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さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

ものさし?

2020-10-08 | オペラ研究
フィガロの結婚

舞台はアルマヴィーヴァ伯爵邸。
セヴィリアから少し離れたスペインの田舎。
初演はウィーン。

原作はフランス人の劇作家:ボーマルシェ。
台本はイタリア人の詩人:ダ・ポンテ。
作曲はモーツァルト。
当時は神聖ローマ帝国領であり、
フランス革命勃発とともに大きく運命を変えることとなるザルツブルグの生まれ。




~ものさし?~

さて。
フィガロは物差しで、部屋の寸法を測っています。

ん?
ものさし?



ちょっと待ってください。おかしくないですか?

ある一つの疑問が浮かびました。

どうして家具の配置を決めるのに、
物差しでチマチマと測っているのでしょう?


  
引越の時を想像してみてください。
両手を広げて、だいたいオッケーだとか、
先ずは大まかに測りませんか?

両手を目いっぱい広げた長さは、身長とほぼイコールです。
ベッドの長さを見ていたとしたら、まずは
身長以上以上の長さがあるかどうかを見るのではないでしょうか。

あるいは巻き尺などを先ずは身長くらいの長さに伸ばして、
そこから測り始めるのではないでしょうか。


ベッドを置く場所を考えていたとします。
人が寝るので、大人の身長+αくらいの長さ。
だいたい縦が180㎝から2mくらいを想定するでしょう。
二人で寝るので、ダブルベッドまたはセミダブルサイズです。
横が120㎝くらいのものでしょう。

長さを測っていたら、「1m70…80…84。」などと、
横幅を測っていたら、「1m…10…20。」などと、
大きな数字から始めるのではないでしょうか?


そもそも、家具の配置を決めるのに、
なぜ巻き尺のように長い長さを測れるものを使わずに、
物差しを使っているのでしょう?

あるいは、巻き尺を使っていたとしたら、
なぜ一気に1mを超える近似値まで伸ばさずに、
チマチマと小さい数字から数えているのでしょう?



どうして「5…10…20…30…」と、カウントアップしているのでしょう。
どうして「30…35…36。」と測らないのでしょう。


ものさし?

どうして物差しでチマチマ測っているのでしょう?
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Nr.1の小道具~三角定規~

2020-10-04 | オペラ研究
フィガロはまず「5」を測ります。
次に「10」を測り、順に「20」「30」を測り、
「36」を測り、「43」を測ります。

差が「5、5、10、10、6、7」と変化します。


今までに、
ツォルシュトック巻き尺や物差しを検証してみましたが、
今回は三角定規について検証してみます。




~直角二等辺三角形~

直角二等辺三角形。
↓ これです。

短い方の2辺の間の角が、直角です。つまり90度。
この2辺の長さは同じです。
斜めの辺、つまり長い方を斜辺と呼びます。


直角二等辺三角形の、短い方の2辺の長さがそれぞれ「5」だとすると、
三平方の定理またはピタゴラスの定理から、
斜めの1辺、つまり長い方の1辺の長さは「5√2」です。

…直角三角形の辺の長さの求め方って、
学校で習ったような記憶が薄っすらとありますねぇ…。(遠い目)

短い方の辺の二乗の和は、斜辺の二乗とイコールってやつです。


直角を挟む二つの辺の長さをそれぞれa、bとして、
もう一つの辺、つまり長い方の斜辺をcとする時、
a×a+b×b=c×c。

直角二等辺三角形の場合、
直角を挟む短い方の2辺の長さは同じ。
2辺がそれぞれ「5」だとすると…

5×5+5×5=長い方の1辺の長さの2乗

5×5+5×5=25+25=50 ⇐これが、長い方の1辺の長さの2乗
長い方の1辺の長さ=√50=√2×5×5=5√2




5√2

√2は1.41421356…です。
ひとよひとよにひとみごろ…なんて、
七五調で覚えました。

5√2は5に√2を足したものなので、
6.41421356...です。
小数点以下を四捨五入して近似値を取ると、「6」です。

5√2に5√2を足すと、
6.41421356...に6.41421356...を足したものになるので、
12.82842712...です。
小数点以下を四捨五入して近似値を取ると、「13」です。


…見えてきた?




~直角二等辺三角形の定規で測る~

ト書きの misura を、直角二等辺三角形の定規だと仮定します。
この場合、ト書きは『フィガロは直角二等辺三角形の定規を手に』と訳されます。

フィガロはまず、測りたい場所の端に三角定規の鋭角を合わせて置けば、
短い方の辺で「5」を測ることが出来ます。

 まずは置いただけです。
手で持ったまま、床に三角定規を立てているような形です。
これで「5」

そこから、三角定規の直角を支点として90度、定規の向きをパタンと変えます。
◢⤵◣
間はもちろん空けずに次の「5」を測ります。
合わせて「10」。

次に、鋭角を起点として定規を進行方向にクルッと180度、回転させて、
直角を支点として定規の向きをパタンと90度変える動きを利用して、「20」。
◢+◣

同じようにクルッと回転&パタンで「30」。


ここまでは直角二等辺三角形の短い方の辺だけを使って測ってきました。
先ずは2回、1辺のみを使って。
次に2回、直角を挟んだ2辺を使って。


今度は直角二等辺三角形の長い方の斜辺を使って測ります。

◢◣


斜辺の長さは5√2、よって、35√2、
さんじゅうごるーとに…とは歌えないので、
近似値を取るために小数点以下を四捨五入して、「36」。


次に、同じように斜辺を使って測り、42√2、
同じように近似値を取るために小数点以下を四捨五入して、「43」。

また2回、直角二等辺三角形の長い方の斜辺を使って測りました。

2回、2回、2回。
同じことを2回繰り返す動作を、3パターン。

よって差が「5、5、10、10、5√2、5√2」と変化するのです。




……どうして三角定規なのでしょうか? うふふ
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Nr.1の小道具~巻き尺・物差し~

2020-10-02 | オペラ研究
オペラ『フィガロの結婚』の小道具について考察しています。
第1番2重唱でフィガロが使っている小道具について、です。




~巻き尺~

フィガロが巻き尺を使っていたと仮定します。

ボタン一つでシュルシュルと巻いて収納する、
あのからくりのついたタイプの、
スチール製の、あるいは裁縫箱に入っていそうなタイプの、
日本のご家庭ではお馴染みの、あの巻き尺は、
当時使われていたとは考えにくいのですが、
リボンやロープのようなひも状のもので長さを測っていた歴史は、
エジプトのピラミッド建設でも確認されているので、
巻き尺(ひも)はあったと容易に推察できます。

何かに巻き付けるか、毛糸のようにクルクルと丸めるか、
ロープのように結ぶかして、
使わない時には収納されていると考えられます。


この場合、misura
『紐状のもので長さを測るための道具』と訳されるでしょう。


裁縫箱の中の巻き尺のように、道具箱の中の巻き尺のように、
『紐状のもので長さを測るための道具』は、
フィガロの商売道具の中にあり得るでしょう。




~巻き尺で測る~

巻き尺(ひも)を使う場合、使い方には二通りが考えられます。
ある程度の長さがあって目盛りがある場合と、
短くて、その巻き尺(ひも)自体を基準をする場合です。




~長さがある巻き尺で測る~

ある程度の長さがある巻き尺で測る場合、
その巻き尺(ひも)には必ず目盛りがついているでしょう。
ベッドの丈以上の長さがラクです。

目盛りに沿って、長さを測ります。


巻き尺(ひも)を、伸ばしながら測るのは…
たとえそれがスチール製の巻き尺であったとしても、
安定しないので、やりにくいです。

校庭に白線を引く時のような感覚で、巻き尺(ひも)がスルスルと安定するように、
何かに巻き付けておくか、毛糸を転がすようにするか…、
いずれにせよ、伸ばしやすくするために工夫を凝らす必要があります。


伸ばしながら測るのではなく…
まずは巻き尺(ひも)を床の上に伸ばして置いておいて、
目盛りだけを確認する方が、やりやすいです。

幕が開く前から、フィガロは巻き尺(ひも)を床に伸ばしています。
実際には、スタッフさんが置いておいてくれますが、
フィガロが伸ばしたものであるという前提です。
幕が開くタイミングでは、巻き尺(ひも)は床の上に置かれています。
…『手に』というト書きには合致しなくなります。

床の上に置かれた巻き尺(ひも)に、手を添えるなら、
…『手に』のト書きはギリセーフ?ギリアウト?


巻き尺(ひも)の端を手に持っていて、それを置く瞬間だったらOK!
『手に』のト書きに合致します。


長さのある巻き尺で測る場合、
伸ばしながらでも、床置きでも、
目盛りを確認して移動しながら「5.10」と測ったら、
次は2倍、移動して「20」です。

……なぜ急に倍速になるのでしょうか。



~目盛りのない巻き尺で測る~

目盛りのない巻き尺で測る場合、
その巻き尺(ひも)自体を基準として測ります。
尺取り虫を想像させるように、
その巻き尺(ひも)が何本分なのかを測るのです。

左手と右手、巻き尺(ひも)の両端を持って「5」。
単位はわかりませんが、5ナントカという長さが
その巻き尺(ひも)1本で測れるのでしょう。
5分の1ずつ、目盛りが振ってあるのです。

あるいは単位が"巻き尺(ひも)"。5マキジャク(ヒモ)。
尺取り虫の動きを5回繰り返して、
ひも5本分の長さを測ります。

「5ナントカ」または「5本分」を測って「5」、
そこからさらに同じように測って「10」、
次はその動作を素早く2回繰り返して「20」…

……なぜ急に倍速になるのでしょうか?



~物差しで測る~

目盛りのない巻き尺(ひも)は、物差しと同じです。
硬いか柔らかいかの違いです。

「5ナントカ」の長さの物差しで「5」。
あるいはその物差し5本分の長さを測って「5」。
そこからさらに同じように測って「10」、
次はその動作を素早く2回繰り返して「20」…

……なぜ急に倍速になるのでしょうか?



~ Zollstock ~

二つ折りの物差しだとします。
伸ばした長さが「10ナントカ」で、
畳んだ長さが「5ナントカ」です。

畳んだままで「5」、伸ばして「10」、
その端から、伸ばしたままの物差しで測って「20」…

やっぱりツォルシュトックを使っていたんでしょうか?
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ゲオルク・シューネマン

2020-09-28 | オペラ研究
ゲオルク・シューネマン

ペータースから
フィガロのドイツ語訳詞を出版した人物です。

フィガロの他に、
ドン・ジョヴァンニもコシ・ファン・トゥッテも、
ペータース版のドイツ語訳詞は
シューネマンです。

以上、覚書のみにて♪
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Nr.1の小道具~misura~

2020-09-27 | オペラ研究
さて。

フィガロの1番2重唱の小道具を考えるのに、
ペータース版のト書きを参考にしました。
このト書きはドイツ語です。
Georg Schünemann ゲオルク・シューネマンという人が、
翻訳したものです。




~ドイツ語への翻訳~

ウィキペディアによれば、
シューネマンは、1884年にベルリンで生まれました。
ベルリン音楽大学で教授や学長を務めた人物で、
1945年、第二次世界大戦でドイツが敗戦をした年に、
ベルリンで亡くなりました。60歳でした。

1933年、ヒトラーが首相となった年に、
ナチスのcivil servants' association 公務員同盟(※さなえ訳)のメンバーとなり、
1940年にフィガロのde-jewied 反ユダヤ版(※さなえ訳)翻訳を発表しています。

さらに、ウィキペディアによれば、
ペータースは、1939年にナチスによって会社を没収されています。

1939年と言えば、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻した年です。
第二次世界大戦の始まりです。

翻訳発表は、開戦の翌年…。

…そんな、背景を考えると、
ドイツ・ファーストを掲げるベルリン人のシューネマンなら、
イタリア語の misura を Zollstock と訳しそうな気がします。


フィガロのドイツ語翻訳については、
ベーレンライター版の前書きにも言及があります。




~ misura ~

ベーレンライター版およびリコルディ版では、
イタリア語でト書きに『フィガロは misura を手に』と書いてあります。

では、この misura をどう訳しましょう。

計器、はかり、物差し、巻き尺、メーター、メジャー…。
いろいろな訳が考えられます。

長さや大きさなどを測る・量る・計るための道具。
…要するに、↑ これです。

『フィガロは長さを測るための道具を手に』が
一番適切な訳でしょう。
…要するに、物差しでも巻き尺でもツォルシュトックでも、
ただの棒っきれでも良いということになります。




~ツォルシュトック~

misura を ツォルシュトック と訳したのは誤訳でしょうか。

ツォルシュトックがいつ頃できたのか、わかりませんが、
モーツァルトやボーマルシェの時代になかったとは言い切れないと思います。

舞台はスペイン。アルマヴィーヴァ伯爵邸です。
ヨーロッパ各国との交流はあったので、
ツォルシュトックがスペインにあってもおかしくありません。

よって、misuraをツォルシュトックとするのは、
間違いだとは言えないと思います。

それを使ってもよいはずだと考えます。

ですが、Zollstock には
『Zollという長さを測る棒』の意味があります。
Stock シュトックはスキーの杖であるストックと同じもの。
棒です。

misura をツォルシュトックと限定するのは間違いでしょう。
棒である必要もありません。


…音楽的には、とってもピッタリだと感じるのですが。



~物差し、巻き尺…~

ベーレンライター版には、イタリア語のト書きの他に
ドイツ語のト書きがあります。

misura をZollstock ではなく Maßstab と訳しています。
『長さを測るための棒』の意味です。
尺度、基準などの他、物差しとも訳されます。

ドイツ語だと、素材を限定しちゃうんでしょうかねぇ。

misura には棒の意味は含まれません。

リボンタイプの巻き尺でも良いってことでしょうねぇ。
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