鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

災害に備えるために(事前復興)

2019年02月05日 12時47分15秒 | Weblog

総務委員会で昨年行った行政への提言について、今日は昨年の取り組み状況などを行政から聞き、意見交換を行っていました。ちなみに昨年度は「①災害時の復興計画について」、「②公共施設マネジメントについて」の二つを提言しています。今回は、このうちの「①災害時の復興計画について」を取り上げます。

災害時の復興計画ですが、簡単にいえば、事前復興計画策定の取り組みについてです。提言にあたっては、一昨年に防災危機管理課長も同席して富士市さんの取り組みを視察、それをもとに提言がまとめられたという経緯があります。その過程では、国や県の動向を見てからした方がいいのではないか、という慎重論を述べられた方もあり、提言の文言としては「 本市で想定されている地震や津波災害等の被害とその対応について、行政職員だけでなく学識者も交えて議論するなど、中長期的に調査研究を進めること。 」となりました。

自分自身は、事前復興の考え方について2015年ごろから取り入れた方がいいのではと考え、一般質問の中で取り上げるなどしてきたので、提言がもう一歩踏み込めなかったのは少し残念でした。一般質問などのやり取りで、行政の中に、このような考えにあまり積極的でない人もいたので、そのようなことも、なにかしら関係したのかもしれません。

 

さて、今日の内容について、提言を受けて市防災危機管理課は昨年7月17日に、鈴鹿から呼びかける形で防災対策意見交換会を、三重県、四日市、桑名の各自治体関係者と行い、その時点で、三重県からは平成28年3月に策定の「三重県復興指針」以来、特に動きはないこと、他市については取り組んでいないということだったということです。

そのような状況の中、昨年7月24日に、国土交通省から「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」が公表され、復興事前準備の必要性やその取り組み内容について、市町が取り組むための内容や留意点が示されました。つまり、国もこのような方向で動くことが明らかになったわけです。

■「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」

昨年11月には第1回事前復興都市計画研修会が、三重県県土整備部都市政策課主催で行われ、今後も研修会が重ねられながら事前復興の考えで、関係各課などと連携していくことになるということが報告されました。

名取市や岩沼市での話でお聞きした話でも、国の職員の動きはスピードがあったということでしたから、想定される大災害を前に、このような動きが出ていることは驚くところではありません。逆に、住民の皆さんの生活と密着し、将来の自分たちのまちを考えなければいけない基礎自治体こそ、このようなことにアンテナを立てて行動することが必要だと思いますし、ボトムアップでも国に意見を上げることが必要だと思います。

 

このような動きを受けて、鈴鹿市としては、津波だけでなく内水氾濫や洪水、気候変動なども視野に入れながら、住民の皆さんとの対話、住民の皆さんとの対話を通して、地区別防災計画を地域づくり協議会と連携しながら早急に取り組むべきだと考えます。その時に重要なことは、若い世代を積極的に巻き込んでいくことだと思います。どのような災害を受けるのであれ、それに柔軟かつしなやかに対応し、地域社会はもちろん鈴鹿市、それ以上の枠組みと、持続的な社会に携わっていくのは、他でもない彼らだからです。

事前復興の視点から、ぜひ今の災害対策を考えたり、将来のまちの姿を、少しでも考えることから始めて頂きたいと思います。

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岩沼市と名取市

2019年02月04日 12時49分58秒 | Weblog

先月21日、宮城県岩沼市と名取市に行き、「防災集団移転事業」と「名取市復興整備計画」について、特に集団移転に係る住民との関係という観点を軸にお話を聞かせて頂きました。なぜこの時期に?ということを思われる方も多いと思いますが、昨年秋に行くことを考えていたのですが、先方の事情もありそのときはかなわず、年が明けてからであれば、先方からも予定が大丈夫というお話を頂いたためです。

理由は、鈴鹿市の海岸線部においては、南海トラフ地震に起因するとされる、想定最大の津波被害に対して、その時点の避難という視点から対策を要望されることが多いのですが、被害の映像イメージを自分のまちにあてはめるのであれば、実際に被災した自治体でどのように復興に取り組まれているかを調べ、その上で、避難だけでなく、もし被災した後に、どのように復旧または復興するのかという、事前復興の視点を持ち地域を考え、災害を備えることも必要ではないかと考えるからです。特に、改選期のこの時期、感情的な話ばかりでなく、論理的に考える部分も大切と考えています。

写真は現在の名取市閖上地区のものです。約5千人の方が居住されていましたが、津波でほぼすべてが流され、お亡くなりになられた方も多数いらっしゃった地区です。現在は、復興事業でかさ上げで土地を造成したり、堤防とかさ上げ道路で二段階の防御ができるような事業が行われていますが、事業完了時点では約2千人の人口になるということです。残りの方は、市内他地区に移転したり、集団移転を行った方もいらっしゃるということです。同様に海岸線部では下増田地区というところも津波で流され、そちらは駅周辺に集団移転を行ったということです。

岩沼市では、津波被害を受けた海岸線の6地区の方々が、内陸に入ったところで造成された玉浦西地区に集団移転をされています。こちらでは約2千人の人口の半分の方々が、この集団移転事業で転居され、その他の方々は、市内の別地区や名取市などをはじめとして他自治体に転居されているとのことでした。

宮城県の被災自治体では、被災した海岸線部ではなく、内陸に移転しているところがほとんどで、名取市のような事例は珍しいということでした。

ここまでのところから考えると、鈴鹿市、三重県だけでなく、想定される最大高の津波で激甚な被害を受けた地域では、復興の局面でそれまでと同じところに居住するという選択は、ほぼないのではないかと予想されます。このことは、基礎自治体である市町はもちろん、都道府県、国が正視しなければいけないことだと思います。

 

復興に向けてのプロセスでは、どちらの市も住民参画が重要な要素になっていました。

名取市では、名取市新たな未来会議や百人会議のような手法を取り入れながら、住民との対話を進めていたということです。ただ、閖上地区は多くの住民の方がなくなっていて、百人会議のような場においても、激しい意見が飛び交うなど非常に苦労されたということです。また、閖上地区が歴史的ある地区ということで、市がその場に復興したいという考えを持ちつつ話を進めたことが、難しい要因にもなったということでした。

岩沼市では、行政主体ではなく、住民主体で復興に係るまちづくりを行い、旧の住民自治組織である6地区代表社会、復興のデザインを検討するまちづくり検討会、そして行政と三つ巴で集団移転事業に取り組んできたということでした。また被災時も、地域のコミュニティ、人のつながりを大切にするということで、仮設住宅建設と入居の際に地区別での入居となったといい、このようなことが、集落ごとでの意思形成にもプラスになり、話し合いがスムーズに進められたということです。

鈴鹿市では現在、地域づくり協議会の立ち上げから運営が進められていますが、地区別防災計画の策定とうまく連動していないなど、両市の取り組みから考えると、最低でもその点の考えの整理が必要と考えるところです。そのようなことをせずに、地域づくり事業ばかりを進めても、そちらの事業も中途半端になると思います。

 

もう一つ重要な要素は、土地利用の考えやグランドデザインについてです。

両市ともに、津波で被害を受けた地域は「危険区域」と指定され、人が居住できない用途地とされています。この地区に居住されていたものの、移転される方には土地を買い上げる仕組みになっています。それをもとに、移転をしてもらうという仕組みを国が整備していました。

また、区画整理事業や開発事業などで空いていた土地があり、仮設住宅の建設場所があったといいます。また、駅周辺や地域内の別地区に開発されたものの活用が進んでいなかったところがあったことも、地域内での移転にプラスの面があったということです。

鈴鹿市で今できることは、土地利用の状況と、災害時の避難所や、仮設住宅を建てる場所を想定し、その土地利用が現在どのようなものかを整理し、もしもの際にすぐに、かつ柔軟に土地利用を考え、そして対応できるように備えておくことだと思います。

 

両市での意見交換の中でお聞きしたでポイントだと感じたことを自分なりに整理した言葉で書くと、ひとつは「津波だけでなく大雨や竜巻といった災害での被害を想定し、市民が被害を受けたとき、どう備える、どう対応するか考えることが大切ということ。」、「罹災証明を円滑に発行するシステム、被災住宅の迅速な対応、沿岸住民の対応、被害を受けたときの対応と、段階で考えること。、「遠回りのようであるけれども、住民同士で話し合うことが早道で、議論をして話をすると時間もかかるし無駄と思われるかもしれないが、最終的な着地の時に住んで良かったと言ってもらえるか、まちに住んでいる人が次どうしようかと話し合えるかが大切。」ということです。

鈴鹿市の政策に活かすように取り組んでいきます。

 

 

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電子地域通貨、シモキタコインから考えること

2019年02月02日 20時11分43秒 | Weblog

つい先日ですが、電子地域通貨のシモキタコインの取り組みについて、代表の方からお話をお聞きしました。

■シモキタコイン


シモキタコインは、システムの考え方にブロックチェーン技術を利用して、QRコードで決済を行える仕組みを、東京の下北沢界隈で利用できる地域通貨として運用しているものです。「1シモキタコイン=1円」での運用になっています。
この段階で分かる方にはなんとなくわかる、わからない方にはなんのことだろうという内容なのですが、キャッシュレスの動きが加速する中で、注目しておくべき動きだと思っています。

注目点のひとつは、過去の地域通貨ブームの時は、地域通貨の発行や流通や換金などについて、紙をベースにしたものにならざるを得なかった部分があり、上手く使い切れなかったところがあると思うのですが、シモキタコインのような技術を利用すれば、そのハードルが下がり、地域通貨の考えをもっと活用できるようになだろうという点です。

今後、福祉をはじめとした領域で、市民参加で相互に支える仕組みが重要になるところです。この時、大きな金額を支給するのであれば、それは賃金ということになり、その考えは考えで重要と思うところです。しかし、自分のできる範囲で小さな活動を積み重ねることも、社会をつなぐ中で大切なことだと思います。その時、電子地域通貨の形で少額でもポイントが付与されれば、活動への動機付けとして有効でしょうし、現金で渡すこともなく、地域内で利用されることで地域内経済の循環にも意義があると思います。

地域内経済の循環から考えると、地域通貨として流通されることで、外部への流出が抑制されることは、地域内の産業連関も考えて運用されれば、地域の経済をみんなで支えるということで、それぞれに支え合う意識を育てることにもなるのではないでしょうか。

シモキタコインでは、外国人観光客のもつ現地通貨を、シモキタコインと交換できるようにできないかと検討するなど、鈴鹿にとっても発想のポイントになるようなことがあります。読み取り機器に大きなコストも必要ないですから、小さな商店でも利用しやすいというころは、観光客のことを考えればありなのではないでしょうか。

また、キャッシュレス社会を国は推進していますが、大きな会社が運用する電子通貨や決済のシステムは、パーセントは低いとは言っても、地域内の富が大きな会社の利益として流出するとも考えられます。すこし考えれば、儲けになるからこそ、イベントや広告宣伝費にコストをかけて、キャッシュレス決済の導入を大きな企業が図っているのではないでしょうか。

また、小さな範囲で流通することができる電子地域通貨が、距離を超えて連携することができれば、面白い展開が広がるように思います。

そこを考えれば、地域内で流通する電子地域通貨によるキャッシュレス社会の実現は、自治体にとっても検討する課題だと思います。
ただ、自治体が主体となって推進するものではなく、地域に根付く金融機関や、商工会議所などの団体、もしくは小さくてもその地域に根付く企業による運営など、民間側の動きが大切なものと思います。自治体はそれがまわるように、信頼の付与や、運用のために福祉ポイントなどで利用するなどで、地域として一体になって取り組むようにすることが、その役割になるのではないかと思います。

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