不登校が輝く日

子供2人中学時不登校でした。

byウパリン

放課後登校の思い出

2016-03-30 22:08:29 | 日記
 長男が不登校になったとき、学校からできるだけ遠ざけたくなかったので

 早い段階で放課後登校をさせていた。

 学校は休んでも、放課後には学校へ行くように強制させた。

 真面目で従順な長男は素直に従った。

 
 担任のF先生は、子供達からも保護者からも信頼が厚い女性教師。

 「毎日9時頃まで学校にいるから、何かあったら電話して」とよく言われた。

 ご自身も中学生のお子さんがいるというのに遅くまで学校に残って凄いなあといつも思っていた。

 F先生の生徒達を見る目は、母親目線。

 全員の生徒たちのことを下の名前で『何々ちゃん』と読んでいた。

 子供達が大好きというオーラが滲み出ていた。

 不良生徒たちもF先生にはなついていた。

 私は密かに彼女に『女金八』とあだ名をつけた。


 放課後登校は午後6時頃、生徒たちが皆帰った後

 制服を着た息子を車に乗せ、歩いて5分もかからない中学校へ車で乗りつける。

 徒歩では誰かに見られる可能性があり、息子が嫌がるからだ。

 この時間、学校の入り口にはロックがかかっているため、インターホンを押して名乗る。

 すると 女金八先生が玄関まで出迎えてロックを外してくれる。

 女金八先生と3人で、真っ暗な階段をのぼり、長い廊下をぞろぞろ渡り歩いて教室へたどり着く。

 冬の午後6時の学校は真っ暗で人気がなく、お化けでも出そうな雰囲気。


 女金八先生と向かい合って座ると、彼女は優しく明るくたわいもない会話を投げかける。

 息子は真面目な顔で返事をする。

 私は教室内の掲示物が気になる。生徒達の新しい作品の中に息子のものはない。息子不在の教室。


 放課後登校は、教室で少々会話をするだけのこともあれば、定期テストを受けることもあった。

 長男がテストを受けている間、女金八は自分の机で事務的作業を、私は後ろの方の机で読書をした。

 テストは1日1教科ずつ、数学、理科、社会。好きな教科のみ。

 テストを受けた教科の通知表は2がついたので、オール1は免れた。

 女金八は数学教師。数学だけは3がついた。

 女金八は笑いながら言った。

 「○○ちゃんは凄いねえ。先生んちの子は毎日学校へ行ってるのに数学は1なんだよ」



 放課後登校すると「欠席」ではなく「遅刻」にしてもらえる。

 通知表の欠席日数が1日でも減ることが嬉しかった馬鹿親。

 制服を着た息子の姿を見るだけで嬉しかった馬鹿親。

 

 
 放課後登校は親の自己満足だった。