小児アレルギー科医の視線

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アトピー性皮膚炎の原因は細菌増殖?

2015年04月26日 07時43分09秒 | アトピー性皮膚炎
 アトピー性皮膚炎の原因は、小児科・内科は「アレルギー」、皮膚科は「皮膚の代謝異常」という学説で喧々諤々状態が続いてきましたが、ここにきて「細菌説」が再浮上してきました。

■ アトピー性皮膚炎 原因は細菌の異常増殖か
(2015年4月22日:NHK)
アトピー性皮膚炎は、皮膚の表面で複数の細菌が異常に増えることで起きるという研究成果を、アメリカの国立衛生研究所と慶應大学などのグループが発表しました。アトピー性皮膚炎の根本的な治療法の開発につながると注目されます。
この研究は、アメリカのNIH=国立衛生研究所の永尾圭介主任研究員と慶應大学などのグループがアメリカの科学雑誌「イミュニティ」の電子版で発表したものです。
グループでは、アトピー性皮膚炎を発症する特殊なマウスを使って皮膚の表面を調べたところ、症状が出てくるのと同時に「黄色ブドウ球菌」と「コリネバクテリウム」という2種類の細菌が異常に増えてくるのを突き止めたということです。
このため抗生物質を投与して細菌が増えないようにしたところ、マウスはアトピー性皮膚炎を発症しなくなり、逆に抗生物質の投与を止めると2週間ほどでアトピー性皮膚炎を発症したということです。
研究グループでは、アトピー性皮膚炎は乾燥などの環境や体質をきっかけに皮膚の表面でこれらの細菌が異常に増殖することで起きるとしています。
永尾主任研究員は「アトピー性皮膚炎はこれまでアレルギー疾患だと考えられてきたが、細菌の異常増殖などが複雑に関係して発症している可能性が出てきた。さらに発症の詳しいメカニズムが解明できれば新たな治療法の開発につながるはずだ」と話しています。


 従来、アトピー性皮膚炎の湿疹部位から細菌が検出されても、「それは湿疹ができてバリア機能が低下したための“結果”であり、細菌が付着して湿疹ができるという順番ではない」と考えられてきましたので、今回の報告はそれをくつがえす可能性があります。今後の追試に注目したいと思います。
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