小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

Dr.トリイのニキビ治療

2023年04月19日 15時10分44秒 | 予防接種
当院は小児科ですがかかりつけ患者さんからニキビの相談を受けることがあります。
それに対応すべく、数年前に一通り調べてみました。

すると、ニキビ治療がコペルニクス的展開を成し遂げていることがわかりました。
私が医者になった30年前はイオウカンフルローション一択だったのですが、
近年は新薬が続々と登場し、
「できたニキビを治す治療」
から、
「ニキビができない肌を手に入れる治療」
へ進化していたのです。

それらの薬は「面疱治療薬」と呼ばれ、
現在のラインナップは以下の4種類です;

2008年:ディフェリンゲル(成分:アダパレン)
2015年:ベピオゲル(成分:過酸化ベンゾイル)
2015年:デュアック配合ゲル(成分:過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
2016年:エピデュオゲル(成分:アダパレン+過酸化ベンゾイル)

ただし、過酸化ベンゾイルという薬効成分は、
副作用(接触皮膚炎)は重症化しやすいため、
皮膚科専門医以外は扱いづらい傾向があります。
私はディフェリン®ゲルのみを導入し、
数年前からニキビ患者さんの治療をしています。

私はもともと漢方好きで、
小児科にもかかわらず漢方薬を処方しまくっています。
外来患者さんの約半分は漢方薬を飲んでいます。

ニキビにも漢方を応用できないかと情報を集め、
現在は面疱治療薬と漢方薬の併用療法に落ち着いています。

7割くらいの患者さんは効果を実感して通院を続けています。
しかし漢方薬の味になじめず、脱落する患者さんもいます。

ニキビ関連の参考書籍をあさっていたら、

▢ 「ニキビは皮膚科で治す」(鳥居靖史著、現代書林、2022年発行)

という本に出会いました。
鳥居先生は、私と同じく面疱治療薬と漢方を併用していました。
さらに4つの面疱治療薬から一つを選択して使用するのではなく、
治療の phase により使いこなすというスタンスであり、
参考になりました。

私の診療にそのエッセンスを導入すべく、
ポイントをメモしておきます。

治療薬に関しては想定内の記述でしたが、
4つの面疱治療薬をその特徴により使い分けているのが印象的でした。

また、小児科では縁のない化粧の話も興味深く読みました。

私は現在、患者さん相手に食事指導する内容を検討中、
今まで調べた範囲では、
「ニキビと特定の食事が関係あるというデータは存在しない」
とありました。
この本の中でも同様の記載があり、
「チョコレートやナッツ、脂肪分の多い食品でニキビが悪化する」
という話は、どうやら都市伝説のレベルのようですね。


▢ ニキビ治療への誤解
❌️ 洗顔をこまめにていねいに行えば治る。
❌️ ニキビ用の化粧品を使えば治る。
❌️ エステでスキンケアをすれば治る。
❌️ 食べ物に気をつければ治る。
❌️ 特定の成分の入った食べ物や飲み物で治る。

▢ ガラパゴス化した一部の皮膚科医
・最新の薬「面疱治療薬」を最新のガイドラインに沿って使用していない。
・昔ながらのイオウ製剤や抗菌薬やビタミン剤に頼る治療。
 → アップデートを怠っている医師。

▢ ニキビは保険で治療できます
・面疱治療薬は保険診療OK。
・ニキビに使う漢方薬も保険診療OK。
・ただし、ニキビの治療にはある程度時間がかかることを理解すべし。

▢ ニキビの経過

1.過剰な皮脂の分泌
・皮脂は毛穴から分泌される。
・思春期でホルモン分泌が活発になったり、仕事などでストレス過多になると分泌量が増え、毛穴が詰まり気味になる。
・Tゾーン(額と鼻)、Uゾーン(あごから頬にかけたフェイスライン)はとくに皮脂の分泌が多い。

2.毛穴の出口の詰まり=面疱形成
・皮膚細胞のターンオーバーが乱れると、毛穴の出口の角質層が剥がれずに残り、厚くなった角質層が「角栓」となって出口を塞ぐ。
・毛穴の出口が角栓で塞がれ、皮脂がたまって盛り上がった状態が「白ニキビ」(医学的には「閉鎖性面疱」)。
・詰まった毛穴が開き、内部にたまった皮脂が酸化して黒っぽく見えるものは「黒ニキビ」。毛穴が開いているので「開放性面疱」と呼ぶ。
・肉眼ではわからなくても、毛穴に小さな面疱ができていることがあり、これを「微小面疱」と呼ぶ(面疱治療薬は微小面疱も治す)。

3.アクネ菌の過剰な繁殖
・面疱ができると、皮脂が大好物のアクネ菌が集まってきて過剰に繁殖し、炎症を引き起こす(赤ニキビ)。
・増えすぎたアクネ菌を退治しようと白血球が集まってくる。アクネ菌と戦って壊れた白血球とアクネ菌の死骸が膿である(黄ニキビ)。
・膿は少量なら自然吸収されるが、多い場合は毛穴が壊れて潰れてしまい、クレーターのようなへこみができてしまう。

▢ ニキビができる場所は年齢とともに上から下へ移動する
・10代前半は額
・10代後半は鼻や頬
・20代以降のいわゆる大人ニキビはアゴや口周り

▢ ニキビを悪化させる要因
1.睡眠不足
・睡眠不足は肌荒れの原因になるが、それは心身の緊張状態が続くと男性ホルモンのアンドロゲンが活性化され、皮脂の分泌が増えるため。
・皮膚のターンオーバーを促しているのは、脳下垂体から分泌される成長ホルモンである。成長ホルモンが最も活発に分泌されるのは、入眠直後の深い眠りの時。
2.不規則な生活リズム
3.ストレス
・ストレスのために免疫機能が低下してアクネ菌が繁殖しやすくなったり、男性ホルモンのアンドロゲンが活性化して皮脂の分泌が増えるため。
4.生理前
・ホルモンのアンバランスによる。
・皮脂分泌をコントロールしているのは男性ホルモン(アンドロゲン)であるが、生理前に分泌が増える女性ホルモン(プロゲステロン)にアンドロゲンに似た作用があること、もう一つの女性ホルモン(エストロゲン)分泌が生理前になると減り、相対的にアンドロゲンの働きが強くなることが影響している。

▢ ニキビの重症度判定基準
・片顔の赤ニキビ数が0-5個  → 軽症
・片顔の赤ニキビ数が6-20個   → 中等症
・片顔の赤ニキビ数が21-50個 → 重症
・片顔の赤ニキビ数が51個以上 → 最重症

▢ 洗顔でニキビが悪化する?
・一生懸命に顔を洗っても、毛穴の詰まりである面疱は取れない。
・洗顔の際に強くこすったり、一日に何度も洗ったりすると、むしろニキビが悪化する。とくにスクラブ入りの洗顔剤は、皮膚を傷つけてニキビの悪化を招くだけなので使用禁止。
・こする、ひっかくなどの物理的刺激は厳禁。
・最新ガイドライン(2017年版)では1日2回の洗顔を推奨している。

▢ 化粧は可?〜化粧品の選択
・ガイドラインでは化粧は禁じていない。基礎化粧品として「ノンコメドジェニック化粧品」を推奨している。
・ニキビの元である面疱をできにくくする化粧品を「ノンコメドジェニック化粧品」と呼ぶ。選ぶ際のポイントは「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されていること。
・ニキビ用基礎化粧品をつけた後に、強くこするなどの刺激を避けながら行えば問題ない。
・ニキビ用基礎化粧品は、低刺激で面疱ができにくくする効果のあるものが望ましい。
・現在使用中の基礎化粧品が皮膚に合っているなら、それがノンコメドジェニックでなくても代える必要はない。保湿ができていれば問題ない(ニキビ治療中はふだん以上に保湿が大事になる)。

▢ ニキビ用化粧品に面疱を治す効果はない
・日本で市販されている化粧品には法律上、面疱治療薬成分は入れてはいけないことになっている(海外製品には入っているものもある)ため、ニキビを治す効果はない。
・「アゼライン酸」という成分は、ごくマイルドであるものの効果が期待できるが、保険診療で処方される面疱治療薬と比べると、その効果はずっと小さい。

▢ 市販のニキビ用医薬品に面疱を治す効果はない
・塗り薬には毛穴を塞ぐ角質層を柔らかくするタイプと、アクネ菌の繁殖を抑えるタイプがあるが、面疱を取る効果はないのでニキビを治すことはできない。触った感じが柔らかくなったり、炎症の赤味が軽減することはあるかもしれないが、面疱がある限り再発を繰り返す。

▢ エステなどで行うケミカルピーリングの効果は一時的
・ケミカルピーリングには、皮膚の表面の古い角質層を柔らかくして取り除くことで、新しい皮膚ができるのを促す効果がある。
・定期的に行えば効果を期待できる(しかしコストがかかる)が、単独の施術だけではニキビ治療として不十分。

▢ 食べ物や飲み物でニキビを治すことはできない
・誰にでも効果のある食べ物や飲み物はない。
・以下のように諸説あるが都市伝説や個人の感想レベルである:
❌️ 脂肪分の多きチョコレートやナッツ類、牛乳はニキビを悪化させる
❌️ ω3系の油(α-リノレン酸、EPAなど)、γ−リノレン酸、ポリフェノールなどはニキビの炎症を抑える。
・食品やその成分について様々な研究が行われているものの、現時点ではハッキリした結論は得られていない。
・しかし否定するほどではないので、実際に接種して効果を実感できるのであれば試すことを止めない。
・確かに、人によっては食べ過ぎるとニキビができやすい食品があり、心当たりがあれば避けた方がよい、程度。

▢ “面疱治療薬”登場前の、今振り返ると残念な治療
・面疱治療薬が使えなかった頃は、ニキビが再発してしまうことが最大の問題だった。
・抗菌薬でアクネ菌の繁殖や炎症を抑えても、ニキビの元凶である面疱は残るため、抗菌薬を止めると炎症がぶり返してしまうことの繰り返しで、なかなか抗菌薬が止められないという悪循環に陥りがち。
・抗菌薬を長期に使うと耐性菌ができてしまい、この薬剤耐性が深刻な問題だった。
・皮膚科通院して頑張ってもニキビの再発は避けられず、患者さんは治療意欲を失い、通院を止めて市販薬などに頼るようになることが多かったが、市販薬でも治らない・・・。
・エステの施術も費用がかさむ割には効果が乏しく、精神的なストレスを抱えて引きこもりがちになったり、抑うつ的になったりすることさえあった。

▢ “面疱治療薬”登場後の最新治療
・2017年版の最新ガイドラインでは、
① 面疱治療薬を中心に据え、
② 炎症が起きている急性期は抗菌薬の塗り薬や飲み薬を併用(約3ヶ月)
③ 炎症が治まったら再発を防ぐ維持期として面疱治療薬を継続(半年以上)
することにより、長期的にニキビをコントロールすることが可能になった。
・維持期の治療期間は患者さんにより異なるが、面疱が消えてつるっとした皮膚になるまで1年くらいかかる。
・上記治療を行うと、9割のニキビ患者さんが治る。重症のニキビでも、まず炎症による赤みや色素沈着が消え、過酸化ベンゾイルやアダパレンを使うとニキビ跡も消え、維持期の治療を完遂して面疱がなくなれば、ニキビのできにくい肌になる(肌質の変化)。

▢ 面疱治療薬の特徴
・避けられない“刺激症状”:角質層に働きかけるので、塗り始めると皮膚表面の角質層がゆるんでめくれてくる。そのため、皮膚が赤くなる、乾燥する、かゆくなる、ヒリヒリするなどの刺激症状が出やすく、とくに使いはじめの1-2週間くらいの治療初期に強く出る傾向がある。
軽ければ継続使用しているうちに治まってくる。

ディフェリンゲル】(成分:アダパレン)
効果は約3ヶ月で実感できる。
・治療初期の“刺激症状”は必発。

ベピオゲル】(成分:過酸化ベンゾイル)
効果は約1ヶ月で実感できる。
・刺激症状の発現率はアダパレンより少ない。
・使用途中で急に顔面全体が赤く腫れ上がったりかゆみが出たりする強い刺激症状が3%の患者さんに起こり、これは刺激症状と区別される“かぶれ”(接触皮膚炎)のため、中止が必要。
・“かぶれ”と一時的な“刺激症状”の鑑別は、
(かぶれ)塗った部位が赤くなって腫れる、
(刺激症状)赤くなる、ヒリヒリする、ピリピリする、チクチクする、粉が吹く、皮膚が細かくはがれ落ちる、
という症状を目安に判断する。
・かぶれの場合は薬を中止し種類を変える必要あり、一時的な刺激症状では塗布方法の工夫(量を減らす、ショートコンタクトセラピー導入)をすることで改善する。
・接触皮膚炎が出現した場合、他の過酸化ベンゾイル含有外用薬(エピデュオゲル、デュアック配合ゲル)も使用できなくなるため、選択肢はディフェリンゲルのみとなる。

エピデュオゲル】(成分:アダパレン+過酸化ベンゾイル)

デュアック配合ゲル】(成分:過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
・面疱治療薬に抗菌薬(クリンダマイシン)が配合されている。
・刺激症状はデュアック配合ゲル<ベピオゲル。
・使用開始1-2ヶ月後の赤ニキビ減少はデュアック配合ゲル>ベピオゲルの印象あり。
・使用開始後数ヶ月経ってから刺激症状が急に出てくることがある → 一旦休薬し少し休んでから再開すると再び軌道に乗れるケースが少なくない。
・抗菌薬塗布では耐性菌が問題になるが、デュアック配合ゲルは過酸化ベンゾイルが配合されているため、抗菌薬の単独使用と比べて耐性菌が生じにくい。

▢ 面皰圧出:推奨度C(推奨はしないが選択肢の一つ)
・ニキビを医療用の針などで小さく切開し、専用器具で周囲を押すことによって毛穴を詰まらせている角栓や皮脂、膿を排出させる医療行為。一時的な効果にとどまる。
❌️ 患者さん自身がニキビを潰したり、爪を立てて膿を押し出したりすると、膿が残ってしまう上に、ニキビが掻き壊されて跡が残りやすくなる。

▢ ケミカルピーリング:推奨度C
・医療機関で行うものとエステで行うものは別物。
・医療機関で行うケミカルピーリングは、皮膚表面の角質層を、薬剤の作用で均一に剥がす治療法で、毛穴の出口を塞いでいる角栓を取り除くとともに、皮膚のターンオーバーを促す効果がある。皮膚の状態に応じて薬剤の種類を変え、3-5回程度行う。
・継続して行うことで、ニキビ跡の改善や、炎症の後の色素沈着の改善も期待できる。
・医療機関で行う場合も保険適用はなく全額自己負担なので費用がかさむ。

▢ 漢方薬:推奨度C(こちらに別にまとめました)

▢ ビタミンC(および誘導体):推奨度C
・ビタミンCには、メラニンができるのを抑える作用や、抗酸化作用などがある。
・炎症が起きているニキビや、炎症後の色素沈着の改善効果が期待できる。
・ただし塗り薬は保険適用外(自費)。
・推奨度CのビタミンC誘導体;テトラヘキシカルデカン酸アスコルビン、L-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウムの二つ。

▢ イオウ製剤(イオウカンフルローション):推奨度C
・ピーリング効果(皮膚表面の角質層を溶かして薄くはがす効果)があるが、ケミカルピーリングよりもずっとマイルド。
・皮脂の分泌を抑える効果やアクネ菌を抑える効果もある。
・使いはじめに軽度の刺激症状(乾燥やかさつき、ヒリヒリ感やかゆみ)が現れることがあるが、面疱治療薬より弱いので、面疱治療薬の刺激症状が強くて使えない人でも大丈夫なことがある。
・イオウを含む温泉に入ると肌がツルツルになるのは、イオウの作用で角質層がごく薄くはがれるため。

▢ 面疱治療薬は“面塗り”が必要
・今ニキビができているところ以外にも(微小)面疱があると考え、️“点塗り”(赤ニキビのあるところだけチョンチョン塗る)ではなく“面塗り”することが大切。
・塗る回数は1日1回夜、洗顔後に基礎化粧品をつけてから塗る。

▢ Dr.トリイの治療方針

1.急性期治療(約3ヶ月)
デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル+抗菌薬)が第一選択。デュアック配合ゲルはほかの面疱治療薬に比べて刺激症状が少なく、継続しやすい。
ディフェリンゲル(アダパレン)追加:デュアック配合ゲルをしばらく使ってみて、刺激症状が気にならないようであれば追加して治療強化。ニキビ跡が残りそうな肌(きめが粗い、皮膚が硬くなりやすい、皮内にしこりができやすいなど)の場合、早期からディフェリンゲルを併用した方が効果的。
・面疱治療薬の刺激症状に対する予防:ヒルドイドローション(=ヘパリン類似物質ローション)を塗ってから面疱治療薬を塗るようにすると刺激症状が緩和される。
・重症例や最重症例では、開始時に抗菌薬内服を併用する。
・漢方薬の十味敗毒湯(6)を飲むとニキビの改善のみならず刺激症状が抑えられるので、拒否がなければ併用。
・膿を持つニキビが多い患者さんには、ニキビ跡を残りにくくする効果が期待できる荊芥連翹湯(50)を推奨。

2.維持期治療(半年〜1年程度)
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)へ変更。
ディフェリンゲルを併用エピデュオゲルへ変更可):皮膚の小陥凹(クレーター状の小さなへこみ)が目立つ場合は、急性期から引き続き併用する。この2剤を併用すると、45%の患者さんで過去のニキビ跡が改善したというエビデンスがある。
・保湿剤のヒルドイドローションは継続するが、乾燥が気にならなくなれば休薬可。
・漢方薬継続の可否は患者さんの希望で。

▢ 面疱治療薬の刺激症状を軽減させる工夫
・本来は1FTU(人差し指の第1関節の長さ)の量を顔の半分に塗る(つまり顔全体で2FTU)。
・刺激症状を避けるために、1FTUを顔全体に塗るよう指導。そして「カサカサ、ヒリヒリして気になるようなら1/2FTU、それでも気になるなら1/4FTUに減れしてみてください」とコメント追加。
・乾燥肌の患者さんには、1/2FTUあるいは1/4FTUを顔全体に塗るよう指導。
・量を減らしても刺激症状がある場合はヒルドイドローション前塗布を追加。
・それでもダメならショートコンタクトテラピー(塗布後5分経過したら洗顔して面疱治療薬を洗い流す)行う、あるいは毎日塗布をやめて隔日あるいは3日に1回塗布へ減らす。

▢ 顔以外(背中など)のニキビ治療
・まず抗菌薬の塗り薬を選択。
・抗菌薬軟膏を塗っても新しいニキビが繰り返しできる場合はベピオゲルを使用する。背中は顔よりも刺激症状が起きにくいため、広範囲に塗布する場合にはデュアック配合ゲルよりもベピオゲルの方が塗りやすい。
・ベピオゲルとデュアック配合ゲルには「脱色作用」があることに注意。衣類やタオルにつくと色落ちしてしまう。

▢ ニキビのスキンケア
・顔の表皮の厚みは0.2mm、角質層は0.02mm。
・こする、ひっかく、強く圧迫するなどの刺激は、避けるべき行為。面疱(ニキビ)は角質層より奥の問題なので、いくらこすっても取ることはできない。
・洗顔の極意は「洗いすぎは百害あって一利なし」、皮脂や汚れを取ろうとするあまり、ゴシゴシこするようにして洗う人がいるが、それは逆効果。
・ゴシゴシ洗うと、皮膚を守っている皮脂や角質層を必要以上に取り除いてしまうため、乾燥肌の原因になる。面疱治療薬使用中の場合、薬の作用で乾燥しやすくなっているときにゴシゴシ洗いをすると、刺激症状を助長する。
・1日2回、刺激の少ない石けんや洗顔料を十分に泡立て、優しく洗うべし。

▢ 具体的な洗顔方法
・たっぷり泡立てた泡をTゾーン、フェイスラインの順に乗せ、指が顔の皮膚に直接つかないように、泡を転がすようにして洗うのがコツ。泡の洗浄力だけで余分な皮脂や汚れは十分に落ちる。
・すすぐときもできるだけ刺激を与えない。両手にすくったぬるま湯に顔をつけるようにして、顔の皮膚に手や指が触れるのは最低限にする。これをていねいに繰り返せば泡は流せる。
・髪の毛の生え際やこめかみ、目と鼻の間のくぼみ、小鼻の脇、顎下などは泡が残りやすいので、すすぎ残しがないか鏡でチェックする。

▢ ニキビ肌の人の化粧のしかた
・ニキビはメイクそのものが原因になるわけではないので制限の必要なし。
・基本は「こする、ひっかく、強く圧迫するなどの刺激を避ける」。
・化粧水や乳液をつけるときは、決してこすらず、優しく肌になじませるようにつける。
・ファンデーションはいろいろ種類があるが、塗るときにこすらないよう気をつければ、基本的に好みのものを使用してよい。ニキビを隠そうと厚塗りするとどうしても刺激が増えるので薄めに。
・ポイントメイクは刺激を避けるように気をつければふつうに行ってよし。
・「ノンコメドジェニック」という表記がある化粧品なら安心して使用できる。
・帰宅したらなるべく早くメイクを落とすことが大切。
・クレンジングは、化粧をよく落とそうとして力が入ってしまいがちなので注意。オイル、クリーム、リキッドなど、いずれのタイプでも、できるだけこすらずに化粧を落とせるものを選択すべし。
・コットンで拭き取るタイプのものは、どうしてもこすることになるので避けるべし。

▢ 紫外線対策
・面疱治療薬使用中はより紫外線の影響を受けやすくなる。
・日常生活であれば、SPF30/PA++程度のものを選び、数時間毎に塗り直すのが皮膚に負担をかけない上手な日焼け対策。
・顔の場合は、メイクの下地クリームをUVカット効果のあるものにするとよい。

▢ ニキビと食事
・一般的にチョコレートやナッツ、脂肪分の多い食品を食べ過ぎるとニキビができやすいと思われているが、科学的根拠・データは存在しない、とガイドラインに明記されている。
・甘いチョコレートは糖質が多いので、糖質の少ないカカオ70%以上のものを選択すべし。カカオの割合が高い分、抗酸化作用のあるポリフェノールの効果が期待できる。
・コーヒーや香辛料のような刺激物の取り過ぎに注意。

▢ 睡眠不足の皮膚への影響
・睡眠不足は肌荒れの原因になるが、それは心身の緊張状態が続くと男性ホルモンのアンドロゲンが活性化され、皮脂の分泌が増えるため。
・皮膚のターンオーバーを促しているのは、脳下垂体から分泌される成長ホルモンである。成長ホルモンが最も活発に分泌されるのは、入眠直後の深い眠りの時。

▢ アトピー性皮膚炎の患者さんのニキビ治療
・もともと乾燥肌なので、保湿に十分配慮する。
・面疱治療薬は、通常より少なめの量からだんだん増やしていく方法、かつ塗布後5分で洗い流すショートコンタクトセラピーがお勧め。

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