弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

週刊こどもだましニュース~クラスター兄弟の世界雄飛

2007年05月27日 | Weblog

 すでに多くの人が耳にしているだろうけど、ペルーのリマで開催されていた「クラスター爆弾禁止リマ会議」で、僕らのニッポンが意外なまでの存在感を見せつけたんだよね。

 クラスター爆弾は市民の無差別殺傷につながる国際法違反の兵器だから全面禁止すべきだっていう禁止派と、当面は不発弾になる(=地雷化する)率が高い旧型を禁止するだけでいいでしょという、いわば条件付禁止派(ドイツなど)との争いが、会議の焦点だったらしい。
 そこで日本は、航空自衛隊の幕僚長が「不発弾もこわいけど、悪い奴らに占領される方がもっとこわいと思うな、ボクは」と一味違うナイスな主張をして、国内の会見ではキューマ防衛大臣も「旧型も認めてほしいな。ウチも持ってるし。ほら、ウチは周り全部海だから、守らなきゃいけない海岸線が長いの。だからクラスターみたいのでも使えるようにしときたいの」って、一味も二味も違うエクセレントな発言で援護したそうだよ。
 おそらくドイツなんかは、そもそもクラスター爆弾の主要保有国であるアメリカ・ロシア・中国がこの会議に来てないってこともあって、ここでは漸次的な禁止案をしっかり作って、いずれ主要三国も交えた枠組を作る基礎にっていう、戦術的な狙いがあるような感じなんだよね。日本も「そうそう、ボクが言いたいのもそれ!」って言いながら、結局違うことを主張してたという。国際的なコンセンサスが理解できているのかいないのか、何しに来たんだこいつ?って思われたかもね。

 まあそんな話はともかく、僕的には、幕僚長が「占領による災厄は甚大なんだ。こっわいぞー」みたいなことを外国の人を前に言ったってのが、すごくシュールな光景に思えるんだよね。自分らは今イラクあたりでその「占領」に手を貸してるじゃんっていう話は脇においても、この会議に集まった国の中には、実際に侵略/占領を経験して、そこから抜け出すのに大変な苦労をした歴史を持つ国だって多いはずでしょう?そういう国の人は、別に日本に言われてもなあ・・・って思うんじゃないかな。
 大体、当の日本は、そんなたくさんの人が殺される怖い占領なんて経験してないじゃん?自分らがやる側には何度か立ったけど。思いっきりやる側にいた第二次大戦で連合軍に負けて、そんでアメリカによる占領ってやつが始まったけど、まさかそれのことを言ってるわけじゃないよね?
 イギリスのNGOの人が言ったそうだけど、逆にホントに日本を占領できるくらいの力を持った国なら、クラスター爆弾なんて屁でもないだろうって。そりゃそうだ。たとえばアメリカは、まさにそういう強い国だったから、日本を負かして占領できたんだし。

 それで僕は思うんだけど、もしかしたら、幕僚長の頭にあったのは鎌倉時代の「元寇」のイメージなんじゃないかな。幕僚長が言うような「占領によって生じる被害」を受けそうになったヤヴァい経験って、「元寇」しかないでしょ、ウチの場合。あの時は台風のおかげで間一髪まぬがれたわけだけど、もしあの頃クラスター爆弾があれば・・・──うん、これは守れる!チンギスだろうがフビライだろうが、クラスターには勝てまいフッフッフ──ってマジで考えたのかなあ、って。だとするとやっぱり、この人達の頭の中って鎌倉時代で止まってるってことだよね。まあいいか。
 だけど、日本はもうモンゴルに征服されてんだよね、国技の相撲では。今場所白鵬が優勝して横綱昇進が決定的だから、これで横綱二人がモンゴル人なわけだ。防衛省としてはさぞ悔しいだろうねえ、って違うか。ダービーも牝馬が勝ったしねえ。そういや四位は牝馬に強かったもんねえ。関係ないけど。

 僕のふぬけた駄文でなく、この話題(ダービーじゃないよ)についてもっとちゃんとした文章を読みたい人は、たとえばイルコモンズのふた。とか、P-naviのこのエントリーがお勧めです。
 あるいは、もうこんな馬鹿げた醜悪な話は真面目に考えたくもない!やってらんねえ!という虚脱感に打ちひしがれている人(僕がそうだけど)には、ボーガスニュース~空自幕僚長、「クラスター爆弾は戦陣訓守るのに必要不可欠」 をお勧めします。
 ついでと言ってはなんですが、ボーガスの最近の記事では、唯一神ヤハウェからのオピニオン「そろそろホモサピエンスについて一言いっとくか」などが冴えわたってます(コメント欄も併せて)。殺伐とした世にあって、一服の清涼剤となること請け合いです。
 じゃあみなさん、ばいならー(殺)。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あり得ます (BLOG BLUES)
2007-05-29 15:59:49
こんにちは。『幕僚長の頭にあったのは鎌倉時代の「元寇」のイメージなんじゃないかな。』フツーに考えたらあり得ませんが。何せ旧日本軍の大本営は、日中戦争、太平洋戦争を戦うにあたって、義経の鵯越え逆落しや信長の桶狭間の戦いを研究してたそうですから。多分、現幕僚長も真面目に考えず、わくわくして楽しんでんでしょう。男の子ってそうゆうの好きだからね。そのレベル。僕がものすごく不思議に思うのは、政府やマスコミは、二言目には北朝鮮の脅威を言い立てるけど、米国相手じゃないんだから、自国民を餓死させるようなへっぽこ国家の武力侵攻に、専守防衛を国是とする世界屈指の軍事大国が何でびくびくせにゃならんのか。全然理解できない。指もささせやしないはずだろう。一体今のいままで、どのような本土防衛計画を立て、どれほど膨大な国防予算を投じて来たのか。万が一、それらが役立たずであったとしたら、歴代の防衛責任者、最高責任者は内閣総理大臣だが、切腹ものだろう。こんな馬鹿げた脅威論が幅を利かすなんて、とても信じられない。僕が野党議員なら、この観点から脅威論に逆ねじ喰らわせ、ぎゃふんと言わせちゃうんだけどなあ。
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>あり得ます (レイランダー)
2007-05-30 21:57:31
北朝鮮に関しては、「北が攻めてきたら」とか「北に占領されたら」っていう仮定を立てること自体がバカバカしいというか、ほとんど「不真面目」と言うべき議論だってことがわからない国民はいまだに多い。
でも国防のトップにいる連中が、それを知らないはずはありません。知ってはいるけど、ソ連崩壊からこっち、それを言ったら自分らの存在理由が怪しくなるから、あえて非現実的でも怖いシナリオを盾にしなきゃならないんでしょう。治安が悪化してくれないと商売にならないセキュリティ会社と同じで。
あるいは延々嘘をついているうちに、いつしか自分でもそれが本当に思えてきちゃったような人達も、中枢にはいるのかも知れませんね。それこそ本当の「平和ボケ」。
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国防は真剣に (BLOG BLUES)
2007-06-01 00:19:49
わんばんこ。『ソ連崩壊からこっち、それを言ったら自分らの存在理由が怪しくなるから、あえて非現実的でも怖いシナリオを盾にしなきゃならないんでしょう。』もう、たまんないっす。兵器って、ものすごーく、高価じゃん。揃えるなら揃えるで、ちゃんと役立つものにしろよって言いたい。しっかし、僕やあなた等、間違いなくそうであろう少数派を除いて、多くの日本国民は、なんでこんな噴飯もののデマゴーグに踊らされるのであろうか。自らが納めた税金の行く末にこんなに無知、無関心の国民って一体!?
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