少し自由になれた気がする

　もちろん世の中には困窮を極める人、目の前の大きな困難に立ち向かっている人が圧倒的多数だが、僕個人はむしろ気持ちが楽になったところがある。
　一番大きいのは、外出自粛で出費が大きく減ったこと。分かりやすく言えば、やっと資本主義から解放されたな、と言うこと。なんだ、寝泊りする場所さえ確保できれば（と言うか、寝泊りする場所すら自分で自由に選びたい）、私たちは経済社会から多少外れても生きていけるのだ、と言うことが確認できた。
　これなら収入激減、失業にも耐えられそうな気がしてきた。固定費もこれからは整理していきたい。部屋の断捨離はこれまで何度か通過したプチ失業でやりつくすも、相変わらず本やレコードはたくさんある。どっぷり物質社会（と言っても、いずれもマテリアルと言うよりコンテンツが重要なものばかりだが）に浸かっていた痕跡だが、今度は人生の断捨離だな。
　僕は無職になるなら、単にホームレスよりは乞食や虚無僧のような、現代社会から浮世離れした存在を目指す。ホームレスはむしろ経済社会に戻ることを目指しているが、僕はそもそも資本主義社会に背を向けた存在になりたい。