弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

登戸研究所資料館

2013年08月10日 | Weblog
 先日、JR中央線に乗って右を見たら
 

 で、左を見たら
  

 でしたよ。極右政権の国らしく、ファンキー・モンキーなたたずまいが街のそこかしこに。ごきげんいかがですか。

 『陸軍登戸研究所』というドキュメンタリー映画が近々公開されるというので、なんやかやと調べていたら、なんと、秘密兵器とかを開発していたというこの登戸研究所の敷地というのが、今は明治大学の生田キャンパスというところなんだと知ってびっくり。しかも、その登戸研究所時代の研究棟の一つ(中国大陸で作物を枯らすために化学物質や病害虫を開発してた棟)を、「登戸研究所資料館」という施設に改造し、一般公開していると知ってさらにびっくり。

 明治大学平和教育登戸研究所資料館 

 というのは自分、日本で、日本の戦争犯罪を真正面から扱った常設の資料館なんて初めて知ったので。常設ではなく、期間限定の(反戦関連の)イベントなんかだったら、足を運んだこともあったけれど。

 建物は平屋で、小規模な総合病院の1階部分だけ、くらいの規模。外装は最近の建物になってしまっているけれど、内装、特に内部の構造は変わっていない。真ん中を通る廊下の両側に区分けされた部屋があり、部屋ごとに「風船爆弾」とか「生物兵器」とか「偽札製造」とか、それぞれのテーマのパネルや遺物の展示がある。その充実した中身もさることながら、ほとんどの部屋にコンクリートの手洗い場が据えつけてあったりして、昔の「研究室」の面影をそのまま残しているのがすごい。これらは戦後、明大農学部の建物として改装して使っていたが、資料館にするにあたっては、元の雰囲気を復元したのだという。
 特に印象的だったのは、現像とか実験に使っていたという小さな「暗室」。廊下から真っ直ぐに入れず、クランク状の短い通路をカクンカクンと回らないと部屋に入れない。外の光を入れないためとのことだけど、のぞかれちゃいけないことをやっていたのでは、と勘ぐりたくなるような怖い部屋だった。

 今はちょうど「731部隊展」をやっていて、部屋のなかの常設展示とは別に、廊下の壁を使って展示されている。ただ、731部隊については書籍などで詳しく読む機会も過去にあったので、個人的にはむしろ登戸研究所の歴史そのもの、特に中国侵略との深い関わりを解説する常設展示の方が、知らなかったことも多く、見応えがあった。ナチスに学ぶどころか、ナチスですら思いつかない奇天烈な「開発」にグリグリと邁進していた、日本人の「真面目さ」にあらためて呆然とする。

 開館日が水~土と変則的だったりするが、入場無料の貴重な資料館なので(しかも結構厚めのパンフレットも無料でいただける)、ぜひたくさんの人に、まずは存在を知ってもらい、足を運んでもらえたら、と思う。
 なんて偉そうに言いながら、最初にも書いたとおり、自分はこの資料館の存在を知らなかった。戦争犯罪というイッシューに昔から関心があるのに、である。だから、日本にもこういう施設があるんだと、ホッとすると同時に、そういう自分と似た、意外とこれの存在を知らない人というのが、まだまだいるという気がする。それはもったいないと思う。人々が訪れることで、資料館がもっと拡充していってほしいし、本当はこういうものが、各都道府県に最低1ヶ所ずつはできていってほしい、と思う。


※731部隊に関しては9/1のシンポジウム開催に合わせ、御茶ノ水のリバティタワーの方での展示も予定されている。
 http://www.meiji.ac.jp/noborito/info/2013/6t5h7p00000g0tas-att/a1376011566798.pdf

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
兵器開発ならゼロ戦こそ非道な兵器でしょう。 (開発者の犯罪を美化するクソ映画がありますが)
2013-08-26 21:12:35
世界から非難されるジブリアニメ。ざまあ。
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>兵器開発ならゼロ戦こそ非道な兵器でしょう。 (レイランダー)
2013-09-01 14:00:43
世界から非難されている事実は確認していませんが、ご意見には相当部分共感します(正確には「ゼロ戦こそ」じゃなく「ゼロ戦だって」でしょう)。
まったく、ゼロ戦とその開発者を美化するような内容なら、そんな映画はクソです。ゼロ戦については、敵に対して以上に、もしかしたらパイロットの人命軽視という点でも問題のある(まあ、旧日本軍の飛行機に共通する問題だったかもしれないけど)設計だったという話も、昔は聞いたことがありますし。

といって、映画をまだ観ていないので、観てから詳しく感想を書こうかな、とは思ってます。でもたぶん、観てからでも、大きく印象が変わるとは、今回に関しては思えないんですよ、正直。
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追記 (レイランダー)
2013-09-05 07:44:26
「風立ちぬ」については、すでに観た人のこういう記事があって。まさに僕自身が、観る前から気になっていることが、ずばり指摘されています。

 ttp://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2013-07-30
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