語です)-

初歩の文書分析と論理学モドキ(メモ)

大和暦前後③元和航海記❻序・訓詁1

2018-12-31 08:11:13 | サイエンス囲炉裏端談義
 簡単に航海術の師匠および航海術を学んだ経緯について述べると、筆者は師匠に充てて発した3つの質問について記述します。
 1.南中時以外に太陽の高度を持って現地の正確な時間を知ることができるか、もしくは南中時以外に太陽の高度を持って現在地の緯度を知ることが出来るか。
文言からすると前者のようですが、後段の「四つの記俚那等」での文言からほぼ後者である事が分かります。

 2.測定時刻の制約が極めて厳しい南十字星を使用した緯度測定(Regimento do Cruzeiro do Sul)を随時実施可能とする方法はないか。

 3.Regimento de norteの測定可能方位を更に細分化出来ないか。

 言い換えれば上記の八方位図をコンパスローズ並みの32方位図に出来ないか。

 当時の技術・知識の蓄積では原理的解答不能な設問1を除き設問2,3については後段で解答が記されていますが、その形式が有る意味ユニーク:図示です。原理についての言及がありません。
 設問2、3についてはユークリッド幾何学の知識があれば簡単に解けますが、序文を見る限り数理的に説いたのではなく、経験の積み重ねによるものと思います。
 であるとすると、日本にいても日常的に観測可能なRegimento de norteはともかく、赤道付近以南でなければ観測できないRegimento do Cruzeiro do Sulについてのデータの蓄積をどうやって行ったのか、設問2の解答図が私にはどうにも理解できない事を含め、ここにも疑問が残ります。

 自らの考案をこれまで学習したことの記述とともに記載すると言う形式や、原理より技法(テクネ―)にともすれば傾きがちになることなど、後代の和算書・算額に似かよっていると考えてしまいます。





 


 
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