木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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ハイライトレンダリング

2006年06月06日 | スケッチとモックアップ(コツツボ)
 <写真>屋外モニュメントの夜景スケッチ


◆ハイライトレンダリング<スケッチの種類8>
226:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第26発 デザインワーク


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 スケッチには以下のようなものがあります。

 1) イメージスケッチ
 2) アイデアスケッチ
 3) レンダリング(スケッチ)
 4) サムネイル(スケッチ)
 5) シーンスケッチ
 6) コンセプトスケッチ
 7) フルサイズスケッチ
 8) バリエーションスケッチ

 ということで、説明をしてきましたが、もう一つだけ、「ハイライトレンダリング」についてご説明します。最近は、あまり、使われていない手法ですが、スポーツタイプの自動車の広告などで、闇の中に、車のシルエットのハイライトラインだけが浮かび上がるような映像をイメージしていただけると分かりやすいです。あんな雰囲気のスケッチが今回説明する「ハイライトレンダリング」です。


ハイライトレンダリング

 ハイライトレンダリングとは、簡単に言うと、「黒い紙に、白い色鉛筆とパステルだけで描くスケッチ」です。

 形の特徴は、造形の稜線のハイライトだけで、かなりの特徴を表現することができます。

 1950年代から60年代のアメリカの自動車メーカーのデザインセクションで開発されたスケッチの手法だといわれています。当時の流線形をモチーフにした流れるようなダイナミックなキャラクターラインを持つ乗用車のスケッチには最適な手法でした。

 全体を描かずに、ハイライトラインだけで描くために、手早く描けて、いかにもデザイナーが描いたスケッチという感じです。

 「ハイライトレンダリング」と言いますが、これはスケッチの描き方の一つの手法ですので、以前説明したレンダリングのように、デザイン開発の最終段階に描く場合もありますが、短時間で描けますし、形のイメージをつかみやすいということから、サムネイルの手法として、デザイン開発の初期段階で使っても有効です。


画材の進化

 最初に、「ハイライトレンダリングは最近、あまり、使われていない手法」だと書きましたが、これは画材の進化と関係があるようです。

 1950年代、デザイン画材は、絵の具と色鉛筆とパステルくらいしかありませんでした。そんな制限の中で、簡単に描けて、なおかつインパクトのある、いかにもデザインデザインした手法ということで、当時のデザイナーたちが苦労して編み出した手法なんじゃないかと思っています。

 絵の具と色鉛筆とパステルの時代の後、カラーマーカーが登場し、鮮やかで、均一な色面を簡単に描く事ができるようになり、スケッチの手法は一変しました。

 私は、丁度その頃デザイナーになりました。まだ、マックもマウスもない頃でした。当時のデザインセクションの風景と言えば、大判のドラフターが、立ち並び、マーカーとフィクサチーフのにおいがほのかに臭っていたものです。当時ですらもう、ハイライトレンダリングを描くことも見ることもあまりなくなっていました。

 フィクサチーフといえば、こんな逸話が残っています。

 フィクサチーフとは、パステルや鉛筆を紙に定着させるスプレーです。そして、もう一つ当時のデザイナーの7つ道具に「スプレーのり」がありました。提案資料を作ったり、スケッチを切り張りしたりするときに、糊が均一に塗布できて大変重宝なスプレーなのですが、まあ、あまり体にはよくありません。

 あるとき、若いデザイナーが急死して、死因が分からないために、司法解剖をして肺を開けたところ、肺がパステルの粉とフィクサチーフとスプレーのりで充満していた。それが死因だった、パステルの粉とスプレーのりの粒子がフィクサチーフで肺に定着されてしまった、というわけです。

 たぶん、都市伝説の類だとは思いますが、当時はその話が笑えないくらい、デザイナーはマーカー・パステル・鉛筆・フィクサチーフ・スプレーのりを日常的に使っていたものです。死なないでよかった。

 今では、デザインセクションには、大判のドラフターもフィクサチーフもスプレーのりありません。机の上は、液晶モニターとキーボードとマウスだけです。ここ20年の画材の進化には目を瞠るものがあります。本当に便利になったものです。


 今回、スケッチの話だか、思い出話だか分からなくなってしまいましたが、「ハイライトレンダリング」という手法もあるというお話でした。

 「ハイライトレンダリング」用のCADソフトなんて作ったら面白いのかなあなんて少し思いましたが、やっぱり、「ハイライトレンダリング」は手描きがいいですね。そのほうが、味がある、うん。


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