"Palestina sive terrae sanctae descriptio"
carte a figures map by Jan Jansson
Amsterdam, Joannes Janssonius van Waesbergen
43.2 x 56.0 cm, without text on verso.
Horn, Georg, Accuratissima orbis antiquii delineatio: Paris, 1677より
ヤンソニウスによる人物図を付した聖地の歴史地図の稀品である.
Christian Adrichom (Christiaan van Adrichems;Delft1533-85)
"Theatrum Terrae Sanctae Et Biblicarum Historiarum cum Tabulis Geographicus aere Expressis;Urbis Hierosolymae quem Admodum ea Christi D. N. Tempore Florvit"
Cologne, 写真は1593の第二版,初版は1590年 Georg Braunによる
Adrichomの歴史地図に基づきこの地図も東を上にして描かれているが,同図のパレスチナからエジプトまでの海岸線は直線状であったのに対し,この地図では南方が強く湾曲していて,左端のSidonから右下のAlexandriaまでが描かれている.
地図左寄りにはガリラヤ湖Mare Galilaeaeが描かれているが,ここから地中海はKishon川で連結されているのは間違いであり,中央右に描かれている死海Mare Mortumの南端は西方にゆがんで図示されている.
ヨルダン川の両岸にあるカナーンの地は,十二部族に分割されている.ここでは彩色の縁取りによって示されている.一見13に色分けされている様に見えるが,Tribus Manasseがガリラヤ湖の東北と南西に跨って(ここでは黄色で囲まれて)いるため.
上下の欄には出エジプト記からモーゼが登場する18の場面が描かれる.この地図の彩色者は,モーゼに赤い衣を羽織らせ,下着は黄土色としているが,これは彩色者によって異なる.
上段左から右に
第2図がモーゼの発見(中央) Exodi 2とあるのは出エジプト記 第2章のこと.
第4図は燃える柴の奇跡 第5図はファラオの前で杖を蛇に変える奇跡
第7図には火の柱が描かれるが,下のルート拡大図のEthamにも図示されている 第8・9図は紅海渡渉
下段左から右に(必ずしも時系列順の通りではない)
第11図はマナの収穫 第12図は十戒を授かるモーゼ
図13・4は黄金の子牛の崇拝
第16図は岩を叩いて水を出すモーゼ 第18図は青銅の蛇の奇跡
左下に描かれたエルサレムの鳥瞰小図
イエスがロバに乗って同市に向かう場面は新約聖書に拠っている
伝統的な出エジプトのルートが砂漠の中に描かれている.紅海渡渉の図も右下に描かれていて,Pharaoと読める.その左手には神殿の周囲に並ぶ十二部族も図示される.
参考:Van der Krogt, Atlantes Neerlandici, 1, 8150:1B; Laor, 372; Nebenzahl, pl.43.
・下記は他の彩色例.
Accuratissima orbis antiqui delineatio,1677
Amsterdam, 1630 初版か?
Amsterdam, 1658