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ちょこっとレビュー :『マイクロワールド』

2013年09月23日 21時38分04秒 | Weblog
小説だけでなくテレビドラマに映画にと超売れっ子作家マイクル・クライトンの遺稿をもとに、エボラ出血熱の名を広めた『ホットゾーン』のリチャード・プレストンが完成させた作品。SFサスペンス小説という形をとってはいるが、正直ストーリーの妙で読ませる小説ではない。(ただ、「小説として品質が最後まで安定している」という点ではクライトン単独の小説より良いと思う。)


クライトンの作品では、『恐怖の存在』『プレイ -獲物-』『NEXT』と読んでいたが、この『マイクロワールド』では、科学技術や自然に対する人類の関わりあい方という話はどちらかというと脇に置かれ、自然それ自体の驚異的な部分、通常人間が「目にしづらい」ために見過ごしているが、自分がいる世界が実はいかに驚異的なものであるかを十二分に表現し、「再発見」させてくれる。そこでは「人間」は瞬間瞬間を生き延びることが精一杯であり、少しでも動くことを止めればたちまちむごたらしい形で「世界」に食い尽くされなくなってしまう存在でしかない。

ナノどころか、1インチサイズの生物にとっていかに世界がおそろしく、残酷で、そして眩暈がするほど生き生きとしていることか!事実(笑)、登場人物の一人は、あれほど大変な経験をしてきたにも関わらず、どうしようもなく「あの世界」に魅了されてしまうのである。


『マイクロワールド』もいつものクライトン作品らしく、映像化を念頭においたつくりになっているが、実際この小説を最新のVFX技術を用いて超精細画質の映画にしたらどんなにすごい映画になるだろう(そのまま映像化したら刺激が強すぎて子供や心臓が弱い人は入場禁止になるだろうが)。そして、この手の映画と言えばジェームズ・キャメロンの名前が浮かぶが、最後まで読むとわかるが、キャメロンの映画らしい話に既になっていたりする!(笑)『アバター』シリーズもいいが、ストーリーの部分で苦労しそうな続編よりこっちをつくって欲しいところだ。

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