元気な赤ちゃんが何の前触れもなく突然亡くなってしまい、原因が特定できない時に使う病名が乳児突然死症候群(SIDS)。
2015年には日本で96人(3.8日に一人)、アメリカでは3500人(毎日9.6人)という頻度です。
それがたまたま予防接種後に起こると・・・ワクチンの副反応との判別がたいへん困難になります。
日本では乳児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(2012年第2版)が作成され、厚生労働省から以下のような啓蒙がされています。
■ 乳幼児突然死症候群(SIDS)について〜睡眠中の赤ちゃんの死亡を減らしましょう
睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因には、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気のほか、窒息などによる事故があります。
○ SIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります。
○ 平成27年度には96名の赤ちゃんがSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第3位となっています。
○ SIDSの予防方法は確立していませんが、以下の3つのポイントを守ることにより、SIDSの発症率が低くなるというデータがあります。
(1) 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう
SIDSは、うつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、寝かせる時にうつぶせに寝かせたときの方がSIDSの発生率が高いということが研究者の調査からわかっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。この取組は、睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。
(2) できるだけ母乳で育てましょう
母乳育児が赤ちゃんにとっていろいろな点で良いことはよく知られています。母乳で育てられている赤ちゃんの方がSIDSの発生率が低いということが研究者の調査からわかっています。できるだけ母乳育児にトライしましょう。
(3) たばこをやめましょう
たばこはSIDS発生の大きな危険因子です。妊娠中の喫煙はおなかの赤ちゃんの体重が増えにくくなりますし、呼吸中枢にも明らかによくない影響を及ぼします。妊婦自身の喫煙はもちろんのこと、妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙はやめましょう。これは、身近な人の理解も大切ですので、日頃から喫煙者に協力を求めましょう。
アメリカのガイドラインが2016年に改訂されましたので、その記事を紹介します。
欧米では従来、乳児早期から親とは別室で寝かせることが習慣と認識していましたが、このガイドラインでは「生後6ヶ月(できれば1年)までは同室で、しかし同じベッドではなくベビーベッドで寝かせましょう」と方針転換していることに気づきました。
■ 乳幼児の突然死予防ための14のこと〜米学会が安全な睡眠環境ガイドラインを5年ぶりに改訂
(2016年11月27日:メディカルトリビューン)
乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、これまでに目立った病気もなく、健康に過ごしていたにも関わらず、眠っている間に突然死してしまう病気。米国小児科学会(AAP)は、2011年以来、5年ぶりに乳幼児突然死症候群(SIDS)などによる睡眠中の乳児死亡を予防するための安全な睡眠環境に関するガイドライン(GL)を改訂し、 Pediatrics に掲載、自宅などでも実践できる項目を示した。
◇ 1歳まで親と同じ寝室で寝かせることを推奨
生後2~6カ月に多く見られ、日本では2015年にSIDSで亡くなった乳児は96人で、乳児期の死亡原因として第3位を占めている。予防法は確立しておらず、厚生労働省では「1歳になるまではあお向けに寝かせる」「できるだけ母乳で育てる」「タバコをやめる」ことを発生率を下げるために出来ることとして推奨している。
一方、AAPは、4カ月未満の乳児だけでなく4カ月以上の乳児でもベッドに毛布や枕などの柔らかい物があるとSIDSリスクが高まるとの新たなエビデンスに基づき、改訂を行った。
米国では1990年代に展開された乳児の安全な重要性に関する啓発キャンペーンにより、SIDSや窒息事故などによって睡眠中に死亡する乳児は減少傾向にあったが、近年は年間約3,500人前後という。
今回のGLでは、SIDSや寝具などによる窒息事故などによる1歳未満の乳児の死亡を予防するためにできる19の項目が示された。自宅などで実践できる主なものは次の14の項目。
1.必ず仰向けで寝かせる
2.固いマットレスなどの上に寝かせる
3.母乳育児が推奨される
4.少なくとも生後6カ月まで、できれば1歳を迎えるまでは親と同じ寝室に寝かせる。ただし、親と同じベッドを共有せず、ベビーベッドやバシネット(ゆりかご)などに寝かせる
5.乳児が眠る場所に柔らかい物や寝具は置かない
6.昼寝や夜の寝かしつけのときにはおしゃぶりを与える
7.ソファや椅子には決して寝かせてはならない
8.妊娠中、出産後は禁煙、乳児が受動喫煙になるような環境を避ける
9.乳児がアルコール、違法薬物にさらされないようにする
10.乳児を必要以上に暖かくしない(大人より一枚少ないのがちょうど良いとされる)、頭を覆わない
11.妊婦は出生前の定期健診をきちんと受診する
12.推奨されている全てのワクチンを接種する
13.エビデンスが不十分なため、乳児突然死の発生を避けると宣伝している市販品などを使用しない
14.乳児を毛布などで包み込むことは、推奨されない
このうち乳児を寝かせる場所に関しては、ぬいぐるみなどの柔らかいおもちゃを置いたままにすることやベビーガード(乳児がベッドの柵にぶつかったり手足を挟んだりしないようにするために柵の内側に取り付けるパッド)、毛布、枕を使用することも否定。ベビーベッドを使用する場合には、固いマットレスにぴったりとシーツを敷いた上で乳児を寝かせ、それ以外には何も使用すべきではないとしている。
また、AAPは「親と同じ寝室にベビーベッドなどを設置して乳児を寝かせることで、SIDSリスクを最大で50%低減させられるとのエビデンスがある」と説明。さらに、親と同じ寝室に寝かせることで万が一乳児が窒息したり、どこかに挟まって動けなくなったりした場合にもすぐに救助できるとしている。
一方、「ソファや椅子などに寝かせることは極めて危険」と強調。クッションの間に挟まって動けなくなり、窒息する危険性もあるとしている。
◇ 添い寝するならベッド上のすべての寝具を取り除いて
ただ、昼夜を問わず授乳しなければならない母親にとっては、ソファで授乳しているうちに自身も眠気に襲われ、毎回乳児をベビーベッドなどに運ぶことが難しい場合もある。そのような時は「乳児にとって最も安全な場所は親のベッドの近くに設置された乳児のための寝具だが、授乳中に自分が眠りに落ちそうだと感じたら短時間であれば親のベッドに移動して授乳しても良い。ただし、目覚めたらすぐに乳児をベビーベッドに移すべき」と記載。その理由としてソファや椅子に乳児を寝かせるよりも親のベッドで一緒に寝る方がリスクは低いことを挙げている。
その一方で、SIDSによる死亡例の多くは親のベッドで寝具を頭までかけた状態で発見されていることに言及し、「親のベッドで一緒に寝る場合は枕やシーツ、毛布など乳児の窒息の原因となる可能性のある全ての物を取り除く」「4カ月未満の乳児や早産児は、どんな状況でもSIDSリスクが高まることが示されているため、同じベッドで寝てはならない」ことなどが注意事項として示されている。
その他、寝かしつけの際のおしゃぶり使用に関しては、「メカニズムは不明だが、おしゃぶりはSIDSの抑制に有効であることを示唆する2件の報告がある」と説明。ただし、「乳児がおしゃぶりに抵抗を示す場合には、無理に使用する必要はない」としている。
2015年には日本で96人(3.8日に一人)、アメリカでは3500人(毎日9.6人)という頻度です。
それがたまたま予防接種後に起こると・・・ワクチンの副反応との判別がたいへん困難になります。
日本では乳児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(2012年第2版)が作成され、厚生労働省から以下のような啓蒙がされています。
■ 乳幼児突然死症候群(SIDS)について〜睡眠中の赤ちゃんの死亡を減らしましょう
睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因には、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気のほか、窒息などによる事故があります。
○ SIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります。
○ 平成27年度には96名の赤ちゃんがSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第3位となっています。
○ SIDSの予防方法は確立していませんが、以下の3つのポイントを守ることにより、SIDSの発症率が低くなるというデータがあります。
(1) 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう
SIDSは、うつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、寝かせる時にうつぶせに寝かせたときの方がSIDSの発生率が高いということが研究者の調査からわかっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。この取組は、睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。
(2) できるだけ母乳で育てましょう
母乳育児が赤ちゃんにとっていろいろな点で良いことはよく知られています。母乳で育てられている赤ちゃんの方がSIDSの発生率が低いということが研究者の調査からわかっています。できるだけ母乳育児にトライしましょう。
(3) たばこをやめましょう
たばこはSIDS発生の大きな危険因子です。妊娠中の喫煙はおなかの赤ちゃんの体重が増えにくくなりますし、呼吸中枢にも明らかによくない影響を及ぼします。妊婦自身の喫煙はもちろんのこと、妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙はやめましょう。これは、身近な人の理解も大切ですので、日頃から喫煙者に協力を求めましょう。
アメリカのガイドラインが2016年に改訂されましたので、その記事を紹介します。
欧米では従来、乳児早期から親とは別室で寝かせることが習慣と認識していましたが、このガイドラインでは「生後6ヶ月(できれば1年)までは同室で、しかし同じベッドではなくベビーベッドで寝かせましょう」と方針転換していることに気づきました。
■ 乳幼児の突然死予防ための14のこと〜米学会が安全な睡眠環境ガイドラインを5年ぶりに改訂
(2016年11月27日:メディカルトリビューン)
乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、これまでに目立った病気もなく、健康に過ごしていたにも関わらず、眠っている間に突然死してしまう病気。米国小児科学会(AAP)は、2011年以来、5年ぶりに乳幼児突然死症候群(SIDS)などによる睡眠中の乳児死亡を予防するための安全な睡眠環境に関するガイドライン(GL)を改訂し、 Pediatrics に掲載、自宅などでも実践できる項目を示した。
◇ 1歳まで親と同じ寝室で寝かせることを推奨
生後2~6カ月に多く見られ、日本では2015年にSIDSで亡くなった乳児は96人で、乳児期の死亡原因として第3位を占めている。予防法は確立しておらず、厚生労働省では「1歳になるまではあお向けに寝かせる」「できるだけ母乳で育てる」「タバコをやめる」ことを発生率を下げるために出来ることとして推奨している。
一方、AAPは、4カ月未満の乳児だけでなく4カ月以上の乳児でもベッドに毛布や枕などの柔らかい物があるとSIDSリスクが高まるとの新たなエビデンスに基づき、改訂を行った。
米国では1990年代に展開された乳児の安全な重要性に関する啓発キャンペーンにより、SIDSや窒息事故などによって睡眠中に死亡する乳児は減少傾向にあったが、近年は年間約3,500人前後という。
今回のGLでは、SIDSや寝具などによる窒息事故などによる1歳未満の乳児の死亡を予防するためにできる19の項目が示された。自宅などで実践できる主なものは次の14の項目。
1.必ず仰向けで寝かせる
2.固いマットレスなどの上に寝かせる
3.母乳育児が推奨される
4.少なくとも生後6カ月まで、できれば1歳を迎えるまでは親と同じ寝室に寝かせる。ただし、親と同じベッドを共有せず、ベビーベッドやバシネット(ゆりかご)などに寝かせる
5.乳児が眠る場所に柔らかい物や寝具は置かない
6.昼寝や夜の寝かしつけのときにはおしゃぶりを与える
7.ソファや椅子には決して寝かせてはならない
8.妊娠中、出産後は禁煙、乳児が受動喫煙になるような環境を避ける
9.乳児がアルコール、違法薬物にさらされないようにする
10.乳児を必要以上に暖かくしない(大人より一枚少ないのがちょうど良いとされる)、頭を覆わない
11.妊婦は出生前の定期健診をきちんと受診する
12.推奨されている全てのワクチンを接種する
13.エビデンスが不十分なため、乳児突然死の発生を避けると宣伝している市販品などを使用しない
14.乳児を毛布などで包み込むことは、推奨されない
このうち乳児を寝かせる場所に関しては、ぬいぐるみなどの柔らかいおもちゃを置いたままにすることやベビーガード(乳児がベッドの柵にぶつかったり手足を挟んだりしないようにするために柵の内側に取り付けるパッド)、毛布、枕を使用することも否定。ベビーベッドを使用する場合には、固いマットレスにぴったりとシーツを敷いた上で乳児を寝かせ、それ以外には何も使用すべきではないとしている。
また、AAPは「親と同じ寝室にベビーベッドなどを設置して乳児を寝かせることで、SIDSリスクを最大で50%低減させられるとのエビデンスがある」と説明。さらに、親と同じ寝室に寝かせることで万が一乳児が窒息したり、どこかに挟まって動けなくなったりした場合にもすぐに救助できるとしている。
一方、「ソファや椅子などに寝かせることは極めて危険」と強調。クッションの間に挟まって動けなくなり、窒息する危険性もあるとしている。
◇ 添い寝するならベッド上のすべての寝具を取り除いて
ただ、昼夜を問わず授乳しなければならない母親にとっては、ソファで授乳しているうちに自身も眠気に襲われ、毎回乳児をベビーベッドなどに運ぶことが難しい場合もある。そのような時は「乳児にとって最も安全な場所は親のベッドの近くに設置された乳児のための寝具だが、授乳中に自分が眠りに落ちそうだと感じたら短時間であれば親のベッドに移動して授乳しても良い。ただし、目覚めたらすぐに乳児をベビーベッドに移すべき」と記載。その理由としてソファや椅子に乳児を寝かせるよりも親のベッドで一緒に寝る方がリスクは低いことを挙げている。
その一方で、SIDSによる死亡例の多くは親のベッドで寝具を頭までかけた状態で発見されていることに言及し、「親のベッドで一緒に寝る場合は枕やシーツ、毛布など乳児の窒息の原因となる可能性のある全ての物を取り除く」「4カ月未満の乳児や早産児は、どんな状況でもSIDSリスクが高まることが示されているため、同じベッドで寝てはならない」ことなどが注意事項として示されている。
その他、寝かしつけの際のおしゃぶり使用に関しては、「メカニズムは不明だが、おしゃぶりはSIDSの抑制に有効であることを示唆する2件の報告がある」と説明。ただし、「乳児がおしゃぶりに抵抗を示す場合には、無理に使用する必要はない」としている。