さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

中村透作曲:オペラ御柱

2022-11-17 | オペラ研究



プロローグから大活躍の合唱…
コロスと呼んだ方がしっくりくるかもしれません。


テナガとアシナガが登場する直前のコロスの
このフレーズがツボです。





このフレーズを聴くと、
諏訪に帰ってきたなーと思うのです。

「生きてきた」のイントネーション、
標準語ならミミドレド?と思いますが、
諏訪の言葉だと、『生き』だけが高くなります。
つまり、この楽譜通り。
諏訪弁だなあと、ツボるのです。


中村透さん
諏訪の方言、諏訪のイントネーション、
綿密に取材なさった上で
台本を書かれ、作曲をなさったと感じます。


コロスは諏訪の民として、
もちろん諏訪の言葉で歌います。

「ごしてぇ」のように、よその国の人が
先ず真っ先に覚えて使うであろう有名どころは
出雲から来たアシナガが
早速1幕で、たぶんわざと使っています。


テナガも終盤で諏訪の方言を使います。
むしろ、諏訪の言葉しか使っていません。
それは、たぶんネイティブとしてです。
ミナカタとテナガandアシナガが、
今や余所者ではなく諏訪の一員であることを
象徴しているような気がします。

そして、この時に流れる音楽は私に
凍った諏訪湖を見せてくれます。

人が乗れるほどに硬く厚く凍った湖、
白い風景。
パウダー状になった氷が巻き上がり……
耳が痛い。


音楽家だからこそ、
諏訪人だからこそ、
音を聞いただけで、
風景が見えるのでしょう。
痛い冷たさを感じるのでしょう。

作曲家の力で。



さて。

テナガとアシナガは、
写真のフレーズの2ページ後に(笑)初登場します。
出雲からミナカタ様を追いかけて、
諏訪の地に辿り着くのです。

テナガとしては、このフレーズを聞いて
諏訪にたどり着いたと感じるのですが、
舞台袖で私は
諏訪に帰ってきたと感じています。


諏訪のオペラ
素晴らしい作品です。

オペラ『御柱』
11月27日(日)2時開演
カノラホール

コメント (1)
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花嫁帽子を作る②製作編~小道具自作

2021-09-02 | オペラ研究
スザンナが被るcappellinoを自作してみています。
材料は揃いました




~経験する~

土台となる帽子=cappellinoを選びました。
これに花をつけていきます。
一目で花嫁とわかるものを目指します。

どんな色味にするのか、
どんな配色にするのか…

センスが問われますね~。


鏡を見ながら、
どんな色が自分に合うのか、
スザンナと同じような気持ちで作ってみます。


演劇のアプローチの方法の一つです。

演じるキャラクターと同じ経験をすることによって、
そのキャラクターの、その時の心理状態をも経験します。
その経験によって、演じやすくなるのです。


実際に、結婚したことがなくても、
「結婚前の女性って、こんなにワクワクして準備するのか~♪」と感じると、
最初の2重唱が歌いやすくなると思います。


G-Durでワクワクしながら、作ってみてくださいね!


お花をつけたら、レースやリボンなんかもつけちゃう?




~調整する~

お花やレースをつけたら、
楽譜を持ってきて、確認します。

まず、花嫁帽子をつけるのは1幕。
鏡の前でつけたり外したり…しやすいかな?
フィガロと寄り添って歌う時に…邪魔にならないかな?

フィガロの顔を隠したり…
フィガロに刺さったり…しないかな?

最初の2重唱と、次の2重唱の間のレチでは、
たぶん、フィガロとイチャイチャするよね…
邪魔にならないかな?

伯爵夫人に呼ばれて、
フィガロのアリアの前に退場する時には、
たぶんテーブルの上か鏡台に、置いていくよね…
置いてあっても魅力的かな?

…ってか、転がったりしないかな?

マルチェリーナとのケンカの2重唱では、
取り合い奪い合いになる演出がつくかも…
大丈夫かな?

次に出てくるケルビーノも、これをいじるかも!…
大丈夫かな?

1幕の最後、合唱の面前で、
伯爵はこれを投げる演出がつくかも…
大丈夫かな?

2幕フィナーレ、これをつけて
ガビネットから出てくる演出がつくかも…
戸口、通れるかな?

その後の3重唱、4重唱、7重唱…
動き回れるかな?

3幕フィナーレ…
伯爵に、これをつけてもらうのに、やりやすいかな?
その後、これをつけたままダンスがあるかも…
踊れるかな?

4幕、舞台上で、
これをスザンナから伯爵夫人に付け替えるかも…
やりにくくないかな?
…袖で調整する時間、あったっけ?

伯爵夫人が、これをつけてケルビーノと一悶着…
落ちないかな?

4幕フィナーレ、伯爵夫人からこれがスザンナの手元に戻ってきて、
これを舞台上でつけて、エンディングを迎えるかも…
つけやすいかな?

あるいは、フィガロとイチャイチャベタベタしながら退場して、
そこで幕が降りるかも…
イチャイチャしたり、べたべたしたり、できるかな♪




~照明を当てる~

全てのシーンで確認が出来たら、
照明を当ててみます。

これは舞台で使うものだと言うことを忘れてはなりません。


女優ライト…のように、正面や下から照明を浴びることは少ないです。

舞台の照明は…舞台に立てば分かりますが…
自分から見て、真上や正面斜め上、斜め左右上にあります。
横にあることもありますね。

デスクライトでも懐中電灯でもいいので、
上から、斜め上から照明を浴びてみます…と、

顔が真っ黒!!!

つばが大きすぎたのかなぁ。調整しましょう。

顔の表情を、お客様から見えやすくします。


逆に、4幕では顔が隠せるようにしておくと、
4幕は演じやすいです。

伯爵夫人も、それを見つけるフィガロやケルビーノも。


つばを折れるようにしておいて、
1幕では折って固定、
4幕では伸ばす…とか、

レースをつけて置いて、
1幕では上げておき、
4幕では顔を隠すように下げる…とか。




~固定する~

照明のチェックも終わったら、
固定します…ガッチガチに!

舞台の上では、転げまわったり、床に手をついたりします。
壊れないようにするのはもちろんですが、
落下物もないようにします!
けがをしないように!!!

絶対に何も落とさないつもりで、ガッチガチに固定します。


動いてみて、首を振ってみて、
走ってみて、ジャンプしてみて、
踊ってみて、……
絶対に落ちないように固定します。



重すぎたりしたら、やり直しです~。

頑張りましょう。



花嫁帽子を作り終わった頃には、
スザンナの最初のフレーズを、実感を持って歌えるようになっているはずですよ!

Sì, sì!!
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花嫁帽子を作る①準備編~小道具自作

2021-05-09 | オペラ研究
スザンナが被るcappellinoを自作してみます。
まずは材料を揃えます。




~材料① 帽子~

土台となる帽子を選びます。
縮小辞“ -ino ”がついているので、大きくないものを選びます。
つばがついていなくて、ヘッドドレスのようにするならば、
少し工夫する必要があります…。

よって今日のところは、つばのついている帽子で作ります。
目指すのは、「可愛い帽子」「小さな帽子」の完成。

色は白っぽいものがいいかな~。
真っ赤とか真っ黒とか真っ青とか…絶対ダメでしょう。
一目で花嫁とわかるものを目指します。

100円ショップでも300円くらいで置いてあったり、
300円ショップや500円ショップにも置いてあったりするので、
そのようなものでも十分かもしれません。




~材料② 花~

ワンコインショップやスリーコインショップに来たら、
ついでに、飾る花をゲットしておきます。

白で統一したいところですが…
真っ白だと何をつけているか舞台ではわからないので、
少し色味を足します。

黄色やピンク、オレンジ系など、可愛い色。

・・・でも。
「黄色のバラ」の花言葉は「愛情の薄らぎ」なので、
使わない方がいいかもしれません。

「赤いバラ」の花言葉は「愛情」なので、
使いたいかもしれません。

じゃあ、赤いバラをワンサカ飾っちゃう⁉

…でも、
ナポレオンのお妃であったジョセフィーヌのバラ園が
1802年に作られたことを考えると、
モーツァルトの時代でバラを使うのは、
少し早いかもしれません。


さて、どうしよう?

・プランA
歴史を考えると少し早いけれど、
愛情を表現するのにわかりやすいので、バラをいくつも使う!

・プランB
愛情を表現するのにわかりやすいのでバラを使うけれど、
歴史を考えると少し早いので、1本だけにする!

・プランC
歴史を考えると少し早いのでバラは使わず、
他の花で愛情を表現する!


……どのプランでもうまく行きそうです♪


ワンコインショップで大量ゲットできるガーベラは、
どの色でも、結婚式にふさわしい花言葉を備えているようです。

また、
花ではありませんが、アイビーや四葉のクローバーも
結婚式にふさわしい花言葉を備えています。




これらをゲットしたら、いよいよ製作に取り掛かりましょう♪
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Nr.1の小道具~ウェディングベール

2021-04-03 | オペラ研究
スザンナは“ cappellino ”を試しています。
髪を意味するのは“ capello ”です。
スペルが違いますので注意!
“細い髪 capellino ”ではありません。

cappelloはラテン語のcappaから派生したようですね。
マントまたは合羽…日本語と同じ音!?



~ウェディングベール~

花嫁が結婚式でつけるウェディングベール、
ベール自体は古代ローマ時代からあったそうです。
当時は「頭巾」と呼ばれていたかもしれません…。


花嫁を悪魔から守るためにベールで覆ったとか、
周囲の目から守るために、ベールで隠したとか、
純潔の象徴としてベールで大切に包んだとか、
諸説あるそうですが、
これは西洋に限ったことではなく、
アジアでも、同じような理由で花嫁はベールを被りました。

ベールというより、シーツのような、
市女笠のようなものもあり…。


ウェディングベールをcappellinoと訳すのは、
いささか強引でしょうか。




~婚礼の時の帽子~

原作では、『花嫁帽子と呼ばれる帽子』と書かれているものもあります。

これは、ドイツの民族衣装について調べると
可愛いものがワンサカ出てきます。
ディアンドルがその代表です。

帽子に大きな花の飾りをつけて、
花嫁であることを示すものです。

頭よりも大きな花の飾りであったり、
ブーケそのものを帽子の上に乗せているようなものであったり…。

想像ですが、スザンナの用意しているものは、
この形が一番近いと思います。



が、現代の日本人にとっては、
“一目で花嫁とわかるもの”であるウェディングベールが
一番馴染みがあるでしょう。

大事なのは、スザンナの用意しているcappellinoは、
花嫁の象徴であると言うことです!!!
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花嫁帽子

2021-04-02 | オペラ研究
『フィガロの結婚』の原作には、
“スザンナは花嫁帽子と呼ばれる帽子を…”とあります。

花嫁帽子?


何年か前に、Eテレで放送されたドイツ語会話の番組内で、
“花嫁帽子”が紹介されたことがありました。

フライブルクを紹介していた回で、
トラッハトTracht という民族衣装の中に、
花嫁帽子がありました。

『Tracht  フライブルク』などと画像検索すると、写真が出てきます。
大きな帽子で、花で飾られており、
いかにも花嫁だとわかるものがそれです。

ヨーロッパの民俗史や、衣装の変遷を扱った本などでは、
残念ながら見つけられなかったー。


被っているだけで、いかにも花嫁だと分かるもの。

それが花嫁帽子です。

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