黒いストッキング

君の夢をみた朝

いつものように君を探して

黒のストッキングを履くのは

真夏の黒は墜ちるように色めくと

君が頷いたからで


だけど

君の好きな色は知らないまま

それでも

生きて暮らしていかなくてはならず


このいちにちに

色を塗ろうとしては

絵の具が

黒の足もとに散らばり


まるで

不規則な色模様で

ああ君の夢みたいだ

8月6日の空

過去から今へ

今からその先へ


空は何をみてきたのか

わたしたちは何をみるのか


人のおろかさ

人のひたむきさ

人の愛らしさ

人のかなしさ



わたしたちは何をみるのか



黙祷
at Hiroshima

迷い猫

夏に向かう雨は

記憶の透明さを曖昧にする



ゆうべの夢と今日の現実

日常と非日常の境界線



消えゆくものと

たちあがるもの




ハザマに濡れた

迷い猫



雨にうたれ続けた猫ならば

知るのだろうか




沈黙が築く言葉の意味を

答えのない問いの果てを


@hoshidamastory

抱きしめたまま

言葉を抱きしめたままだ

あの時の

あのひとの

あの場所の



言葉には風景があり

時があり

香りがあり

音があり



抱きしめたまま

時が経つ

手放せないまま

時が行く




それが

いつか自ら離れるまで

飛び立つまで

抱きしめたまま




だから

わたしは


しあわせ

なんです

果たされなかった約束に

出会い別れ

生きていくことは

刹那の連続だ



儚い人々の

瞬間も、約束も、

散る



果たされなかった約束に


古びた時間は降り積もり


その深さゆえに


君は哀れな美しさを

さがそうとする


@hoshidamastory