新・定年オジサンのつぶやき

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休眠預金はどこへ行く?

2018年12月07日 09時57分04秒 | 休眠預金

長期間動きのない口座のことを「休眠預金」といい、毎年なんと数百億円も発生している。
 
放置された預金口座のお金を社会のために有効活用する観点から、2018年1月に「休眠預金等活用法」が施行された。

この法律ができる前は、銀行や商品により休眠預金となる年数が違っていたが、施行後は「2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引がない預金を休眠預金とする」と統一された。
 
対象となる商品は、普通預金、定期預金、貯金、定期積金など。財形貯蓄や外貨預金などは対象外となっている。
 
そして来年の1月1日以降に休眠預金が活用され始める。
 
国民の休眠預金、有効に使える? 年700億円 来年から公益活用
 
         

              【東京新聞より】

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 10年出し入れのない金融機関の口座を「休眠預金」と位置付け、お金をNPOや市民団体の公益活動に充てる制度が、来年から本格的に動きだす。第一弾の資金は来秋にも交付される見通し。休眠預金は毎年700億円規模で発生しており、巨額の国民資産を適正に運用できるかどうかが課題になる。 (安藤美由紀)
 出し入れがないまま10年を超えた口座は従来「睡眠預金」と呼ばれ、金融機関の利益に算入されてきたが、国民への還元につながる公益活動に充てようと、2016年に超党派の議員立法で「休眠預金活用法」が成立。英国や韓国の先例を参考に、対象となる活動として(1)子どもや若者の支援(2)生活するのに困難を伴う人への支援(3)社会的に困難な状況にある地域の支援-の3分野を指定した。
 運用の手順は、まず休眠預金を金融機関から預金保険機構に移管。一括して資金を扱う一般財団法人「指定活用団体」に必要額を交付し、地域の事情に詳しい複数の「資金分配団体」を通じNPOなどに助成、貸し付けを行う。指定活用団体は、公募に応じた団体の中から首相が年内に選定。その後、分配団体も公募で決める。最初の交付は試験的な意味合いもあり、20億~40億円を想定する。
 休眠預金は、預金保険機構に移管された後でも、預金者が金融機関に請求すれば払い出される。
 制度を所管する内閣府に対しては、助成を受ける側のNPOから「議論のプロセスや基準が不適当だ」といった批判が出ている。内閣府は活動の成果を測る物差しとして「社会的インパクト評価」を打ち出したが、その内容は不透明だ。そもそも非営利のNPOが企業の売り上げのような数字の成果を求められれば、活動にゆがみや支障が出ると懸念する声もある。
 まちづくりの提案、実践を手がける認定NPO「まちぽっと」(東京)の奥田裕之事務局長は「小さくても優良なNPOは地域社会に根付き、困難を抱えた人たちとともに活動し、単に数字の拡大ではない目的を持っていることが多い」と指摘。「そこに休眠預金の助成を受けた大きなNPOが入り込むと、市民の社会貢献活動を阻害する危険性がある」と話す。
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上記の記事では、休眠預金は、預金保険機構に移管された後でも、預金者が金融機関に請求すれば払い出されるために特に問題はないのだが、毎年700億円規模で発生している休眠預金を誰がどのようにどこに分配するのかという点に大きな関心があった。 
そこで、記事中にコメントしていた認定NPO「まちぽっと」(東京)の奥田裕之事務局長らは、「現場視点で休眠預金を考える会」を立ち上げ、「小さくても優良なNPOは地域社会に根付き、困難を抱えた人たちとともに活動し、単に数字の拡大ではない目的を持っていることが多い」との立場から、「現場視点で休眠預金を考える会情報サイト」に9月21日に下記の意見書を発表した。
 
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                               休眠預金等に係る資金の活用に関する意見
                                                                                                     2018年9月21日
                                                                                     現場視点で休眠預金を考える会
 
当意見書は、日本各地で活動している様々な分野のNPO等の視点から、休眠預金等に係る資金の活用がより良く市民公益活動団体及び課題当事者に活用されることを願って作成されたものです。
 
Ⅰ、民間公益活動促進のための休眠預金等活用に関する問題意識
1、「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針(以下、基本方針)」の曖昧性の問題
日本の民間資金を基に設立された助成財団上位20団体の助成総額は年間約451億円、それに対して休眠預金等に係る資金の活用(以下、休眠預金)で活用可能な金額は年間約700億円とも言われています。
この規模は、その活用方法によっては市民が行う自由な社会貢献活動を阻害する危険性があるものです。
私たちは基本方針案へのパブリックコメントを通じて、休眠預金の運用等について危惧を表明しましたが、審議会と国が決定した基本方針は幾つかの重大な問題について曖昧な部分を多く残した玉虫色の結論となっています。
その結果、未だ存在しない指定活用団体に課題を先送りし、指定活用団体の権限が極めて大きくなっていることは大変問題があると考えています。
2、「休眠預金等活用審議会」の審議プロセスの問題
基本方針の策定にあたり募集されたパブリックコメントでは国民から168件もの意見が寄せられたにもかかわらず、休眠預金等活用審議会では一切取り上げられることなく、極めて不透明かつ非民主的なプロセスで決定されたことも大きな問題です。
私たちは「ソーシャル・セクター」が活用する資金を、「民主主義」や「社会的公正性」を否定したプロセスで決定した事実を見過ごしてはいけないと考えています。そして、このような状況で巨大な力を持つ指定活用団体が選定されることに大きな危惧を持っています。
3、小規模な団体が排除される危険性
市民の意見を無視した審議会での狭い議論や基本方針に書かれた内容から、私たちが特に問題視していることは、これまで地域社会や困難な状況にある人々を支えていた小規模で優良な団体が、「革新的」「成果志向」「社会的インパクト評価」という文脈によって排除され、その結果として日本社会のセーフティネットが崩壊してしまうことです。
休眠預金は、「国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ること」が法の目的であり、その規模からも幅広く社会を俯瞰し、より良い状況を作り出すべきだと考えます。
そのため指定活用団体が選定されていくプロセスにおいて、「社会実験」「成果志向」「社会における大きな変革(ソーシャル・イノベーション)の実現」という方向性のみを見るのではなく、ソーシャル・ビジネス、地域の小規模な社会的事業、当事者性の強い社会的事業など、幅広い視野を持つことにより、前述の負の状況の発生を避け、市民公益活動の促進に休眠預金が適切に活用されるための社会的な議論が行われるよう、各方面が努力されることを望みます。
1、小規模な団体や当事者団体の社会における価値を見出し、正当に評価した上で、休眠預金を活用してそれらの活動を支えることを要望します。
・・・中略・・・
①小規模な団体でも応募できるような条件付けを、資金分配団体による募集において行えるようにすること。(例えば、助成の規模100万円程度を実施可能とするなど)
②小規模な団体の活動成果を評価へ適切に反映するために、小規模な団体が具体的な手法を学ぶ機会を作ること。その際は、
資金提供者の視点に偏った社会的インパクト評価だけではなく、実施団体自身の学び・改善につながる評価のあり方などをバランスよく学べるようにすること
Ⅱ、休眠預金等に係る資金の活用に関する意見要望
・・・中略・・・
基本方針では、一部に「解決に時間を要する分野や、従来より定量的な成果が出にくいとされてきた分野にも活用されるよう配慮」という表現があるものの、全体的には、「大きな変革(ソーシャル・イノベーション)」「社会課題解決能力の飛躍的な向上」「革新的手法」といった言葉が並び、小規模な活動や地域における地道な活動(全国どこにでもある、地域特有の課題に即した人々の暮らしに不可欠な支えとなっている活動)や、当事者性が強い活動は、ほとんど視野に入っていないように読めます。
それらの多くは一見、大きな変革を起こしたり飛躍的な向上をもたらしたりしていないように見えるかもしれませんが、日本社会において様々な分野の市民公益活動を切り拓いてきましたし、現在も社会の新しい価値を創り続けています。
このような小規模団体・当事者団体が、結果として本制度から排除される仕組みとなることは、日本社会において今後も非常に重要であり続ける市民公益活動の発展に、大きな悪影響を与えると考えます。
そのため、次の項目を導入することで前述の団体が本制度を利用可能となることを要望します。
 
①小中規模団体や当事者団体に適した評価方法を検討すること
②少数者の多様で複雑なニーズや課題を対象とした事業評価は、専門家などの協力を得て行なうこと
③助成終了時における事業評価は、アウトプット評価を基本とすること
④地道な活動や当事者性の強い活動の中にも、正当な「成果」を見出すこと
・・・以下略・・・
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この意見書に賛同した97団体、137個人からは下記のようなコメントがあった。
 
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○収益や数値で分かる成果を上げていない団体・組織が、今後ますます多様なニーズの受け皿、価値観の創出の場となっていくことが予測できる社会になっていると思います。そうした細分化された社会で、小さな団体が制度・経済的に守られ育まれていくことは多様化する個々人の権利を守ることにもつながると思います。とてもよい意見書だと思います。
○多様な社会の中に埋もれている多様なニーズに応えていくには、規模の大小によらない団体の存在が必要不可欠。この資金によりそれらの団体がより細部にわたる社会的課題に寄り添うことで小さな成果が沢山集まることで持続可能な社会が形成されていくことを望みます。
○NPOの在り方に大きく影響をおよぼす制度です。なかなか進まない課題を抱える地域にとっては、なくてはならない活動をどう評価するのか。方針が示す社会的インパクト評価では測れないと思います。そのような活動をする団体にとっても活用できる制度であるべきです。
○東京の発想でこの休眠預金の制度が進められていくとしたら、とても危機感を感じています。地方で頑張っている、あるいは、草の根の団体などの取り組みも切り捨てないことを切に願います。短期的に出る成果ばかりを求めると、地域を本当によくすることにはなかなかつながらないかと思います。地域の活動を中長期的な視点で評価していく仕組みも、ぜひ取り入れていただければと思います。この休眠預金の制度があって、日本の多くの地域がよかった、役にたった、と思えるような取り組みになることをただただ望むばかりです。
○「社会的インパクト評価」に関しては過去、評価してもらった事業があったが、その「評価」に関して疑問の声が企業経験者からあった。数値化したらステークホルダーに評価されるかと思ったが必ずしもそうでもないことがわかった。数値化したら寄付金が集まるというのも幻想に近い。
 ましてや行政も手につけれない課題を遂行している小規模のNPOにとっては数値よりも「共感」「一体感」「達成感」のほうが高い評価を受け、支援者が増えることの方が多い。このままでは「休眠預金」を利用できるのは書類を整えるのに長けた団体になってしまうのではないかと危惧している。こんなややこしいことをするのなら、いっそ自治体に基金として渡してしまい、(そうしたら運営管理費が大幅に削減できる)、NPOはその自治体が設置した審査委員会や評価機関に訴えて、活用させてもらうほうが楽ではないか。また評価機関も日常的に「監視」にいけるのではないか。行政頼りの逆行かもしれないが、案外、休眠預金を残した地域住民にとっては、納得できる使い方になるのではないかと思う。
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この制度自体に対しては、「市民の意思が示されないお金を受け取るという認定NPO制度そのものの否定につながりかねない愚策だと思いますし、もっと慎重に事を進めるべきですし、社会起業家とNPO活動を一緒くたにされた考えにも不満があります。」という厳しい意見もあった。
 
内閣府・金融庁による、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律 説明資料」によれば、「指定活用団体」や「休眠預金等活用審議会」はすべて「内閣総理大臣」による指定や任命になっている。
 
となれば、反政府的な思想や活動団体は排除され、政府寄りの息がかかった連中が莫大な資金を自由に操ることができることになる。
 
そうなれば、「政界や行政と癒着した特定法人に利益を提供する政策はあってはならない」という指摘がズバリ的を射ているようである、とオジサンは思う。


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