さぁ。野良ヤギ、完結編です。それほどはりきるほどのものでもありませんが。
繰り返しになりますが、この話は前編、および後編を読んでいらっしゃらない方には、まったく通じない話となってしまいますので、こちらから入られました方は、まずこちらの『野良ヤギ(前編)』、および『野良ヤギ(後編)』からお読みいただきますよう、ひらにお願い申し上げます。
「ほれ」
アウェイのコロシアムの中で、ヤギの所有格が確定してしまいまして、ひとり孤立し、全校児童550人を敵にまわす、というとんでもない事態に追い込まれた少年「私」。
そりゃもう「のぶたをプロデュース」なんてもんじゃありません。今時のしおらしい子供たちなら登校拒否はおろか、自殺も考えるような事態であろうかと思われますが、私、そんなにヤワなお子様じゃございませんでした。
もとより「野ブタ」ではなく「野ヤギ」です。関係ありませんけど。
思えば、体育教師がヤギを追いかけ回さなければ、これほどの被害にはならなかったものを
さんざん花壇を「荒らさせた」あげくに、すべての責任を紐1本で小学生の私にバトンタッチしようというのですから、ちょっと許しがたい。
半ベソ状態で、体育教師と担任に猛烈に抗議いたしますと、両教師とも「わかったわかった」と私をなだめ、体育教師がそのまま野良ヤギを現場にともどすことになりました。
うーん。我ながらグラディエーター?半ベソだけど。
その日の給食も終えた5時間目。家庭科がつぶれてホームルームに。
どうやら野良ヤギ関連のホームルームです。ここで担任が初めて事態の説明をいたしました。
「わかりましたね?だから野良のヤギに、むやみにエサをやってはいけませんよ」
「はーい」
と、みんなは答えましたが
先生。そんなこと習ってないし、今後の人生でもほとんど役にたちそうにないんですけど・・・。
「それで・・・」先生が続けました。
「6年生は、今から掃除までの時間、全学年の花壇直しを行います」
「えーーー」
言うまでもなく、とたんにみんながブーイング
「はい先生!そんなの○○くんと、体育の先生がやればいいと思いま~す」
挙手して言うほどのことか?
「いいとおもいま~す」ぱちぱち
・・・・わるいとおもいま~す
民主主義では解決しそうにない、と判断された先生は
「みなさん?みなさんは最上級生でしょう。最上級生には最上級生の責任があります」
いいこと言う!
「たとえクラスの1人が起こしたことでも、全員でカバーしあうのがクラスメイトというものです」
いいこと・・・言う?
いや。その1人、って私のことなんでしょうか?
「わかりますね?」
「はーい・・・・」
先生。さっぱりフォローになってません。ていうか立場悪くなってますけど。
いかにも納得していない返事の「クラスメイト」でしたが、全員体操着に着替えて中庭集合。
6年生はほかにもクラスがありましたが、そっちも強制出動です。
我がクラスはともかく、他のクラスの子の私に対する視線は、さらに厳しいものがありました。
むろん、中には、授業がつぶれたことで大よろこびしている男子児童がたくさんおりました。
彼らは奇妙な利害の一致で、私の味方となったのでした・・・。それほどうれしくありませんでしたが。
「おまえんちのヤギのおかげだよ!^^」
「ちがうって!」
「謙遜すんなよ~ ^^」
日本語おかしい・・・。
野良ヤギと体育教師の荒らした花壇は、さんざんなものでした。
「ひで~」
「これってもうダメなんじゃないの?」
「先生、食べられちゃったヤツはどうしますか~」
「そうねぇ・・・」
その一問一答が作業をしている私の背中に、ミスリルの剣のようにザクザクとつきささります。
同じ中庭ですから、例によってコロシアム状態で、野次馬いっぱい。
窓から下級生たちが声をかけやがります。
「○○くん、僕の花もちゃんとなおしてよね」
いいから授業受けろよ!
だいたい後輩なんだからタメ口きくな!と、内心思いつつも、奇妙なうしろめたさから
「はいはい、ただいますぐに・・・」と、すっかり卑屈になってしまっている私でした。
人数がいたせいか、1時間程度で作業は完了!
まぁ、食べられたものはもどりませんが、それは先生が後から苗を買ってくる、ということで一件落着いたしました。
めでたい。
-------
翌日になり、少しはみんなの気持ちも記憶もうすれかけ、
私は「学校に来れない」という皆の期待をみごとに裏切り、なにごともなかったように登校いたしました。
そして教室に入ったとたん、女子たちがはげしく私をよんでいます。
「○○くん、はやくはやく!」
「なに?」と女子に呼ばれるままに窓際へといくと、中庭に白い野良ヤギが・・・。
そして窓際、私を見つけるなり
メェ?
疑問形で鳴くな!
------
実は番外編、追加してます。お読みになりたいかたはどうぞ。
繰り返しになりますが、この話は前編、および後編を読んでいらっしゃらない方には、まったく通じない話となってしまいますので、こちらから入られました方は、まずこちらの『野良ヤギ(前編)』、および『野良ヤギ(後編)』からお読みいただきますよう、ひらにお願い申し上げます。
「ほれ」
アウェイのコロシアムの中で、ヤギの所有格が確定してしまいまして、ひとり孤立し、全校児童550人を敵にまわす、というとんでもない事態に追い込まれた少年「私」。
そりゃもう「のぶたをプロデュース」なんてもんじゃありません。今時のしおらしい子供たちなら登校拒否はおろか、自殺も考えるような事態であろうかと思われますが、私、そんなにヤワなお子様じゃございませんでした。
もとより「野ブタ」ではなく「野ヤギ」です。関係ありませんけど。
思えば、体育教師がヤギを追いかけ回さなければ、これほどの被害にはならなかったものを
さんざん花壇を「荒らさせた」あげくに、すべての責任を紐1本で小学生の私にバトンタッチしようというのですから、ちょっと許しがたい。
半ベソ状態で、体育教師と担任に猛烈に抗議いたしますと、両教師とも「わかったわかった」と私をなだめ、体育教師がそのまま野良ヤギを現場にともどすことになりました。
うーん。我ながらグラディエーター?半ベソだけど。
その日の給食も終えた5時間目。家庭科がつぶれてホームルームに。
どうやら野良ヤギ関連のホームルームです。ここで担任が初めて事態の説明をいたしました。
「わかりましたね?だから野良のヤギに、むやみにエサをやってはいけませんよ」
「はーい」
と、みんなは答えましたが
先生。そんなこと習ってないし、今後の人生でもほとんど役にたちそうにないんですけど・・・。
「それで・・・」先生が続けました。
「6年生は、今から掃除までの時間、全学年の花壇直しを行います」
「えーーー」
言うまでもなく、とたんにみんながブーイング
「はい先生!そんなの○○くんと、体育の先生がやればいいと思いま~す」
挙手して言うほどのことか?
「いいとおもいま~す」ぱちぱち
・・・・わるいとおもいま~す
民主主義では解決しそうにない、と判断された先生は
「みなさん?みなさんは最上級生でしょう。最上級生には最上級生の責任があります」
いいこと言う!
「たとえクラスの1人が起こしたことでも、全員でカバーしあうのがクラスメイトというものです」
いいこと・・・言う?
いや。その1人、って私のことなんでしょうか?
「わかりますね?」
「はーい・・・・」
先生。さっぱりフォローになってません。ていうか立場悪くなってますけど。
いかにも納得していない返事の「クラスメイト」でしたが、全員体操着に着替えて中庭集合。
6年生はほかにもクラスがありましたが、そっちも強制出動です。
我がクラスはともかく、他のクラスの子の私に対する視線は、さらに厳しいものがありました。
むろん、中には、授業がつぶれたことで大よろこびしている男子児童がたくさんおりました。
彼らは奇妙な利害の一致で、私の味方となったのでした・・・。それほどうれしくありませんでしたが。
「おまえんちのヤギのおかげだよ!^^」
「ちがうって!」
「謙遜すんなよ~ ^^」
日本語おかしい・・・。
野良ヤギと体育教師の荒らした花壇は、さんざんなものでした。
「ひで~」
「これってもうダメなんじゃないの?」
「先生、食べられちゃったヤツはどうしますか~」
「そうねぇ・・・」
その一問一答が作業をしている私の背中に、ミスリルの剣のようにザクザクとつきささります。
同じ中庭ですから、例によってコロシアム状態で、野次馬いっぱい。
窓から下級生たちが声をかけやがります。
「○○くん、僕の花もちゃんとなおしてよね」
いいから授業受けろよ!
だいたい後輩なんだからタメ口きくな!と、内心思いつつも、奇妙なうしろめたさから
「はいはい、ただいますぐに・・・」と、すっかり卑屈になってしまっている私でした。
人数がいたせいか、1時間程度で作業は完了!
まぁ、食べられたものはもどりませんが、それは先生が後から苗を買ってくる、ということで一件落着いたしました。
めでたい。
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翌日になり、少しはみんなの気持ちも記憶もうすれかけ、
私は「学校に来れない」という皆の期待をみごとに裏切り、なにごともなかったように登校いたしました。
そして教室に入ったとたん、女子たちがはげしく私をよんでいます。
「○○くん、はやくはやく!」
「なに?」と女子に呼ばれるままに窓際へといくと、中庭に白い野良ヤギが・・・。
そして窓際、私を見つけるなり
メェ?
疑問形で鳴くな!
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実は番外編、追加してます。お読みになりたいかたはどうぞ。
まあ、おもしろいけどね。
「靴の墓場」ほどのパンチにはかける、かも。
「野良ヤギ」3部作、堪能させていただきました。
さすが長編?メチャメチャおもしろかったです。
私の父に言わせると、ヤギはそんなにバカではないらしいですよ。人の顔もしっかり記憶すると言っておりました。一応ヤギの名誉のため書き添えます。