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「レーゲンスブルクのディンプフェル家のWunderkammer」ヨーゼフ・アルノルト1668年
ここには"芸術と骨董"として,絵画や彫刻に加えて,カップなどの金属工芸品,地球儀・天球儀,時計などの科学機器,自然界からはオウム貝やサンゴに頭蓋骨まで,さらに信仰の対象となる十字架,武具としてミニチュアの大砲,右下にはたぶん日本の鎧兜まで集められている.
以前天球儀の紹介記事のコメントで,小林頼子先生の「フェルメール論」からの引用で,天球儀は『17世紀に紳士たる者がもたねばならぬとされていた「ウォンデルカーメル」(驚異の蒐集室)に収められるべきコレクターズ・アイテム』のひとつで『蒐集品を主題にした絵画には、必ずといっていいほど天球儀、地球儀が描かれているのである』(増補版209頁より)とご紹介しましたが,東京大学総合研究博物館小石川分館で,2006年3月から,ロングランの企画展(=常設展示でないとしたら,そろそろ?)「Wunderkammer驚異の部屋」が開催されていて,一度行ってみたいと思っていたところに,昨日,当館の学芸員(wife)から,「運動不足なのだから,お散歩!」とお尻をたたかれて,小一時間の行程を徒歩で,隣接する小石川植物園ともども訪問しました.
じつはもうひとつ背中を押されたことがあります.地図と星図を調べていて,
天文古玩という玉青さんのサイトに行き着き,ヴンダーカンマー関連の記事を拝読させていただいたこと.博物学者を思わせる氏の深い造詣があふれたサイトで,個人的には天文の懐古趣味も手伝って,虜になってしまいました.
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植物園は入園するのにチケットを前のたばこやさんで買わなければなりません.右はヒマラヤスギの大木(若者よ,木に登ってはいけません)
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ニュートンのりんごの木 生家に生えていた木から接ぎ木されて,1964年に英国物理学研究所から贈られたものだそうです
途中,温室は日曜は閉室とのこと.案内が悪いと文句を言っているご老人がいらっしゃいましたが,東京大学大学院理学系研究科という研究機関の附属施設なので,しょうがありません.
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菩提樹は幹の根元から若枝が親を取り囲むように生えていました. 池に下ると右手に博物館.いまは敷地は別になっています
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博物館の建物は旧東京医学校本館です.ようやく青空が見え始めました.
さてさて,博物館の紹介記事には「大航海時代の西欧諸国においては、『驚異の部屋』と呼ばれる珍品陳列室が王侯貴族や学者たちによって競ってつくられたことが知られています。」(初めて目にするものに対する新鮮な驚きの感覚は)「体系的な知の体得へ先立つものであるとともに、新たな知の獲得へと人々を駆り立てる潜在的な原動力ともなっているものです。(中略)東京大学草創期以来の各分野の先端的な知を支えてきた由緒ある学術標本をもとに、『驚異の部屋』が構築されることは、次世代の知を担うべき人々にとっても少なからぬ意義を持つことと思われます。」「国内有数の自然史標本コレクションへ加えて、お雇い外国人教師E.モースの直弟子らの動物標本コレクション、医科大学初代学長三宅秀の学術標本コレクション、工部省工学寮ゆかりの工学模型・機器のコレクション、そのほか本学の教育研究を担ってきた博士らの肖像のコレクション、本学の教育研究の現場を支えてきた標本・図画・模型・機器・什器のコレクションがあります。」とのことでした.
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入り口 正面の奥に天体望遠鏡が見えます. 向こうはお池とお庭
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右手が1階のメインルーム 中央の地球儀は以前二つあったらしいのですが,いまはひとつだけ.1937年ブリュッセル製でした.周囲に剥製と,ホルマリン漬け?の生物標本の並んだキャビネット
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2階に上がって右手裏が動物の骨と亀や鰐の剥製のある部屋 奥の人体模型などの部屋は画像的に遠慮します
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左手が貝類や鉱物標本の並ぶ部屋
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その奥が理工学機器の展示 中には顕微鏡群の展示ケースも 階段室には人骨標本....
博物館の入館料は無料です.ただし,月~水が休館(祝日は開館)なのでご注意ください.帰りは後楽園方面へでて,地下鉄で帰りました.途中,岡埜栄泉の和菓子屋さんがあったので,豆大福とうさぎまんじゅう(かぼちゃ餡入り)を買って....
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美味でしたが,胸焼けしてしまいました. Wunderkammerは,確かに現ドレスデン城の美術工芸品展示室「緑の丸天井」に代表されるように,かつては王侯貴族のものでしたが,時代が下るにつれ,紳士のたしなみとなっていったはず.レンブラントも骨董美術品の蒐集に熱を入れ過ぎたといわれますが,レンブラントハイス美術館の確か二階にもその名残を見ることが出来ます.
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私も自然界の事物以外なら(結構石好きだったりもするので生物の遺物以外か)細々と蒐集してもいいかなと思ったりもしますが,先立つものと天命が足らないかもしれません.Kunstkammer「美術品展示室」とも呼ばれますが,そちらを目指しましょう.