ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

Fox Capture Plan, Wall

2014年07月11日 08時44分47秒 | 音楽

 昨日、仕事からの帰りに二子玉川ライズのヴィレッジ・ヴァンガードに寄ったところ、Fox Capture Planの3枚目のアルバムが売られていました。1枚目の"Trinity"に収録されている「衝動の粒子」を三軒茶屋で耳にしてから、このピアノ・トリオには注目していました。それで、昨日、店で流されていた音楽プラス映像に触れ、購入した訳です。

 Fox Capture Plan, Wall(ディスクユニオン、PWT-010)

 今回もDVDが付いてきました。2曲目の「疾走する閃光」です。Fox Capture Planの場合、2曲目にシングル盤候補的な曲を入れるようで、"Trinity"の「衝動の粒子」、"Bridge"に収録されている"RISING"も2曲目です。どの曲も、ピアノは勿論、ここまでの迫力はそう滅多に体感できないだろうと思われるドラム、この両者に挟まれてあまり目立たないけれどもサウンドをしっかり作り出し、支えるベースが高いバランスを保っているのです。

 今回の作品で、私にとって最も興味深かったのは「東風」です。1978年に発売されたイエロー・マジック・オーケストラのファーストに収録されている、坂本龍一さんの曲です。これまで私が耳にしたYMOのカヴァーでは最も面白い演奏でした。ここまで作り替えるとは予想もしていなかったのです。ジャズの演奏家で名曲を別物のように作り替えて名演奏を生み出す人というと、マイルス、ビル・エヴァンス(ピアニストのほう)、コルトレーンといったところですが(曲によってはドルフィーも)、Fox Capture Planもそこに入るかもしれません。少なくとも、その可能性を大きく秘めています。

 ただ、気になる点もあります。

 CDジャケットを覆うビニールカバーに貼られたシールには「最高傑作」と書かれていますが、"Bridge"の発売から半年しか経っておらず、"Trinity"から数えても1年くらいしか経っていません。半年ごとに新作を出すというノルマが課されているのか、貯まっているアイディアを出してしまおうとする意図なのか、事情はよくわかりませんが、発売のペースが早すぎるような気がするのです。

 3枚とも基本線は一貫していますので、通しで聴くこともできます。しかし、このままでは行き詰まるかもしれません。今回の"Wall"には、どうかすると前作で未収録とされた作品がそのまま登場したのではないかと思われるような曲も少なくありません。そのように聞こえてしまうのです。1年くらいの時間を置いたほうが、次回作のためによいのではないかと思われます。

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