DALAB情報発信用ブログ:OpenCAE+GPGPU+Peridynamics編

DALABで行っている研究活動の中で、OpenCAEやGPGPUや破壊解析の取り組みについてまとめてゆきます。

現場を知ることが大切

2006年09月01日 03時17分57秒 | 研究室情報
先日の段ボールの記事にコメントを頂きました。ありがとうございます。発展する内容だと思いましたので、新しい記事にすることにしました。ご指摘の内容は、技術の現場にあっても「机上の戦略ばかりが先行して現場の知識が足りない」と言うものだと思います。まったく同感です。段ボールによる仮設住宅の共同研究をしており、ちょうど同じような印象を持ちましたので、紹介させていただきます。
これまで、共同研究においては、加工された部品が持ち込まれて、それを組み立てる工法の検証やコンセプトなどを考えてきました。しかし、部品の寸法や形状の決定においては、生産現場の条件が支配的になるということで、一度、現場を見ておこうと思いました。
そこで、共同研究のパートナー企業さんの段ボール加工工場に見学に行きました。そこでは、我々が使っている部品がどう作られているか、試作の場合と製品の場合をそれぞれ勉強して、部品の設計に関して気をつけなければいけない条件を、色々と教えてもらいました。これは、共同研究会議では出てこない、現場でなければ知りえない情報だったと思います。議論になるまとめられた情報では、隠れてしまう色々な事実を知っておくことが大切だと思いました。
しかし、本当に印象的だったのは、「現場は暑い!」と言うことなのです。いつもは、涼しい研究室でコンセプトを考えたりしているのですが、そのアイデアを実現する現場は、厳しい暑さの中での作業だと言うことを感じました。
その後、部品の元になる段ボール材料の作られ方を知っておいたほうがよいと言うことになり、さらに遡って段ボール原紙の工場を見学することになりました。日本の場合は、比較的人口が密集しているので、リサイクル段ボールの古紙を使って段ボールを作っていました。ゴミのように見える段ボール古紙が溶かされて、またきれいな段ボール原紙になる工程は驚きの連続でした。製鉄工場みたいなダイナミックさがありました。
しかし、本当に印象的だったのは、「現場は臭い!」と言うことなのです。当然、段ボール古紙を溶かすには薬品が使われていますし、基本的には紙を漉いているので大量の排水が出ますので、その浄化槽があるわけです。それが当然なわけです。

今回の2つの工場見学を通じて、1つのものが作られるまでには、原料から非常に多様な組み合わせを経て部品が作られ、それを最終的にまとめることで製品が作られているので、最終製品の小さな条件が、すべてその生産過程の中での必然性を持っていることを知りました。当然、これらの仕組みを知らなければ、最終製品の品質を上げることは無理だと思いました。
ものづくりと称して、ロボットのおもちゃを作ることが色々行われていますが、本当のものづくりの要は、素材から部品を作る地味な工程にこそあって、ロボット組み立てキットの中にはないのではと思うのです。どうでしょうか?