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眠狂四郎勝負

2007年10月05日 02時12分54秒 | 映画・DVD・テレビ番組
市川雷蔵主演、柴田錬三郎原作の眠狂四郎シリーズの第二作目。監督は三隅研次、脚本は星川清司、撮影は牧浦地志、照明は山下礼二郎。昭和39年(1964年)大映映画。

眠狂四郎と言えばイコール市川雷蔵な世代(というか再放送漬け)なんですが、うん十年振りに見直してみて、やっぱり面白いなぁと楽しめました。

ただ、何回も書いたことなんですが、結構記憶というのは曖昧で、間違った憶え方をしてるんですよね。この市川雷蔵=眠狂四郎も第十二作目まであるので、それらがごっちゃになってるのかもしれないのですが。

僕にとっての眠狂四郎の印象は、女好きで直ぐに手を出す、ニヒル(今時こんな言い方しないか)で無口、知略家、ストレートに正義感が強い、というものでした。

この第二作目だけでの印象は、女好きというよりも女が勝手に寄ってくる、惚れてくれるという、なんとも羨ましい限りなんですが、そういう環境にあるにもかかわらず結構硬派であったり、結構饒舌家だったり、ニヒルな面はあるけどそれに悲嘆してなくて結構前向きだったり、知略を巡らしてそうであっさり罠に掛かるとか、正義感は強いけど表現方法が曲がってる、結構ナル、そんなところです。

まぁ、ぶっちゃけ、かっこええっちゃかっこええんですけどね。

映画としては、見るべき対象、観客のことをきっちりと考えて作られていると思います。誰に焦点を当てて物事を進行させればいいのかわかっているので、テンポが凄くいい、というか展開にスピード感があるというか。

それに台詞だけで情景を描くのではなくて、ちゃんと映像として描いているのも好感が持てました。昔の日本映画って(でもこの時代はもう斜陽産業だったんですよね?)製作期間とか短くて、結構ドタバタしてたと思うのですが、出来上がったものはきっちりと抑える部分は抑えていて、そういうところが丁寧さを感じさせるんだと思いました。それに妙に勢い(やってやれっていうパターンの勢いだけではなくてね)があるのが、丁寧さとの相乗効果を生んでいるように思えます(全部が全部そうじゃないけど傾向として)。

注目のチャンバラも、対個人、対集団と色々あって、対個人にしても敵の五人がそれぞれ個性(武器によるわかりやすさも完備)もちゃんとあって良かったですね。惜しいのは、眠狂四郎が強過ぎて、ハラハラドキドキ感がないっていうところでしょうか。まぁ、それは眠狂四郎の個性の描き方の一つでもあるので、否定しているわけではないんですよ。

そうそう、敵側の五人なんですが、序盤から中盤のところらへんで眠狂四郎にいいようにあしらわれるんですが(チャンバラはなし)、それによって余計に敵の弱さが目立ったっていうか、威厳がなくなってしまったのが残念ですね。敵が多くて色々な対決が見られるという部分の面白さの変わりに、敵一人をじっくり描いて対決させるという重厚さがなくなっているのは仕方がないところです。っていうか、そんなん描く気なかったと思うし。敵側なんてもっと味付け出来たでしょうが、映画全体としてどうなのかっていうことを見てしなかったんだと思います。この映画的にはそれが成功していると思いますです、はい。

最後は、ええ按排に終わったのか、それとも違うのか、両方なのか。物凄く世情を描いた終わらせ方だと思います。格差問題ってずっとある問題なんですね。そして、自分がどちら側にいるのかで、いいのか悪いのか変わってくる、そんなところも描かれています。

円月殺法があれば後はどうでもええっていうのは正論ですが、夢も希望もなくなりますよ(あれれ)。

このDVD、画質が凄く綺麗なんですよね。結構昔やのにこんな状態で残っているなんて。これはデジタルリマスターの技術が凄いんでしょうか。


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