小児アレルギー科医の視線

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ダニによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の効果

2016年10月20日 08時10分48秒 | アレルギー性鼻炎
 ダニに対するアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法の治療薬は、2016年10月時点の日本では2種類発売されています。
アシテア®(塩野義製薬)
ミティキュア®(鳥居薬品)

『ミティキュア』と『アシテア』、同じダニアレルギーの減感作療法の薬の違いは?(わかりやすいブログ)

 処方するには一定の資格が必要ですので、どの医療機関でも扱っているわけではありません。
 最低でも数年間毎日使用するという気の長い治療法で、効果が実感できるまでに半年くらいかかることが多いようです。
 当院でも中学生で一人、はじめています。
 その効果に関する最近の報告を紹介します;

■ ダニアレルギーが舌下免疫療法で改善、日本の968人が参加 アレルギー性鼻炎に対する効果を検証
2016.10.20:MEDLEY
ダニはアレルギー性鼻炎の原因(アレルゲン)のひとつです。過敏反応を抑えるため、体をアレルゲンに慣らす治療法が知られています。日本の患者を対象に効果を確かめる研究の結果が報告されました。

◇ ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の研究
 アレルギー専門誌『Allergy』に報告された研究を紹介します。この研究では、日本でダニ(チリダニ)によるアレルギー性鼻炎の患者を対象として、舌下免疫療法の効果を調べています。

◇ 舌下免疫療法とは? 
 アレルギーは、異物に対して免疫が過敏に反応することで起こります。花粉症もアレルギーの一種です。治療法のひとつとして、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)を体に与え続けることで、免疫を慣らして過敏反応を抑える方法があります。舌の下に入れて溶かすタイプの薬を使う場合は特に「舌下免疫療法」とも呼ばれます。
 ダニによるアレルギー性鼻炎に対しては、日本でも2015年にアシテア®ダニ舌下錠が発売され、舌下免疫療法が行われています。

◇ 日本で968人が研究に参加
 この研究には、ダニによるアレルギー性鼻炎の患者968人が参加しました。参加者はランダムに3グループに分けられました。

・300単位(IR)の薬剤を使うグループ
・500単位(IR)の薬剤を使うグループ
・有効成分を含まない偽薬を使うグループ
 ・・・300単位(IR)、500単位(IR)というのは薬剤の強さを表します。
 52週間の治療が行われ、最後の8週間に症状の重さをスコアで評価して、治療効果を検討しました。

◇ 症状に改善あり
 次の結果が得られました。
 治療期間の最後の8週間におけるAASSは、偽薬群に比べて300IR群と500IR群でともに有意に改善した。
 ほとんどの有害事象は軽度であり、16件の深刻な有害事象が報告されたが、薬剤関連のものはなかった。300単位でも500単位でも、症状のスコアに改善が見られました。薬が原因で起こったと見られる深刻な副作用はありませんでした。

◇ まとめ
 アレルギー性鼻炎は多くの人を悩ませています。免疫をコントロールする方法が進歩することで、くしゃみや鼻水が楽になる人が増えるかもしれません。

<参照文献>
House dust mite sublingual tablet is effective and safe in patients with allergic rhinitis. Allergy. 2016 Jul 29.
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