小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

アスリートの“運動誘発性喘息”は見つけにくい。

2018年01月18日 08時06分54秒 | 気管支喘息
 先日、日本小児アレルギー学会に参加し、思春期喘息のシンポジウムを聞いていて「思春期喘息のコントロールが悪いのは、コンプライアンス/アドヒアランスだけの問題ではなく、症状に患者本人も気づかないためである」ことを聞いて目から鱗が落ちました。

 そういえば昔、こんな患者さんを経験したことがありました。
 中学3年生で、水泳部のキャプテン。
 数年来喘息発作がなく、その時点では悪化時受診となっていました。
 ある日受診した際、「タイムが伸びなくて後輩達に抜かれて焦っている」という相談を受けました。
 でも泳いでいるときに苦しくなったりはしないそうです。
 診察時も喘鳴を聴診器で検出できません。
 「試しに練習前に発作止めの吸入をしてみようか?」
 と提案し、実行してもらいました。
 すると次に受診時、
 「タイムトライアルで記録がぐんと伸びました。体も動きました。」
 との報告。
 というわけで、本人が意識していないけど運動誘発性喘息を治療的診断できたのでした。
 一般に「水泳は喘息発作を起こしにくいスポーツなので、喘息児の体力作りに適している」と言われていますから、意外な発見でした。

 学会を聴講して「思春期喘息は肺機能検査など客観的な指標を用いて管理する必要がある」ことを学びました。
 そんな、わかりやすそうで捉えるのが結構難しい「運動誘発性喘息」の解説記事を紹介します。

■ アスリートには気管支喘息が多いって本当?
2017/11/14:日経メディカル

■ 意外と難しい運動誘発性喘息の診断
2017/12/14:日経メディカル
 
■ 適切な喘息診療が金メダリストを生む…かも
2017/12/26
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