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大崎善生『アジアンタム・ブルー』かってに配役

2006-12-06 13:00:45 | 本・コミック・かってに配役
アジアンタムブルー
大崎善生
角川書店
なんの予備知識も先入観もなく読んだこの1冊。
前半は恋人を失った主人公・山崎隆二が抜け殻のように虚ろな日々を過ごしていく姿が淡々と描かれていきます。学生時代の思い出を振り返ったり,幻のような自分と同じような境遇の女性と出会い語り合ったり。
まさに隆二の心のように行き場が定まらず,それぞれのエピソードがどんな意味をもつのか,どれくらい重要なことなのかとらえどころのないまま,主人公の心に焼き付けられたシーンが1つ1つ重ねられていくという展開。エピソードや語りの要素は,飼っていた白文鳥を死なせてしまった話であったり,中学の同級生に引き込まれてやってしまった万引きの苦い屈辱の体験であったり,高校一の美人と評判だった美術部の先輩とのエロチックな経験であったり,つまるところ,「生と死」「性」「暴力」といった人間の本能や欲望に直結したテーマ。どれも生々しい,心の奥底に突き刺さるような出来事なのに,過去の記憶として語られるためか,どことなく儚げで透明感すら感じさせる場面の連続…。
この小説,映画化されたとは聞いていましたが,実写化するとしたらどのシーンを残すのか,どのエピソードをカットできるのか全く見当がつかず,いったいこの話はどういう話なのか,どこへ進み,どういう終着点に落ち着くのか,それともただ淡々とシーンの断片が積み重ねられていくだけなのか,心細さすら感じて読み進めていきました。

後半に入ってようやく隆二が失った恋人・続木葉子が登場してきます。
雑誌編集者である隆二の前に,売れっ子モデルのユーカが
ユニークな写真家だと紹介してきたのが葉子との出会い。
そこから,2人が惹かれあい,(写真家ゆえに被写体を求めて全国を
飛び回るため)離ればなれ・すれ違いの時間や距離の壁がありながらも
少しずつ互いを知り,心の距離を近づけていくプロセスを楽しみながら
深い絆で結ばれていき…

葉子が病魔に襲われて倒れ

彼女を救う手だてはないか,隆二が奔走し

最終的な選択として,
幸せな終わりを迎えるために2人で思い出の地へと飛ぶ…


隆二はできる限りすべての事を葉子のために尽くします。
葉子は着実に命を削られながらも,
2人での地中海の生活を心から楽しみ,
幸せを噛みしめるのでした。

後半になってパッと場面に命が宿ったように感じました。
同じ過去の話,回想エピソードなのに,
登場人靴は確かに生きていて生き生きとした躍動感が迫ってきます。
「鳥博士」「ピロシキ博士」などと互いを呼び合い
リスペクトしあっている姿…もだえそうなほど愛おしい。
これをまねして愛し合っているカップルが世の中に
絶対いるだろうと考えると無性に腹が立ちますw。

そして,葉子の運命を読者は知っている。
2人の行く末を見届けなければいけない
緊張感が常に胸の中にある状態で
はらはらしながら一気に読みました。


こんなことを書くと怒られるかもしれない,
ぶっちゃけた言い方で恐縮ですが,
この小説,「セカチューのグズグズな部分を
『俺ならこうやる』と大人が完遂して見せた話」

なんだと思いました。

『世界の中心で愛をさけぶ』,確かにすごい映画でした。
感動,っていうか,引き込まれました。目が離せませんでした。
やっぱ涙は出ました。
子どもの頃から涙腺の弱い私ではありますが,それにしても
見事にしてやられました。
しかしこのお話,あらすじだけざっくり書いたら
無力な高校生が恋人を救えずにただのたうち回るだけの
ある意味はた迷惑ですらある物語であります。
特に,ヒロイン・亜紀の父親なんて,倒れた亜紀と
無人島から戻ってきた朔太郎を殴り倒すだけしか出番がなく
憎まれ役どころかほとんど部外者扱いなのには,人の親として
見ていてかなり切ない気持ちになったものです。
父親から見れば,(本人に責任はないにせよ)朔太郎は
最愛の娘に不幸をもたらすただの疫病神でしかないですよ。
その点,やはり不満を感じる人は作り手側にもいらしたようで,
ドラマ版セカチューでは父親の真役に三浦友和さんを配して
現実味のある物語を展開していました。
TBS金曜ドラマ『世界の中心で愛をさけぶ』公式ページ(2004年7月~9月)

これに対して『アジアンタムブルー』は
エアーズロック(ウルル)が見たいだかなんか知らないが
何の準備もなしに絶対安静の病人を連れ出して
単に死期を早めただけという無様さ・無念さをどこかで晴らしたい,
朔太郎が別の世界に生まれ変わって,
今度こそ不治の病に冒された恋人を美しい異国の地で看取り
リベンジを果たす,そんな感じの話に思えました。

もちろん,どんなに手を尽くして,
どんなに美しい思い出とともに大事な人を送ることができても,
失った後の空白は埋められることなく存在するわけで
もしかしたら,悲しみの大きさは変わらないのかもしれません…。


それでは,恒例の「かってに配役」ですが…
今放映中の映画に関しては,阿部寛さんが主演だということしか知りません。
エーゲ海ロケまでする映画となるとそれなりの存在感というか
格が必要なのかなとは思いますが,ちょっと彼だと地中海の太陽を浴びなくても
影が濃すぎるんじゃないか,そこまでオーラのある人では
イメージが違うんじゃないかという気がしています。

◆小説の中では隆二の年齢は33。
必ずしもこのとおりである必要はないですが,
やはり「社会人としてようやく一人前になってきたか」という
若さや弱さ,不完全さがほしいと思うので,やはり30代前半くらいが
妥当なんじゃないかと思います。
しかし,あまり青臭かったり熱さを発しているキャラも
ちょっと違うかなぁ(坂口憲二くんとか妻夫木くんとか)…。
まあ織田裕二さんみたいに熱い方向に振り切れちゃうのも
手ではありますが。
かといってクール,達観,ニヒル(虚無)ぶりが強くても
ニースへ飛ぶだけの燃え上がる心を描くにはちょっと合わないか?
(窪塚(兄)くんとか谷原章介さんとか)
ぐっと感情移入したい,ストーリーに入り込みたいところで
距離感が縮まらなかったらちときつい。

ヒヨッ子すぎず枯れすぎず…
北海道出身だし大泉洋さんなんかどうでしょう?
東京タワーつながりですがオダギリジョーさんも
ポイント高いと思います。
この2人と比較されるんだもの,もこみち君きついわ…。
いずれも個性的な髪型をいかにまとめるかという課題がありますが。
要潤くんなんかも5年後くらいによさげな感じ(今26ですから
ちょうどそんな感じですね)。
ユースケ・サンタマリアさんとか
北村一輝さんなんかもいい線いってるのではないかと思います。

「いま会い」とかよろしく『日曜劇場』枠でやるなら
稲垣吾郎ちゃん主演でもパッケージ可能な感じはしますね。
(ニースの青い海が似合うかどうかという懸念はありますが)
他にもジャニーズ系って,岡田准一・長瀬智也・松岡昌宏…
こなせそうな人はいくらでもいるのですが
どうしても童顔のアイドルオーラを放ってるから
シリアスな恋愛ものを演じると(私は)お芝居っぽく感じられて
入り込めないかな…?

…あ!伊藤英明さん,けっこういいと思う。

それより問題は女性陣ですよ。
ぶっちゃけ「R・Y」こと山崎隆二は誰でもいいw。
ヒロインの続木葉子,
SMクイーンのユーカ,
謎の女性?中川宏美,
モデル事務所の早乙女。
それに,高校のマドンナ・石原美津子。


葉子は,
個人的には20年前の太田宏美さんのイメージなんですなぁ。
今の女優さんで考えると…無邪気で素直,飾らない,かわいらしくて
元気さとはかなさを兼ね備えた人。
国仲涼子さん,髪を短くしたらかなり合っている気がします。
釈由美子さんも,ここ2~3年でしっかりした喋り方を
身につけてきていますが,娘返りしてもらえばけっこういける気がします。
この2人のどちらがいいかは,共演俳優さんとのバランスですかね。

ショートカットってことではaikoさんが近いものがありますが,
彼女に対しては我の強いイメージを持ってしまっているんで今回はパス。
池脇千鶴さん…私的にはa little bit童顔すぎるかな。
相武紗季さんなんかも8~10年後くらいに楽しみな感じでしょうか。
鈴木杏さんなら5年後でもいいかな。

ユーカは,イメージとしては15年前の美保純さん。
Sの女王様で,さっぱりして姐御肌,
かわいらしいところもある女性。
ストレートに小池栄子さんという選択肢もありますが,
優しさと切なさと心強さと,って要素を考慮して
篠原涼子さんなどいかがかと思ったりします。
「ヘーイ,アグリーピィッグ!
 ホワイトイングリッシュピーッグ!!!」とムチを振るって欲しいw。

中川宏美は,イメージとしては
大人びた感じの人。中川安奈さんなどイメージしながら読んでいたのだが
彼女も42ですか…『敦煌』からもう20年近いですもんね…。
阿部寛さんバージョンなら全く問題ないのですが。
隆二の2つ上か同じくらいで夫に自殺された未亡人…
松雪泰子さんだとあかぬけすぎる(たとえ佐賀出身でも)。
菅野美穂さんだと童顔すぎる。
紺野まひるさんだと何歳の設定でもよさそうだけど
なんか恋に落ちてしまいそうな危うい予感を感じてしまう。
松下由樹さんだと,バーで姿を消した直後にまた偶然出会ってしまいそうだ。
むずかしいなぁ…
結局,中川安奈さんでいいや。
寺島しのぶさん(35)より若く見えるし(あくまでも個人的な感想です。
我ながらなんて失礼なたとえ…)


早乙女は,教養があって情もありそこそこ清潔感もあるが
けっしてオカズにはならないような人。
光浦靖子さんか。
「オ○○○見せなさぁぁーーーーーーーい!!!!」
光浦さんは声質が軽いのがちょっと難ですけどね。
小説を読んでいるときには麻生祐未さんあたりを
イメージしていたのですが,ちょっとでも使い物になるかもと
思えたらそれは違うってのがあって。
深浦加奈子さんとか?ちょっとはまりすぎだな…

美津子は,
どうだろう…
生身の人間が演じるなら『高校教師』の桜井幸子さんのイメージかな…?
14歳で妊娠するドラマなんかやったりするご時世ではございますが
本物の高校生の女優でこの役をやれる人はいなさそうだし…。
ま,いいか。
勝手に戸田恵梨香さん指名。スミマセン

■男性陣も,いろいろな登場人物がいました。
沢井速男…隆二が勤める文人出版の上司。
懐の大きい人物で,彼も連れ合いを病気で失っている。
大杉蓮さんでは安易ですよね。清水章吾さん,
小市慢太郎さん,玉置浩二さん,…いろいろ考えられましたが
益岡徹さんで。

(青)こと青山…中学生時代の隆二を悩みから解き放った
新聞のコラムを書いた記者(定年で今は論説委員)。
ベタかもしれませんが笹野高史さん。

五十嵐カメラマン
特に何も考えず,今井雅之さん。

笠井信二…葉子の癌を告げる医者。
実は隆二とは中学時代の因縁のある男。
阿部サダヲさんで。

山根医師…親身に相談に乗ってくれた青年医師。
 田口浩正さんを小柄にしたような,
 (アリtoキリギリス)と混ぜて2で割ったような…
 要するに『Dr.スランプ』のオボッチャマンくんを大人にしたような。
 さらに言うならば,三谷幸喜さんを15若くしたような,
 ドラマ『医龍』の小池徹平くんのちょっと手前くらいまで…
 ってイメージなんですけどね…
 具体的にいうと誰になるかなぁ。

【12/7朝追記】
と,いうわけで,まとめるとこうなります。
映画のHPも確認して,キャストと比較してみました。
※伊藤英明さんの指名もここで追記しました。
役 名2006映画版 D.D.脳内キャスト
山崎隆二阿部寛伊藤英明(or大泉洋,オダギリジョー,北村一輝)
続木葉子松下奈緒国仲涼子(or釈由美子)
ユーカ小島聖篠原涼子(or小池栄子)
五十嵐村田雄浩今井雅之
沢井速雄小日向文世益岡徹
川上音彦佐々木蔵之介(隆二の同僚)
川上由希子高島礼子(音彦の妻で隆二と不倫)
中川宏美 中川安奈
石原美津子 戸田恵梨香
(青) 笹野高史
笹井信二 阿部サダヲ
早乙女 光浦靖子or深浦加奈子

ああ,小日向さんの沢井氏,ちょっと考えた。
(ベタな気がしたのと,『ALWAYS三丁目の夕日』で
嫌味な金持ちの役やってた記憶のせいでちょっと違和感が)

とりあえず,こんなところで。
あなたがキャスティングするとしたら,
どんなふうになりますか?

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