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「演歌・オブ・ザ・デッド」公式ブログ
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レディ・フランケンシュタイン

2007年01月27日 00時07分03秒 | 映画・DVD・テレビ番組
Lady FRANKENSTEIN

1971年 イタリア

監督:Mel Welles
脚本:Edward di Lorenzo
音楽:Alessandro Alessandroni
出演:SARAH BAY、PAUL MUELLER、MICKEY HARGITAY、PETER WHITEMAN、HERBERT FUX、JOSEPH COTTEN
販売元:WHDジャパン 1,500円(税込)

解説の石田一氏もおっしゃられていますが、ドラキュラ=吸血鬼ではないのと同様に、フランケンシュタイン=モンスターではないのです。マクドナルド=ハンバーガーや、不二屋=三秒ルールではないように。

吸血鬼に関しては、ドラキュラは人の名前で、吸血鬼は種族っていうかそういうものの名称だっていうのは、一般人(って書いちゃうと自分がなんか遠い世界の住人みたいに感じちゃうけど)にも結構浸透しているように思います。それは、漫画とか映画とかで、ドラキュラ個体ではなくて、吸血鬼という存在がよく題材に使われているからなんかなぁと。でも、フランケンシュタインという名前を聞いて、殆どの一般人はあの有名なモンスターを想像っていうか、イコールと結びつけちゃう一般人がまだまだ多いと思う。

まぁ、広義では、フランケンシュタイン博士こそモンスターであるという捉え方は、強ち間違ってないと思うけどね。

今回のこの「レディ・フランケンシュタイン」は、フランケンシュタイン博士のモンスター振りもさることながら、タイトルにもあるように、その娘の、父親を超えたモンスター振りを楽しむ映画となっています。この映画でのフランケンシュタイン博士は、モンスターっていう程(実験内容はぶっ飛んでるけど)ではないかなぁとも思っちゃいますね、娘が強烈過ぎて。結構押されちゃってるしね。

こっから下は、微妙にネタバレしてます。まぁ、ネタバレを見たからっていって、この映画を楽しめないわけではないんですが。お決まりの話やしね。でも、そこはネタバレ。だから、注意してね。

↓↓↓↓↓ネタバレ気味に始まりますよ。↓↓↓↓↓


簡単にストーリーを。フランケンシュタイン博士は助手のチャールズ博士とヨーロッパの田舎の村に大邸宅を構えて(実験室っちゅーか研究室も完備)いけない人体実験をしていますが、突然大学から帰ってきた娘にばれちゃいます。ある日、実験は成功したかのように見えましたが、怪物を生み出しただけでした。そして娘は、実はマッチョ系の人が好きで、そこから歯車が狂っていきます。って話です。

あ、滅茶苦茶やんけって感じられるかもしれないけど、そんな感じなんです。娘の狂気に走る姿と、マント装備の刑事の活躍、助手の(出ずっぱりなのに)陰の薄さを楽しんで下さい。

なんでもレディ・フランケンシュタインっていうか娘役の方は当時三十路半ばだそうで、それでも医大生の役をやってますが、気品の中の狂気、野心をさりげなく演じられていて、とてもおばちゃ(以下自主規制)には見えません。昔のヨーロッパ風美人だし。

オープニングから、新ドラキュラでも思いましたが、サンテレビの午後の映画劇場を思い出しました。それと、妖怪人間ベムも。なんとなく、妖怪人間ベムの不思議な感じのする【恐らくここはヨーロッパやろ】っていう世界に似た空気を感じました。最後も、妖怪人間ベムのラストに似ているような展開でもありますし。

構成もまぁまぁやし、ストーリーも面白いんやけど、致命的なミスがあります。それは、怪物の造形です。なんかコメディかよっていう出来なんですよね。重い空気をいっぺんにコメディにしちゃう魅力、っていうかパワーを出してます。演じる役者の動作もなんちゃってだし。痛い。これはごっつ痛い。この映画を駄作にしちゃいかねないパワーですよ、これは。

そこをなんとか駄作ではなく、五本立て上映の本数稼ぎ映画中にある掘り出し物に成り損ねたレベルにしているのは、役者陣の踏ん張りと世界観っていうか劇中の空気感ですね。無駄に良い役者と良い演技が堪能出来ます。

昔のモンスター映画って、でもこんな感じやったよなぁと、感慨に耽りながら見てみると、懐かしい子供時代を思い出せます。なんか、ワクワクして駄菓子屋に行っているような錯覚になる映画です。モンスターが造られる場面なんて、チープなんやけど、懐かしさ全開ですよ。まぁ、色々と突っ込みながら見ると、もの凄く楽しめる映画です。こういう映画を『駄菓子屋映画』と名付けよう。そうしよう。

最後のモンスターを倒す為に別のモンスターを造るなんて発想は、仮面ライダーにも通じるような気がして、ここの辺りをもっと掘り下げてみたら、大化けしたかもしれない映画です。もう一体のモンスターも、醜い容姿ならよかったのかもしれませんが、そこは娘の博士として父親を超えたという能力を描いていると思うので、仕方ないことなんでしょうが。あ、予算の都合やろうなぁ、実際は。

ここまで読まれて、あんまし面白くない映画かなっていう印象を持たれた方もいるかもしれないけど、ヴァンパイアXとか、新しいデビルマンとかに比べたら、もう素晴らしい出来ですっていうレベルですよ。雲泥の差です。頭を空っぽにして見ると、本当に楽しめる映画です。

viva 駄菓子屋映画


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