goo blog サービス終了のお知らせ 

さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

広がる満足感~contento

2020-08-01 | オペラ研究
さて。

スザンナが歌い出します。

Ora sì ch'io son contenta
・・・満足!

この『満足contento』という言葉、
このオペラの中で重要な要素となっていると思います。

contentoが効果的に使われているのは、次の5か所です。

① スザンナの歌い出し
  彼女が一人で歌っています。

② 同じく1番2重唱
  スザンナのメロディーに重ねて、フィガロも「綺麗になった」と一緒に歌います。
  妻の満足感が夫にも伝染したかのようなハーモニーです。

③ 第3幕5景 18番6重唱
  親子だとわかったフィガロとマルチェリーナ、バルトロ、
  そしてスザンナが抱き合いながら歌っています。
  Al dolce contento 甘美な満足に

④ 第3幕6景 6重唱後のレチタティーヴォ
  スザンナが私以上に満足な人がいるかしらと歌います。
  フィガロ、バルトロ、マルチェリーナの順に同調します。
  家族が作り出す満足感です。

⑤ オペラの終盤 第4幕フィナーレの最後
  アンダンテになり、伯爵が赦しを求め、伯爵夫人が赦し、
  一同が歌います。
  Tutti contenti saremo così
  皆がこれで満足するだろう
  感動的な音楽です。

・・・と、このように、
一人から二人、二人から四人、そして最後には全員、と
スザンナの満足感が伝播しているように思えるのです。

一人の満足、夫婦の満足、家族の満足、全員の満足。。。

その最初の種を、スザンナとしては素敵に撒きたい・・・
素敵に歌い出したいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フィガロのワクワク~Figaro Nr.1 Duetto

2020-07-29 | オペラ研究
フィガロが歌い出します。

Cinque...
5...

前々回のかまぼこの記事でも触れましたが
フィガロのメロディーは男性的です。

このまま4、3、2、1とカウントダウンして、
ベッドにドーンと行きそうなくらいです。

え~、オペラの冒頭から!?
・・・と思わせておいて、その数は膨れ上がります。

5......10......20.......

フィガロのワクワクが膨らんでいることを表すかのように、
メロディーもワクワク感を増します。

36......42。

数字が具体的になり、メロディーも確信的になります。

やっぱりベッドでした。

そりゃあ、結婚を控えた男性は、そっちかもしれないけれど~。

そのフィガロのワクワク感を、絶対に完璧に100%、引きずらずに
スザンナは歌い出したいな~と常に思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この部屋に⁉~フィガロ1番

2020-07-28 | オペラ研究
ところで。

オペラ『フィガロの結婚』冒頭で、
なぜフィガロとスザンナの二人はその部屋にいるのでしょう?

結婚式当日なので、ラブラブな二人は一緒にいる・・・。

それは当然です。

でも、なぜこの部屋?

  
  
ここがどこなのか、考えてみます。


スザンナは伯爵夫人付きの召使です。
20歳くらいなので、マルチェリーナらを差し置いての大抜擢でしょう。

スザンナは伯爵夫人にいつ呼ばれてもいいように、
ここにいるのです。

朝の身支度を整えるお手伝いをするため。

ロジーナが起きるよりも前に、
この部屋にスタンバっています。

そして、その部屋にフィガロも呼びました。
フィガロが勝手に来ちゃっているのかもしれません。
いずれにせよ、スザンナがここにいることを知っていて、
フィガロはこの部屋に来たことになります。

ラブラブな二人が二人っきりで密室にいたら、
何か始まりそうですが・・・
何も起こりません。

なぜなら結婚していないからです。
バージンロードを歩く前だからです。

・・・1番の状況って、こんな感じだと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かまぼこ~1番の前奏で、何してる?

2020-07-27 | オペラ研究
あのワクワクする序曲のあと、
いよいよフィガロの幕が上がります。

アルペジオの前奏が流れて、
まず聞こえてくるのは・・・

フィガロのテーマ!

男性的で、5度や6度の跳躍を含み、
マルカートで演奏されます。

伴奏のリズムが変わると、
聞こえてくるのは・・・

スザンナのテーマ!

2度進行が続き、女性的で、
レガートで演奏されます。

結婚式を控えてウキウキな男女がここにいるということが、
前奏だけで分かります。

・・・で、二人はここで何をしている?

フィガロは家具を置くため、部屋の寸法を測っています。
つまり、
結婚式をあげた後の準備をしています。

スザンナは髪飾りを作っています。
つまり、
結婚式をあげる準備をしています。

結婚式の当日の男女って、
現代でもこうかもしれませんね~♪

いよいよ一緒に暮らせるとウキウキしている男性と、
花嫁姿に磨きをかけたい女性。。。

でも、どちらもウキウキしていることに変わりはありません。

・・・よって、それぞれのテーマが聞こえてくるタイミングで、
この部屋に二人が入ってくる・・・という演出は嫌いです。
舞台セットの関係で(幕がないなど)仕方がない場合もありますが、
台本通り、幕が開いたら二人がそこにいる方が好きです。
いわゆる『板付き』です。

板についているので、ふざけて『かまぼこ』と言ったりもします
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フィガロの結婚を解くカギ②~初夜権

2020-07-26 | オペラ研究
初夜権?
何それ⁉ 女性をバカにしているの!?

そんな権利があるなんて、ひどい!
日本にはなかったはず…

と思って、ウィキを見てみたら、
日本にもそんな風習があったようですねぇ。

ひどい。

女性の人権について叫ばれるようになったのは、
実はつい最近のこと。
男女雇用機会均等法だって、
まだ制定されてから50年経ってません。
『Me Too』運動にも象徴されるように、
女性の人権、性的な意味での危険・・・。

フィガロは、愛する女性を
権力者から守ろうとするのです。
フランス革命がまさに起こらんとしている時に。

つまり、まだ民衆が自由を得ていない時代に。

バージンロード。
これはオペラ『フィガロの結婚』を読み解くカギであると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする