~回る回るよ宇宙は回る(click!)~
天球儀の図像は反転している.彼方から地球を覆う天球を見下ろしている格好だ.使い方は,始めに緯度(東京なら北緯35度)を子午線環の目盛りに合わせて(⇒)天球を台にセットする.もともとは天の北極(↓)に位置する部分に時刻ダイヤル環があるのだが,無くなっており,あれば時刻を合わせて球を回転させればその地その時刻の星空が再現されるわけである.方位も本来は球を囲む台と一体となった木製の水平環上に目盛られているのだが,これも無くなっているのは残念.
過去には劣化したニスに覆われていたはずだが,洗浄が施されているため,見栄えは良い.紙の漉き跡が細かい縦縞の目地になっており,銅版の線はよく残っている.彩色は使用とニスの洗浄で割りに落ちているが,とくに南天は良好に見える.赤(・桃)・橙・黄・緑・青・褐色の六色以上が使用されている.
この天球儀にはまた1728年までの彗星の航跡が多数描かれている(←)のが特徴である.
うみへび座はべた塗りではなく,背と腹で緑と桃色に塗り分けられているようだ.てんびん座の朱色(黄褐色)をみるとニスの洗浄は軽度にとどめているのが分かり,周囲も含めて認められるひび割れはニスが塗られたいた名残である.銘版はほうおう座の北に後から貼り付けられ(紙の縞模様の方向が異なる),その後でカルトゥーシュの縁が褐色に塗られている.
ドッペルマイヤーの天球儀の星座図柄はヘヴェリウスに拠っているので,かに座はロブスター.
十数年前に小林頼子先生とお話していたときに,「オランダ絵画に描かれる天球儀はしし座が正面になっている」とおっしゃっていたが,当時は話はそこで終わってしまった.今にして思えば,その部分が見栄えがすることもあろうし,獅子は太陽と関連付けられることから(生命・活力の象徴?)崇拝されたためか,オランダの紋章に獅子が描かれていることと関係があるかもしれない.
天の南極部と北極部(こちらは斜めになってしまったので機会があれば撮り直します)
Johann Gabriel Doppelmayr published three pairs of globes of 10,20 and 32cm diameters between 1728 and 1736, which were updated and republished by Jenig between circa 1789 and 1795.
一番上のタイトルをクリックしたら、天球儀が回ってました。・・・びっくり!!
天球儀というのは、なかなかきれいなものですね。
12カットにするともっとうまくいくのですが,作るのはなかなか大変でした.
お楽しみください.