小児アレルギー科医の視線

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水害に学ぶ医療支援の課題

2017年11月02日 08時31分57秒 | アレルギー性鼻炎
 災害時はすべては混乱します。
 医療も例外ではありません。
 下記記事を読み、災害医療を効率的に行うには、平時からあらかじめ準備・シミュレーションしておくことが必要とあらためて感じました。

■ 水害に学ぶ医療支援の課題 効率化に必要な連携とは 日医総研が報告書
共同通信社2017年11月1日
 2015年9月の関東・東北豪雨では、茨城県常総市で鬼怒川が決壊して市街地が水没し、死傷者が出たほか住民多数が避難した。
 避難所には県内外からさまざまな医療支援チームが集まり、住民のケアに当たった。こうした災害時に、どうすれば多くのチームが情報を共有し、効率的な支援ができるのか。
 関係者の話から教訓を探った。

▽チーム間調整
 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の王子野麻代(おおじの・まよ)主任研究員は関係者に聞き取りをして今年、災害医療支援での連携の在り方についての報告書をまとめた。
 それによると、当時、現地に入ったのは厚生労働省の災害派遣医療チーム(DMAT)、日本医師会や日本赤十字社の医療チーム、精神科医らの「こころのケアチーム」など。ほかに理学療法士、栄養士、鍼灸(しんきゅう)師らも駆け付けた。
 茨城県は決壊前の午前10時に災害対策本部を設置したが、その時点でDMATの出動要請はしていなかった。
 県の統括災害医療コーディネーターを務める国立病院機構水戸医療センターの安田貢(やすだ・すすむ)救命救急センター長が、救助が遅れれば低体温になる人などが出る危険性が高いと指摘して出動の必要性を県に伝え、同日中の出動要請につながった。
 安田さんは「東日本大震災の支援での経験から、この水害では二つのことを徹底した」と話す。
各チームの活動が重複しないようにする」と「緊急派遣チームによる支援とその後の地域医療をつなげ、医療の空白を生まない」だ。

▽危機的事例も
 違うチームが時間をおかず訪れると、避難者は何度も同じような質問を受けて休めない。支援チームが引き揚げる際に地元医療機関への引き継ぎが十分でないと、避難者の医療に支障が出る。
 安田さんは各チームに呼び掛け、決壊の2日後、活動を調整する「地域災害医療コーディネート本部」を、常総市の東隣の同県つくば市にある筑波大病院の一角に設置した。
 自身が筑波大在職中に災害医療対策の拠点として設計に関わった広いスペースで、出入りしやすい1階に、電源や通信ラインを備えている。ここに集まった各チームは行き先や時間を調整。避難者情報を毎朝夕のミーティングで共有した。
 それでも危機的な事例はあった。
 一人きりで避難していた90代男性は気付かれないまま一昼夜飲まず食わずで、脱水のため意識がもうろうとしていた。自宅でがん療養中だった男性避難者は、浸水で内服薬を失い、状態が悪化していた。いずれも医療チームが見つけて事なきを得たという。

▽チェックリスト
 王子野さんは報告書に基づき
(1)調整本部の設置
(2)情報連絡
(3)災害医療コーディネーターを中心とした体制整備
(4)チーム間の相互理解と合意形成
―の四つがポイントだと指摘。
「被災地が比較的限定され、全容が把握できた鬼怒川水害の教訓から、現状の体制を点検してほしい」と話す。
 王子野さんは自治体側、医療チーム側に向けたチェックリストの私案を作成中だ。
自治体側には「チームが集まる場所の確保」や「コーディネーターの委嘱」などを、医療チーム側には「自治体との事前の協定締結」や「他チームとの共同訓練」などを例示した。
 一方、安田さんは「自治体が持つ最新情報をチームに伝えたり、出動中のチームと連絡を取ったりする事務機能が不足していた」と振り返る。
「災害医療の実務に精通し、下支えする人材が、自治体にも医療チームにも必要だ。双方で普段から学ぶ機会を増やさなければならない」と強調した。
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