16-18世紀に西欧で製作された天球儀などの国内の所蔵先について現在調査している.
天理図書館* | 直径42cm | ルーヴェン・メルカトール;1551年版 | MER** 地球儀1541年版と対 |
同上 | 23cm | アムステルダム・ブラウ;1602年版(1621年以降の制作と推定) | BLA-III2? 地球儀1602年版と対 |
同上 | 34cm | アムステルダム・ブラウ;1603年版・1600年分点(1621年以降の制作と推定) | BLA-I3 地球儀1599年版と対 |
同上 | 26.5cm | アムステルダム・プランシウス原図・カエリウスP.van den Keere制作;1614年版(1625年分点) | 地球儀1614年版と対 |
同上 | 20cm | ストラスブール・ハブレヒト;1625年分点 | 地球儀と対 |
同上 | 68cm | アムステルダム・ブラウ;1640年分点(1630年頃の制作と推定) | BLA-V3 地球儀1622年版と対 |
同上 | 48cm | ローマ・グロイター;1636年分点・同年版 | 地球儀と対 |
同上 | 9cm | ベネチア・コロネリ;1697年版 | 地球儀と対 |
同上 | 7cm | ロンドン・ヒル;1754年版 | 地球儀と対 |
同上 | 32cm | パリ・デノ;1758年版 | 地球儀と対 |
同上 | 30cm | ロンドン・アダムズ;1795年 | 地球儀と対 |
京都外国語大学付属図書館 | 直径13.5cm | アムステルダム・ブラウ;1606年版(1618/21年の制作と推定) | BLA-IV1? 地球儀と対;表面のニス劣化かくすみ |
武雄市立蘭学館 | 直径24cm;高さ34.5cm | アムステルダム・ファルク工房;1750年版(1750年以後の制作と推定) | VAL-I4 鍋島家が地球儀と共に1844年「天保十五年辰春」輸入;表面のニス劣化かくすみ |
松浦史料博物館 | 直径31.0cm;高さ46.3cm | アムステルダム・ファルク;1700年版(1711年頃の制作と推定) | VAL-II2 平戸藩松浦家が地球儀と共に輸入(長崎県指定有形文化財);ニスの劣化はやや目立つ程度,一部に紙片の剥脱があるが総じて美品 |
千葉市立郷土博物館 | 直径20cm | ニュルンベルク・ドッペルマイヤー;1730年版(W.P.イェーニッヒによる1790年代再版) | ニスはやや黄変するが美品 |
*天理図書館
開館71周年記念展として平成13年10-11月に図書館展示室で,平成14年5-6月に東京天理教館の天理ギャラリーで,プランシウスとブラウの天球儀が展示されていたらしい.メルカトルの地球儀(ルーヴァン1541年),バイヤー星図Uranometria(初版1603年)も展示されたとある.
日本では唯一一所に天球儀が複数保管されているところで,この他ニュートン社製の19世紀前半と思われる天球儀が2点所蔵され,計13点らしい.多くは1962年ごろ購入されたらしく,地球儀は言うに及ばず,このほか渾天儀だけで8基も所蔵されている.
**記号はvan der Krogt, Globi Neerlandici, 1993 のカタログによる
・富山天文台のサイトに記述のある福山の誠之館歴史資料室の「天球儀」は,阿部家より寄贈されたものでペリーより贈られたという.経緯からすれば19世紀のアメリカ製か?61×35cm. 「福山城主阿部正弘所縁?の天体運行儀」は太陽系の惑星運行モデル,すなわちオーラリーOrrery.
・広島経済大学図書館の蔵書
バイアー「星図Uranometria」初版 1603年
コペルニクス「天体の軌道についてDe revolutionibus orbium coelestium」初版 1543年
ケプラー「ルドルフ表Tabulae Rudolphinae」初版 1627年
ガリレイ「世界2大体系についての対話Dialogo sopra i due massimi sistemi del mondo」初版 1632年
・シェークスピアの初版本の所蔵で知られる明星大学図書館にもガリレイの「二大世界体系についての対話」初版 1632年 の他数冊,ケプラーの「新天文学」1609年,コペルニクスの「天体の回転について」1617年アムステルダム版などが所蔵されている.
ぜひ完備したデータベースができますことを念願しています。
それにしても日本を代表する天理図書館の球儀コレクション。探しても全然所蔵リストが出てこないのは、何だかわざと隠しているような…。
公立図書館ではないにしろ、個人蔵でもないのですから、文化を守り伝える者として、堂々とその威容を示してもらいたいものです。
天理図書館は,よくぞ当時良品(すべてではないですが)を集めてくださったものだとありがたく思っています.いまではプランシウスの鑑賞に堪える品などほとんど市場に現れないようですから.
http://www.tcl.gr.jp/index.htm
まとまった公開をしていただければよいのですが,見せていただけるだけありがたいということで.
上記データは,苦労して手に入れたS38年の「善本写真集」No.20などを参考にvan der Krodtの文献も参考にして書きました.