ヤマハ パワーアンプB-6/1976
◆1-3「三角形の製品も時々現れる 」その2
【家電デザインの話をしよう】
こんにちは!中小企業のデザインコンサルタントの木全(キマタ)です。
中小企業の方々に向けて工業デザインのエッセンスについてお知らせしています。
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2014年に上梓した拙書「デザイン家電は、なぜ『四角くて、モノトーン』なのか?」(エムディエヌコーポレーション)で唯一心残りだったのが、取り上げた新旧の家電製品写真350枚がモノクロ写真だったことです。これから、本文と一緒に隔週で少しずつ350枚の製品写真をカラーでお届けしていきます。
今回は、第一章「面白い家電デザイン」1-3「三角形の製品も時々現れる 」その2です。家電製品は、決して四角いばかりではありません。
■第一章「面白い家電デザイン」1-3「三角形の製品も時々現れる 」その2
純粋な三角形デザインではありませんが、イタリアのデザイ ナー、エットーレ・ソットサスが1969年にデザインした、 オリベッティタイプライター「バレンタイン」は、大胆な斜面と鮮やかな赤色が印象的なデザインで、働く女性憧れのファッ ションアイテムだったといわれています。女性だけでなく、当時中学生だった筆者も憧れたものです。
●タイプライター(バレンタイン)/オリベッティ(イタリア)/1969年/D:エットーレ・ソットサス
<エットーレ・ソットサス>
(Ettore Sottsass、 1917-2007)
イタリアのインダストリアルデザイン界 の巨匠。
家具や建築のデザインでも有名。
長年オリベッティのデザインコンサルタ ント
として活動し、大型コンピュータ「エ レア 9 0 0 3」 、
タイプライター「バレン タイン」などの傑作を生みだした。
戦後 イタリアンデザインの世界的評価を高め た一人
三角形は印象に残る形なので、製品の一部にアイキャッチとして使っても効果的です。
有名なところでは、1659年に発売されたニコン初の一眼レフカメラ「ニコンF」のペンタカバーがきれいな三角形です。
ニコンFは日本のグラフィックデザイン界の重鎮亀倉雄策のデザインです。亀倉は「あの頃のカメラはライカの真似ばかりだっ たから直線にした」と当時の状況を振り返っています。亀倉の狙 いどおり、三角形のペンタカバーはニコンFのアイキャッチとして、今でも語り継がれています。
●一眼レフカメラ(ニコン F)/ニコン/1959年/D:亀倉雄策
<亀倉雄策>
(かめくらゆうさく 1915-1997)
日本のグラフィックデザイン界の重鎮。
東京オリンピック (1964 年)、大阪万国博覧会
(1970 年)のデザインディレクターなどを歴任し、
日本グラフィックデザイナー協会 (JAGDA)創設
に尽力するなど、日本デザイン界の中心として
活動した。
優れた性能と印象的なフォルムが結びついたとき、ニコンFやバレンタインのように、ユーザーの記憶に長く刻み込まれる製品が生まれます。ただし、それは三角形に限りません。
著作のご紹介
「デザインにひそむ<美しさ>の法則」(ソフトバンククリエイティブ新書)
「売れる商品デザインの法則」(日本能率協会)
「中小企業のデザイン戦略 」(PHPビジネス新書)
「売れるデザインの発想法」(ソフトバンククリエイティブ新書)
「マインドマップ デザイン思考の仕事術」(PHP新書)
「デザイン家電は、なぜ『四角くて、モノトーン』なのか?」(エムディエヌコーポレーション)