泰西古典絵画紀行

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天球儀と古星図(5)/ニュルンベルク紀行(6-ii)

2011-01-26 21:37:02 | 天球儀と西洋古星図

ゲルマン民族博物館の展示室は天文器材から始まる.展示されていた天球儀は渾天儀(アーミラリarmillary sphere ラテン語でarmillaは腕輪の意)を除くと5台ほど.紙に銅版画を用いたものよりも金属に彫刻したものの方が起源は古い.


Johannes Praetoriusの天球儀と地球儀(左) ニュルンベルク 1566年 真鍮に鍍金 天球儀の星座は左の写真の中央がへびつかい・こと,右にはくちょう座.右の写真の中央がペガサスとアンドロメダ座


左:Michael Caucighデザイン Johann Beckher製作 天球を支えるアトラス リンツ 1726年 真鍮に鍍金 星座は中央に左からふたご・かに・しし座 この左上の奥にはアーミラリも見えますね
右:天球を支えるアトラス ドイツまたはフランス? 17ないし18世紀 星座はおおくま座や,ふたご座からしし座がみえる


天球儀の断片 Erhard Weigel(1625-99) イェナ 35.5cm 1670年頃
 珍しい造りで,紋章を星座に置き換えて浮き彫りにしている.おおくま座の代わりにデンマーク家の「象」(写真左の端),オリオン座の代わりにハプスブルク家の「双頭の鷲」(壁側なので写っていない)が描かれていると"Grove's Dictionay of Art"の天球儀の項に紹介されていた(vol.12 p.812).


Willem Janszoon Blaeu,Amsterdam,1602 彩色銅版による天球儀Inv.No.WI1007
 ブラウ最初期の1602年版の天球儀で,星座の絵は詳細で美しい.色彩はやはり北天側では使用やヤケで分かりにくくなっている.右上の写真で,水平環の表面には再内輪に十二宮,中輪に十二月などが記入されている.


北極のダイヤル(環)には時刻の数字が刻まれている.17世紀初頭の作品なので,こじし座などヘヴェリウスの星座はまだ描かれていない.りょうけん座も同様のはずだが,おおぐま座の後ろ,右上にはかわいい子犬のような猟犬が描かれている.チコ・ブラーエの提唱によるものか再確認を要す.



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