地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

国家公務員宿舎(官舎)の耐震性

2007-06-10 | 地震リスク

先日報道された「地震による小中学校倒壊の危険性」はあらためて日本の政治、行政が危険な方向に進み始めたのだと感じた。国民の安全を守ることが使命の政治家、国家公務員が、今までの国家運営で失敗したつけを「官から民へ」転嫁し、回避しようとしているのではないか。耐震化の小中学校校舎建替えより、国会議員、国家公務員の宿舎(官舎)建替えが優先される判断には国民として大いに疑問である。

 

昨年1月に国家財政の面から国家公務員宿舎の移転・跡地の有効活用について有識者会議が行われている。当時の有識者会議資料を読み返すと、国家公務員宿舎は都区内の一等地に372箇所21,901戸存在する。そのうち築21年以上の建物は273箇所と古い建物が多い。問題としたいのは有識者会議の報告書に記載された「耐震性能に問題のある庁舎等の建替え需要が大量に存在する。とりわけ、昭和30年代から40年代に大量に建築された庁舎等は、当時の工法・セメント資材の関係から耐震性能に問題があるものが多く、災害発生時に毀損した場合には行政機能が麻痺することになりかねない。このため、地震防災上の観点から、極めて厳しい財政事情の下で、耐震性能を確保した庁舎等の整備を合同庁舎化等により効率的に行う必要に迫られている。」の部分である。

http://www.mof.go.jp/singikai/shukusya_iten/top.htm

 

国家公務員宿舎が大規模地震により倒壊する恐れがあるので、効率的に建替えしたいといっているようだが、大規模地震時の障害になる建物の早期除去を進め、本来であれば、国会公務員宿舎制度を廃止し、防災拠点をつくるなり、一時避難場所にするなり、民間へ土地を売却したりすべきではないか。その土地売却益は小中学校の耐震化に使えばいい。さらに民間住宅に国家公務員が入居(購入、賃借)するほうが民間の活性化につながるような気がする。国家財政が厳しいのであれば、国家公務員の利権をまず縮小すべき。現在の宿舎利用が有料なのは当然であるが、都区内の賃貸住宅相場よりははるかに低料金なのは問題だ。


木造住宅の耐震化

2007-06-09 | 地震リスク

窓の壁、斜に構えて耐震化 早大と民間会社が開発(朝日新聞) - goo ニュース

 

株式会社ハウジング・ソリューションズ(本社長野県、東京本部:中央区八重洲)は早稲田大学との産学連携により木造戸建住宅に適した耐震システムを開発した。窓の壁を補強するシステムであり、ダンパーとの組み合わせで補強する。これからも地震に着目した建築業界のビジネスモデルがぞくぞくでてくることであろう。

http://www.housing-sol.com/product.html

 

全国で大規模地震の発生が懸念される中、命を守る耐震化がなかなか進まない現状で、追い討ちをかける耐震偽装の発覚により建築業界の信頼性が崩壊した。住宅瑕疵担保履行法が整備されたものの既存建物の不安は解消しない。

 

そもそも現行の建築基準に合致する建物ですら震度6強、7には耐えられないと専門家がいう。2006年11月24日朝日新聞「木造住宅実験、耐震基準内でも倒壊?産学研究会」を読むとぞっとする。実物実験では現行耐震基準の耐震等級1では倒壊していた。被害をいかに最小限にとどめるかの技術開発は進んでいるものの、全く被害がでない建物を建築することはノーベル賞ものだと考えるしかないのだろうか。「震動を伝えない」ための技術、「水に浮くか」、「宙に浮くか」しかないのかな?

 


「本気」で仕事しろ!

2007-06-08 | 地震リスク
公立小中学校校舎、4328棟が大地震で倒壊のおそれ(朝日新聞) - goo ニュース

以前指摘した小中学校の耐震化。本当に「本気」で取り組んでほしい。将来ある子どもたちを国が被災者、犠牲者にしてはいけない。

「本気」というと今日の社会保険庁のビラ配り。全国数百箇所で配ったようであるが、首都で暮らす小生は乗車駅、降車駅ともにビラ配りに遭遇しなかった。多くの人はビラさえももらえなかったのではないだろうか。全国民が不安なのにビラももらえず何が書いてあるのかすらも全国民に行き渡らないことに「本気」でない社会保険庁の姿勢がわかる。社会保険庁長官自ら配ったこともわざとらしい。「本気」なら全国民を自宅訪問し「あなたの年金は大丈夫です。」と証明することにパフォーマンスすべき。長官は確か損保出身者とか。損保の不払い、不正のごまかし方の極意を伝授しにきたのかも知れない。ビラ配りが長官の発案なら先行きますます心配だ。

そういえば最近の社会問題は「保険」にかかわる事件が多い。社会保険、介護保険、生命保険、損害保険、医療保険と不正、不払い等の問題が続続と表面化している。保険制度がどこかおかしい。元々、これら保険制度が保険として本来成り立たないのか、「保険」が「安心」な制度であることから「不安」な制度になっている。「保険」に携わる諸君!本気で仕事しろ!

あれから16年 雲仙普賢岳

2007-06-03 | 地震リスク

今日6月3日は長崎県島原半島にある雲仙普賢岳で大規模火砕流が発生した日。あれから16年の歳月が流れた。

 

1990年11月に始まった火山活動は1991年6月3日に大火砕流として死者41名、行方不明者3名、負傷者12名、建物被害2,511件、被害総額約2,300億円にものぼる大災害となった。

 

日本は地震国だけでなく火山国でもある。

気象庁の火山情報も参考になり勉強したい。

http://www.jma.go.jp/jp/volcano/

 

島原市ホームページ

http://www.city.shimabara.lg.jp/kazan/index.html

 

消防防災博物館ホームページ

http://www.bousaihaku.com/cgi-bin/hp/index2.cgi?ac1=B209&ac2=B20901&Page=hpd2_view

 

雲仙岳災害記念館ホームページ

http://www.udmh.or.jp/


平成19年版防災白書

2007-06-02 | 地震リスク

昨日、平成19年版防災白書が閣議決定され、国会に報告された。その概要について内閣府防災のホームページに掲載されている。全文については近日中に公開とのこと。

http://www.bousai.go.jp/hakusho/hakusho.html

http://www.bousai.go.jp/hakusho/h19hakusyo.pdf

 

白書によると、災害対策基本法第9条第2項の規定(※)に基づく防災に関してとった措置の概要及び平成19年度において実施すべき防災に関する計画について報告を行うものとの位置づけである。

※災害対策基本法第9条抜粋
第九条  政府は、この法律の目的を達成するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。
 政府は、毎年、政令で定めるところにより、防災に関する計画及び防災に関してとつた措置の概況を国会に報告しなければならない。
 
 
自然災害の発生要因とその変化では、①最近の10年間に集中豪雨が著しく増加していること、②「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の作業部会で本年、地球の気候システムに温暖化が起きているとほぼ断定し、大雨の頻度や熱帯低気圧の強度の増加を予測、③昨年は相次ぐ竜巻災害により観測史上例を見ない12 名の死者が発生、④阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、福岡県西方沖地震、能登半島地震など、大規模地震発生の切迫性が指摘されている地域以外で大きな地震発生を指摘している。
 
 
生活空間や社会構造の変化では、①都市部の空間高度利用や集積に伴う脆弱性を指摘し、具体的には地階の増加による地下浸水の被害が頻発、超高層ビル、マンションが増加し、地震による家具等の転倒、ライフライン停止等により一層の備えが必要、一人暮らしの高齢者の増加により災害時の避難での支援体制の整備が課題、家族の規模縮小等による家族の防災力の低下が懸念を指摘している。また、地方の過疎・高齢化に伴う課題についても指摘している。
 
 
疑問に思った箇所は防災に関する予算が平成19年度が2兆1,792億円と平成17年度の3兆327億円と減っていることである。特に災害予防、科学技術の研究が減っているように思うが、安倍政権は防災に無関心といわざるを得ない。地震活動期に入り大規模地震が心配される中、今の政府は年金問題だけで手一杯な感じがしてならない。政府だけではなく、与党、野党とも今国会は自然災害の減災についての論議が乏しいと感じるのは小生だけであろうか。